スイス旅行、合流

チューリヒ空港に着き、鉄道のチケットを購入し、ベルンからローザンヌまでは実にスムーズだった。さすがにKさんは2回目のスイスで慣れたものだった。車内にアジアから来たという団体がいた。その人たちはとても気さくで日本はよく知っていると言った。おたがい片言の英語と日本語で交流した。おばさんの一人が「同じアジア人なんだから私達は兄弟よ。」というようなことを言った。私はえらく感動した。

 ローザンヌでローカル線に乗り換えてすぐのところにトロシュナはあった。無人の小さな駅で私達二人以外誰も降りる人がいなかった。ホームで記念撮影し、私達は日本から持ってきたガイドでオーリーヘプバーンのお墓を目指した。

 抜けるような青空の下、ずんずんお墓の方角へ向っていった。住宅街を歩いていると、前からサングラスをかけた日本人女性が歩いてきた。日に焼けて現地の人らしかった。私はその人に声をかけた。

 「ちょっと待ってて。今郵便局行って来るから。」と言うと、建物の中へ消え、すぐに戻ってきた。彼女は気さくな人で、荷物を彼女宅に置いていったらと提案してくれたので、お言葉に甘え、自宅まで行った。私の勤める幼稚園ほど広さのある大きな屋敷に住んでいた。私達の荷物は玄関に置かれた。
 
 お墓はすぐそばの小さな墓地にあった。オードリーヘプバーンのお墓は一際白く、生けられたばかりのカラフルな花が添えられていた。清潔そのもののお墓だった。

 Kさんと私はしばらく手をあわせ、それからオードリーヘプバーン記念館に立ち寄った。全く英語の通じないおばさんが一人いた。そこで冊子を一枚もらうと日本人女性宅へと向った。

 呼び鈴を押すと重厚なゲートが開き、彼女が出てきた。
 「あら、早かったのね。今お昼作ってるから食べていきなさいよ。」というと、テラスまで私達を連れていってくれた。食事はおにぎりとレタス中心のサラダにオリーブ油と塩をかけたさっぱりした食事だった。彼女はMIDORIさんという名だった。テラスからの眺めは素晴らしいものだった。

 彼女には幼稚園の息子がいた。初対面の私達に遠慮がちに接していたが、手にはゴジラのようなかいじゅうを持って遊んでいた。
 
 MIDORIさんは8月1日の建国記念日のお祭りについて話してくれた。あちこちの湖で花火が打ち上げられるという。毎年レマン湖にヨットを浮かべて見るが、とてもロマンチックだと教えてくれた。

 食事が済むとお礼を言って、屋敷の前で記念撮影した。MIDORIさんが車でローザンヌの駅まで送ってくれた。

 ローザンヌの駅で礼を述べて別れ、Kさんと私はMⅯさんのいるモントルーへと向った。レマン湖のほとりにあるシヨン城にて合流することになっていた。早めに着いたので湖の浅瀬で子どもに交じってパチャパチャと水面を歩いた。

 長い時間そうしていた。いつの間にかKさんが無線を入れ、
いよいよ合流した。3人は日に焼けた笑顔で迎えてくれた。

 5人揃ったところで記念撮影して、近くのユースホステルに向った。

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