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石巻ニューキネマパラダイス 第三回「隣と隣の良き隣人」

石巻の中央一丁目、かつて清野ふとん店で、震災後には「千人風呂」というコミュニティスペースであった場所を、複合エンタメ施設として改修するシアターキネマティカプロジェクト。日活パール劇場もあったこのエリアで、もう一度石巻に劇場文化の灯を。ということで「石巻ニューキネマパラダイス」の第三回。初回と第二回では阿部と矢口の想いを語らせて頂いたが、そろそろ我々の活動や、施設の改修についても話していきたいと思う。
まずは活動。私たちは別に街のフリー素材をしているだけではなく、ちゃんと映画や演劇の活動もしているのだ。実はね。11月13日土曜日、東松島市野蒜ヶ丘にある複合施設「いろどりの丘」にて、映画「人生フルーツ」の映画上映会を実施した。人生フルーツは以前、石巻市でも上映をしたことがあるが、普段のフィールドから更に活動の幅を広げるため、まずは隣の市である東松島で映画イベントをさせて頂いた。ゲストは映画評論家の松崎健夫氏。石巻には何度もお呼びしてトークを依頼している方だ。テレビにも出演しており、映画祭のゲストにもなるような著名な方にも関わらず、依頼をすると二つ返事で来てくださるフットワークの軽い方で、映画のお話をして頂くことにおいて絶対的な信頼感がある。そんな松崎さんをゲストに迎え、挑んだ「いろどりの丘」での「人生フルーツ」。いろどりの丘は、多機能ながら一つ一つの施設機能のクオリティが高く、利用者や働き手の新たなライフスタイルを探り、実践する新時代のDIY的発想の施設で、人生フルーツという映画も、津端夫婦の誰もが羨みながらも中々実践が難しい素敵な生き方を自分に投影し見つめる映画で、この二つの親和性がとにかく高かった。そして、松崎さんによる感動や美しさの裏に秘められた本当のメッセージを掘り下げる解説。我々の出張上映は、今回は大成功と言っても良い。さらには、東松島で映画上映をしてほしいというありがたい言葉をもらうことも出来た。
ついつい、活動の話が多くなってしまったが、施設の改修もイベントの翌日11月14日日曜に「解体ワークショップ」として行った。今回は仲間の一人である勝建築事務所の勝邦義さんの指示のもと、募集した参加者の方々と共にロビー部分とホール部分の境界であるドアと壁の撤去と、外に続く廊下部分の壁の撤去及びボロボロの金庫の搬出。飲食店の方ではカウンターの撤去や壁の取り外しなどを行った。今回参加してくれた方々は、我々のクラウドファンディングが始まる前から応援してくれている方々が中心となり、石巻に関心を持ってくれている学生も加えて合計8名。古きも新しきも楽しむ姿勢を持った素敵な方々。素晴らしい効率と知見により、予想以上のスピードで解体が進み、あっという間に作業が進んだ。本当に、感謝の念に堪えない。施設を完成させて期待に応えなければと、強く再認識した2日間だった。次回は11月21日日曜日にも解体ワークショップがあり、既に参加表明してくれている方々もいる。我々は本当に、良き隣人に恵まれている。 阿部拓郎

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