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「苦役列車」西村賢太

私小説様に、日雇いの貧しい生活を描き、また風俗出入りを当たり前のように語る……こういう作者の在り方に、読前距離を感じていた。
私自身、そういう生活はなかなかできないという気持ちから……けれど、そうであれば尚更、その生活から見えるものはとても貴重なものなのかも知れない。
近代文学の私小説を読んでいて思ったのは、よくこんなものが金になったなということ。だけれど、この「苦役列車」は評価され、世に出ることは当たり前な、それくらいの価値があると読後は思えた。
西村賢太や平野啓一郎などの作家は優れているけれど、何処か近現代の古の文学と比較されながら語られている。そこは何だか残念なことのように思う。
むしろ近現代の本を読んでこなかった若い人達にこれらの小説はどう映るのだろう。

……作者のご冥福をお祈りします。大変残念です。


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