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スター・ウォーズと西洋剣術②


「ライトセーバーは日本の殺陣を参考に作られている」
というつぶやきをツイッターで見かけたのをきっかけに始まった『スター・ウォーズと西洋剣術』。今回はシリーズ2本目の投稿となります。


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1本目はこちらです。

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前回はエピソード4・5・6と西洋剣術の関係についてお話しましたが、続編となる今回はエピソード1・2・3についてお話します。

エピソード1~3の予告編に少しだけライトセーバーが登場していますので、スター・ウォーズやライトセーバーを全く知らない人はこれを見てから記事を読むと、少しだけ楽しく読めると思います。


ネット上では?

公開当初からダース・モールとの戦闘シーンは話題となりましたよね。
なんせ彼が持っているのは、日本人が大好きなタイプの武器ですから。

ネット上の評判もさまざまですが、戦闘シーンについては絶賛されていましたし、スター・ウォーズファンが再現したりもしていますから、西洋剣術を教える立場の私としては、とても嬉しいです。


アクションシーンで人気の高いエピソード1

劇場の公開順で見ると、エピソード6のあとにエピソード1が来るわけですが、両者を比較するとアクションシーンのクオリティがまったくの別物になっています。

とても派手ですし、テクニックもたくさん使っている。
ライトセーバーをバチバチ当てていますし、これこそが我々の求めていたライトセーバーファイトだ!という世界中の人々が歓喜しました。

で、なぜこのような変化が起きてしまったのかと言うと、一番の理由はお客さんの変化です。

スター・ウォーズを劇場公開順で見ると次のようになります。

映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年公開)
映画『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980年公開)
映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983年公開)

映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年公開)
映画『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002年公開)
映画『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005年公開)

映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年公開)
映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年公開)
映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017年公開)


エピソード1は、エピソード6の約16年あとに公開になったわけですから、そこには16年のブランクがあります。

0歳だった子供が高校生になっているくらいですから、若者の中には「スター・ウォーズはエピソード1から見た」という人がいてもおかしくないわけです。

これだけのブランクがあると制作陣も大変です。
映像技術的にも演出的にも、前作の良いところを残しつつ、時代に合ったものを作らなければならないのですから。

で、いろいろ思い切った変更を余儀なくされたわけですが、西洋剣術的に見て最も大きな変化は、ライトセーバーの重量設定の変化です。

ファイト・ディレクターは、登場人物や小道具の設定を踏まえた上で、ファイトシーンを作りますから、こういった設定の変化がシーンを変えることになります。

結果、できあがったのがあのファイトシーンなのです。

みなさんはすでにご覧になりましたか?
エピソード4~6とエピソード1~3ではライトセーバーの使い方がまったくの別物ですよね?
みなさんはどちらが好きですか?

私はどちらもそれぞれの良いところがあるのでどちらも好きなのですが、どっちかと言われれば、エピソード1~3と答えます。

「派手だから」とか「演出が好きだから」という理由ではありませんよ。
エピソード1~3のテクニックが好きだからです。

そして、さらに言うと、このエピソード1~3で使用しているテクニックこそ、私が修得しているテクニックなのです。


ここから先の記事の内容は、西洋剣術の専門家としてライトセーバーの動きを分析し、ファイト・ディレクターとして解説したものになりますが、みなさんの参考になれば幸いです。


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