見出し画像

スタッフのこころいき

こんばんは。

私は、普段、役者をしながら、溝ノ口劇場のスタッフや、芝居の公演のスタッフをしています。大きくくくると、裏方、と呼ばれる縁の下の力持ちの仕事です。

ちょうど来週から開演する、となりのパンダs主催の「炎上する大奥」という朗読劇でも、私は裏方として奔走しています。なんだかんだ、団体に正式加入する前の昨夏から継続してやってきた仕事なので、もうずいぶんと慣れてきたものです。もちろん、私ひとりの力ではなく沢山の人の支えやチームあってこそこなせていることだし、他にも同じような境遇の人はたくさんいるはずなので、自慢げに言うことでもないのですが、この数ヶ月、裏方として生きてきて、感じたことは忘れずにだいじにしたいと思います。

毎日が、誰かにとってのハレの日だ。
これは溝ノ口劇場で働くようになってから強く感じるようになったこと。
今日ここで、ライブをやる人。芝居をやる人。推しの姿を拝みに来た人。パーティを企画した人。いろんなひとが劇場に来てくれます。たった一度の「ハレの日」のためにです。
このハレの日のために、どれだけのお金が、時間が、人が動いたんだろう。表上には見えない、見せられない悲喜交々としたドラマがあったかもしれない。血や汗の滲むような努力があったかもしれない。誰かに頭を下げたひとも、大事な予定を断ってまで駆けつけたひといるかもしれない…想像するだけでこのハレの日が愛おしく、そして応援したい気持ちでいっぱいになります。たとえ私が壮大に妄想し過ぎていたとしても、私ができることはしてあげたいって思います。
「そう思えることこそが、私にとっての天職なのかも」
春先、ちょうど前回「うさぎのダイアリー」という作品でスタッフをやったとき、ふとそんな考えに行き着きました。天職!そう思うとすごく力が漲った。達成感に満ちた演者や、笑顔で帰るお客様を直に見ることもできたのも大きかった。とにかく、すごくうれしかった。うれしくて本気で思った。これは天職だ。だから、もっと、もっと頑張らなきゃって。

でも、誰かに尽くすということは自分を削って差し出すという覚悟をしなくちゃいけない。
これはここ最近の私の反省。たしかに時間と労力をかけたら、成果はあげられる。でも、削ったものが必ず返ってくる保証が無いこともちゃんと理解しなくちゃいけない。私の体も時間もお金も無限じゃない。ちゃんと限度を知ろう。独りよがりになって、自分の面倒見切れないところまで後回しにするのは、違うはず。
裏の仕事を通じて、学ぶことはたくさんあって、これはきっと表の役者としての自分の糧になってると思うんだけど、度がすぎてあんまり自分のことをないがしろにすると、役者としての自分がそろそろ拗ねてしまう。(実際もうめちゃくちゃくやしいし、はがゆい!)他人の幸福や達成感だけで、自分を満たすことはできない。
たとえ、毎日が誰かにとってのハレの日でも、無理やり毎日を自分にとってのハレの日にしなくていいんだぜ。な。

とか、なんとか。
私も私なりに、いろいろ思ってるわけです。全部割り切ってやれたら1番なんですけど、私、そこまで器用ではないんでした。
もっと肩の力抜いていいよって、できないならできないって言っていいよって、そう言ってくれる人がいることに感謝して、助けてもらいながら、上手いことバランスよく生きれる人間になろうって思います。


ただ、なんだかんだ書いてあれですが、やっぱり舞台のスタッフは楽しいです。やりがいがあります。特に芝居の座組は、1ヶ月みんなで稽古を積む姿を見ていると、本番のハレの日に向かって頑張る姿がめちゃくちゃ愛おしくなってしまいます。みんなが舞台に立って輝く最初の瞬間を、無事に迎えさせてやりてえ…!そんな気持ちでいっぱいになります。
……まあ、だからのめり込み過ぎちゃうんですが…なにごともほどほどに頑張ろうね、という自戒の日記でした。


朗読劇「炎上する大奥〜百鬼夜行の宴〜」は、6月18日(火)〜23日(日)まで、溝ノ口劇場にて上演されます。
スタッフとして携われること、とても誇りに思える座組です。どうか応援のほど、よろしくお願いします!


この記事が参加している募集

#上半期の振り返り

564件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?