Ableton Live 10 Suiteのメリット
サンレコ2020年11月号で特集されていた「Ableton Live 10 Suiteの知られざる真価」。Max for Liveにに興味があって読んだが、全体的に興味深い内容だったので要約を記載しようと思う。Suiteの購入を検討している方に参考になれば幸いだ。
なお末尾にサンレコ本家のページを記載したので、興味のある方はそちらもぜひご参照願いたい。
他のバージョンにないSuiteのメリットとは?
主なメリットは以下の3点:
①豊富な内蔵インストゥルメント(ソフト音源)&エフェクト
(Standardと比較してSuiteではインストゥルメントが10個、エフェクトプラグインは21個も多い)
②質の高いPackの付属
(こちらもSuiteにのみ付属するPackが秀逸とのこと)
③Max for Liveが使用可能
逆にいうと、すでに別のDAWを持っておりプラグインなどもある程度揃っている方や、Maxを導入済みの方などにとっては、導入メリットは少ないかもしれない。
Suiteの代表的なインストゥルメント
Wavetable
ウェーブテーブルシンセ。ハードのアナログシンセとは異なるサウンドが手に入るこちらのシンセでは、オシレーターx2、フィルターx2、モジュレーションマトリクスを搭載。波形のプリセットは200種類内臓。内臓でついてくるのはありがたい。
好きなオーディオサンプルをオシレーター画面にドラッグ&ドロップすれば、ウェーブテーブルとして使用することも可能。サンプルから特徴的な波形部分を自動的に抜き出して、ウェーブテーブル化する機能のようだ。
「エフェクトモード」ではFM/Classic/Modernの3つのモードが選べ、それぞれ複雑な倍音を付与できる。また「Sub」ボタンを押して1、2オクターブ下のサブベースを追加することも可能。
Operator
FM音源方式のシンセ。4基のオシレーターそれぞれにエンベロープ/LFO/フィルター/ピッチエンベロープを1基ずつ搭載。オシレーターの波形は22種類で、アナログモデリングのフィルターが5種類。多くのパラメーターでオートメーションが適用でき、FMらしからぬ有機的なシンセサウンドを作成できるようだ、
Spread/Time/Toneなどのパラメーターは音色変化が派手で、プリセット音のオーディションなどにも役に立つ。「Flt. Drive」という音を太くするサチュレーションパラメーターも搭載。さらにFM音源らしい透明感のあるサウンドも簡単に作れる使いやすさに定評がある。
Sampler
マルチサンプルが扱えるサンプラー。Simplerとは異なり、オシレーターを扱えるのが特徴。ちなみにLive PackのライブラリーではSamplerが多用されている。
Collision
打楽器をシミュレートするシンセ。マリンバ、シロフォン、グロッケンシュピールなど、ピッチのある鍵盤打楽器の再現が得意。
Electric
RhodesやWurlitzerなどエレピサウンドに特化した物理モデリングのシンセ。CPU負荷が低くPCに負担が少ないのがありがたい。
Tension
弦楽器サウンドに特化した物理モデリングのシンセ。ストリングスからギター、ピアノまであらゆる弦楽器に対応。見慣れないパラメーターが多いが、「Excitator」セクションで音作りするのがおすすめ。
Suiteの代表的なエフェクト
Echo
数あるSuiteのディレイ系プラグインの中で、Echoは「テープディレイ」をシミュレートしたプラグイン。エコー音の「変化」を作ることに長けたディレイ。リバーブも搭載しており、ディレイにリバーブをかけて存在感を抑えることもできる。
Pedal
ギターペダルのディストーションを彷彿とさせる歪み系プラグイン。軽いサチュレーション効果から、激しい歪みまで対応しているのと、Subパラメーターで歪みによって損なわれた低域を補えるのが特徴。
Suiteに付属するPack
Suiteには全部で26種類のPackが付属する。中でも使い勝手が良く、他のエディションには付属しないPackをご紹介。ここでは大まかに「ビート系」、「オーケストラ系」、「シンセ系」の3つに分類してみた。
Packとは?
