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さかな~道ならぬ鯉

宝石の目をもつさかな、列車にゆらぐ。
ととん、ととん
 
 
飽和したレールのうえを東へと泳ぐ。
道々の駅から乗り合わせた女子高生が、さかなの蒼玉を褒めた。さかなは嬉しく哀しむ。
 
 
 
ととん、ととん
さかなは泳ぐ。

どこまでいきますか。
紅玉に車掌が訊ねる。

さかなは窓に映る世界にぽつり、
赤と青の重なるところ。そう言うと

車掌は終着の切符をパチンと鳴らした。つづく