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日本の年金が無くなるという煽り記事のお手本

皆さんこんにちは。
みんなの気になる樹です。

瞬く間に収束してしまった米国の金融システム不安であるが、皆さんは覚えているだろうか。
2023年3月10日に経営破綻したSVB(シリコンバレーバンク)であるが、この銀行の経営破綻は、まさに今の時代らしい破綻劇であった。
詳しくは語らないが、30年前の世界ならSVBの破綻はなかっただろう。
FEDがBTFPという救済システムを講じたことで、結果的に事態は一瞬にして収束した。
リーマンブラザーズ破綻の二の舞にはならない。
アメリカ金融当局も傷んだところ(今回は流動性)にピンポイントで手当てをする、見事な手当てであった。
この点は、私もYouTube動画の中で」大きな影響はないか、または顕在化するまでは心配しなくて良い」と話をしていた。
この辺りはかなり金融のシステマチックな話になるので、興味がある人はご自身で調べていただければと思う。

一方、日本のマスコミはリーマンブラザーズと今回の違いが理解できなかったようだ。
一つ記事を紹介しよう。

こちらの記事は、韓国メディア日刊ヒュンダイデジタルの記事だ。
いや、失礼。日刊ゲンダイデジタルは日本のメディアであった。

ヘッドラインには、日本の年金積立金200兆円が消滅する可能性があるようなことを書かれている。
日刊ゲンダイの主張はこうだ。

①日本の年金積立金のおおよそ200兆円
②今回のSVB含む米銀2行の破綻により被った損失は500億円で甚大
③日本も植田新日銀総裁が利上げをするからあ、今後益々悪材料は増える。
④大事な年金を運用しているとかいって、損をされても高齢者は困る

なんとなく筋が通っているように見える。
知らない人が見れば、これは大問題のように見えるし、政府与党の責任は免れない。

一方で知っている人から見ればどうだろうか。

日本の年金積立金は4資産バランス型の運用をされている。具体的には国内株25%、外国株25%、国内債権25%、外国債権25%この比率になるよう、定期的に各クラスの資産残高を調整している(リバランス)
そのトータルとして資産残高が約200兆円というのは事実だ。
ちなみに国内や海外というのは、単に日本とアメリカだ。

SVBに投資した資産が消滅したというのも、やや盛っているが概ね事実だろう。
私は細かくGPIFが資産取得をした時期や価格まで調査していないが、日刊ゲンダイが調査をした結果として書いているのであれば、それは疑わない。
ただし、日刊ゲンダイがいう500億円の内訳には、債権も含まれるため、仮にSBV等が経営破綻しても、その全額が損失にはならない可能性が高い。

一方で、これまで年金基金の積立金額が運用によって稼ぎ出した金額はというと、98兆円だ。
そして2022年度第3四半期の運用損益は−1兆8530億円だ。
ちなみにこれにはSVB破綻の影響は含まれていない。

なぜ日刊ゲンダイは第3四半期の運用成績を無視して、SVBのたった500億円程度の損失をことさらに大きくいうのか、
そして、日本の年金が減るという主張をしているが、それ以前にGPIFのおかげで年金が増えて笑いが止まらない状態にあること、日刊ゲンダイはをどのように説明するのか。

最後に最も大きな間違いは、GPIFの積立基金はおよそ50年ほどは取り崩す予定がないということだ。
つまり、GPIFが500億円程度の損失を出そうが、今の高齢者には全く影響がない。
日刊ゲンダイは、どこの高齢者が困ると言っているのか。
私にはこの損失で困る人は、まだこの世の中に誕生もしていないように見えるのだが。。。

日刊ゲンダイの記者もそんなことはわかっているはず。
問題なのは、分かった上で世論操作をしようとしている会社としての姿勢である。
そこまで政府与党が気に入らないのか?

日刊ヒュンダイの世論操作は、まだまだ止まらない。

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