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公明党支援>会員の幸福 (追記しました)(2021.08.26)

 池田大作氏は、2020年 7月号の大白蓮華で次のように述べています。

“学会は「一人を大切にする」組織です。「一人一人の幸福」が目的なのです。” [1]

 しかし、私にとってこの言葉はただの建前にしか思えません。なぜなら、学会の実態を見てみると、公明党の支援が会員の幸福よりも優先されていると思うからです。

 創価学会は同じ宗教的理念をもつ人の集まりであって、その中で多様な政治的理念をもつ人がいると考えるのが自然です。中には公明党のやっていることに賛成できない人もいるでしょう。特に自民党と連立政権を組むようになってから、公明党は自民党との関係を保つために自民党の方針に従うことが多くなり、公明党に賛成できないと感じるようになった人もこのブログを読んでいる方の中にはいるのではないでしょうか。戦後、創価学会は絶対平和主義を掲げてきたのにも関わらず、タカ派、右派の傾向を持つ自民党を支持する形で公明党がイラクへの自衛隊派遣の容認や安保法制の支持を示したことや、自民党支持層との経済的利害の不一致などが会員層に不満を引き起こしたということが指摘されています[2][3]。

 本来、会員の政治的理念と宗教的理念は別々に考えても良いはずです。創価学会としても、建前では会員の政党支持の自由は認めています。会員の中には創価学会の公式見解や新・人間革命での記述[4]から、会員の政党支持は自由だから公明党を応援しなくてもよいと言っている人もいます。

 しかし、聖教新聞や原田会長の話などから公明党の選挙活動を信仰と結びつけ、公明党に異議を唱える会員を排除するメッセージが送られていることから、会員の政治的信条の自由は認められているとはいえないのが現状です[3]。例えば、今年の7月の本部幹部会での原田会長の話のなかにこのような発言がありました。

“近年の反逆者らが曝す醜態を見れば、そうした「自分中心」の者は、組織運営上の方法論や諸課題、あるいは公明党の政策などへの賛否などを大義名分に利用して、己の後ろめたさを覆い隠し、自己正当化を図ろうとするのが常套手段であることも、皆さま、ご存じの通りであります。” [5]

 この発言の問題点は、創価学会の組織、公明党へ批判を建設的な批判も含めて全て自己正当化のためのものであると決めつけて切り捨てている点、そして批判をする人を自己中心の反逆者であるとしている点だと思います。

 そしてこのことは、創価学会で厚い信仰心を持っているけれど、公明党の政策には賛同できないという会員を、反逆者として扱って追い詰め、組織の枠組みの中で信仰を続けて幸せな人生を送りづらくしているのではないでしょうか。そして、創価学会では公明党の支援が会員の幸福よりも優先されているといえるのではないでしょうか。

 まとめると、本来宗教団体である創価学会において、様々な政治的信条を持つ人がいておかしくありません。それから、近年の公明党の政策には学会員が賛同しにくいものがあるのにも関わらず、公明党の政策に異議を唱えた人が反逆者と見なされています。そして、反逆者と見なされた会員は創価学会の中で信仰して幸せになることが困難になります。このことから、私は創価学会では公明党支援が会員の幸福よりも優先されているのではないかと思っています。

 また、ここで取り上げた問題の他に、学会に言われるがまま毎回の選挙で戦い、心身共に疲弊している会員が大勢いるという問題もあります。このような組織が、本当に「一人を大切にする」組織であるのか、本当に「一人一人の幸福」を第一の目的としているのか疑問に思えてなりません。


参照文献
[1] 大白蓮華 2020年7月号 p42
[2] 中野毅(2010) 「民衆宗教としての創価学会 一社会層と国家との関係から一」 宗教と社会16巻 pp.111-142 https://doi.org/10.20594/religionandsociety.16.0_111

3] 浅山太一(2017) 「内側から見る創価学会と公明党」 出版社 ディスカヴァー・トゥエンティーワン
[4]  池田大作 「新・人間革命」第14巻 大河の章  聖教新聞社
[5] 聖教新聞 2021年7月14日https://www.seikyoonline.com/article/85FEC9D09D544CC9291BB39586173271

追記
 最初に2020年7月号の大白蓮華の池田大作氏が書いたとされる記事から一節を引用しましたが、池田大作氏のメッセージや随筆は本部職員によって代筆されている可能性があることを付け加えておきます。詳しいことは2016年に3人の元職員(野中裕介、滝川清志、小平秀一)によって出された「実名告発 創価学会」(出版社:金曜日)という本に書かれています。ただ、その真偽についてここであえて深く議論しません。

 公明党を批判した人が反逆者扱いされる問題や、その他公明党と創価学会に関する問題については、ここで参照した「内側から見る創価学会と公明党」の著者である浅山太一さんがよく研究されています。興味のある方はTwitterや著書を読んでみることをオススメします。

この記事はアメブロから転載しました。
https://ameblo.jp/ttherm00297200/entry-12694083775.html

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