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ポゼッサー(2021)

殺人を請け負う企業に勤務するベテラン暗殺者のタシャは上司の指令のもと、特殊なデバイスを使って標的に近しい人間の意識に入り込む。そして徐々に人格を乗っ取りターゲットを仕留めたあとは、ホストを自殺に追い込んで“離脱”する。この遠隔殺人システムはすべては速やかに完遂されていたが、あるミッションを機にタシャのなかの何かが狂い始める…。 公式サイト

ブランドン・クローネンバーグ監督作品。 
公開は随分待った気がします。

前作に比べると倒錯的な雰囲気はなく 確かに「ノワール」感があったように感じました。

どうしてもクローネンバーグの血筋を考えてしまうのですが、今回はあまりそのあたりは感じられないように思いました。

それでも不思議なエレガントさは感じました。

SFノワール、馴染みのないジャンルです。
時代設定や街並みがSFっぽいかといえばそうでもなく、設定がSF的。

他人の意識に入り込むといえば【ザ・セル】を思い出しますが、タイプの違った入り方をしていました。

レトロフューチャーとでも言うのでしょうか? 
ハイテクのようなアナログのような不思議な機械に接続し、乗っ取る相手に入り込みます。
乗っ取ったら電極を頭に刺して何かをチューニング。本体は安静に。

短期間であれ他人の中に入り込み、他人になりきって、毎回間接的に自殺しているわけなので、暗殺者の精神状態はカウンセラーじゃなくとも不安を感じてしまいました。

毎回離脱後はカウンセリング。暗殺を請け負うまさにブラックな会社だけど社員の精神衛生は大事にしている模様。

なのに見ている側も明らかに不安を感じる主人公タシャの面持ち。






※ここからネタバレ含みます!




タシャの次なる乗っ取り相手の男性。

数日間の乗っ取り後、自殺し離脱となるはずが、今回は失敗してしまいます。しかもターゲットも殺しそこねる。

そこからの展開がゴッチャンゴッチャンでもう一度見直したいところです。

誰が誰に入っているのか?
銃を使うように言われているのになぜナイフなのか?
あの彼女は殺されたんじゃなかったのか?

一回しか見てない個人的な感想ですが、タシャの内面の残酷さがナイフに現れていたのかなーとか思ったりしました。


罪悪感は本当に子供の頃の記憶なのか、
子供を機に記憶に罪悪感が芽生えたのか。

本来のタシャの内面が開放されたように感じた最後のカウンセリングでは罪悪感は聞こえて来なかった。

タシャを戸惑わせ罪悪感を感じさせ足枷としていたのは大事だった二人だったのかなと。

その足枷がなくなることで罪悪感も戸惑いも消えていったのか?

早くもう一回見たい作品でした。



前作の【アンチヴァイラル】もまた観たくなりました。

こちらも凄く良かったし好みでした。

今後も二人のクローネンバーグ監督の作品が楽しみです。

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