音源、エフェクト、オーディオ素材、MIDIクリップなどを特定のコンセプトに基づいてパッケージにしたもの。Live 10 SuiteにはPackが26個付属するがLive 10 Standardでは8個なので、SuiteのPack数はStandardの3倍以上となる。
インストール方法
Packは個別のインストールが必要。セッション画面左端にある“ブラウザーサイドバー”から“Pack”を選択すると、“使用可能なPack × 数”という項目が出現。それをクリックするとユーザーが使用できるPackが一覧で表示されるので、ダウンロードを開始し、終了後に自動的に表示されるインストール・ボタンをクリックすればインストールが完了する。
使い方
例えば「Beat Tools」を例にとると、Drums、Effect Racks、MIDI Clips、Samples、Sets、Soundsといったカテゴリー別にフォルダーが格納されている。フォルダーに格納されたファイルをクリックすると、自動的にサウンドがプレビューされる。気に入った音を見つけたらダブル・クリック、またはアレンジメントビューやセッションビューなどへ直接ドラッグ&ドロップすれば、そのサウンドをロードすることが可能。
I. ビート/パーカッション系Pack
Beat Tools
ヒップホップをはじめとするビートメイキングに特化したPack。
Drum Booth
生ドラムのPack。ドラム音源はシンセドラムかすでに加工された音が多いと思うので、レイヤーなど加工目的などにも重宝するかもしれない。
Session Drums Studio / Session Drums Multimic / Session Drums Club
こちらも生ドラムのPackで、シリーズで計3つのPackがある。「Studio」はDrum Boothと同じくオン・マイクのドラム・サウンドを収録したPack、「Multimic」はマルチマイクでドラムを録音したPack、「Club」は派手な音が魅力のPackだ。
Latin Percussion
南米やアフリカのパーカッションのコレクション。MIDIクリップも豊富にラインナップされている。
Build and Drop
EDM/ダンス・ミュージック全般で使えるアッパー・チューンの音色がメインに詰まっているPack。
Drive and Glow
ひずんだ音を中心に集めたPack。
Punch and Tilt
“Build and Drop”よりも全体的にダークな音が多いダンス・ミュージック向けPack。リズム・マシンやシンセ・ベース、テクスチャー、ノイズなどを収録。
Glitch and Wash
グリッチ系音色が多く、変態的/刺激的なサウンドPack。
II. オーケストラ系Pack
Orchestral Brass
ソロおよびアンサンブルのフレンチ・ホルンやトロンボーン、トランペット、チューバといった金管楽器の音を収録したPack。オーケストラ向けのブラス・サウンド。
Orchestral Mallets
音階のある打楽器に特化したPack。ビブラフォン、マリンバ、シロフォン、クロタレス、グロッケンシュピール、ティンパニなどのサウンドを中心に収録。
Orchestral Woodwinds
ソロおよびアンサンブルのフルート、クラリネット、オーボエ、ホルンなどの木管楽器系Pack。
Orchestral Strings
バイオリン、ビオラ、チェロ、ダブル・ベース、全体のストリングス・アンサンブルの5つを収録したPack。
III. シンセ系Pack
Retro Synths
ビンテージ・シンセのPack。MOOG Minimoog Model DやROLAND TB-303、CASIO CZシリーズなどのサウンドを収録。
Synth Essentials
シンセのPack。Live 10 Suite付属のソフト音源=Analog、Collision、Operator、Tension、Wavetableを駆使して作られたプリセット集。
Electric Keyboards
FENDER RHODES Suitcase、WURLITZER 200A、HAMMOND C3を綿密にサンプリングしたPack。
まとめ
基本的にはLogicをメインに使用しておりAbleton Liveはあまり使えていないのだが、Liveは自社プラグインに力を入れていて、実際にLiveをメインで使用しているミュージシャンで純正のプラグインを使用している人も多いようだ。あと、Max for Liveがあるように、前衛的な表現に対する姿勢も積極的である。その辺りに興味がある人はぜひ購入してみてはいかがだろうか。
なお、Max for Liveについてはまた別の記事で紹介する予定である。
今回はほとんど以下の記事をそのまま転載した形となった。それにしてもサンレコさん、この記事をはじめ紙媒体の内容をそのままWebでも公開しているという太っ腹。助かります。
参照元はこちら:
https://www.snrec.jp/archive/category/Ableton%20Live%2010%20Suiteの知らざれる真価
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