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発達障害児・者はどうやって生きたらいいのか(手帳は取る方が良いか、障害年金は申請すべきか、病院にきちんと行くべきか、それとも自分だけで生きていくべきか)

全般発作です。
いよいよ冬になってきましたね。

僕はどちらかというと寒い季節の方がとても元気な方です。発作も脳が寒い方が起こりにくいので、そういう観点においても、とても安心して過ごすことができます。

Twitterを読んでいて、自分のタイムラインで「(客観的な心理検査などによる)診断がついている発達障害」「自己診断の発達障害」というツイートに対して多くの「いいね」がついていました。そして同時に『自己診断の発達障害なんてのはおかしい』『客観的な診断を受けた方がいい』『発達グレーの自己診断とかありえない』などの意見が集まっていました。しかし自己診断でとどまる人はとても多い訳で、それがとても気になったので「どういう心理検査が必要になるのか、参考になるように挙げておきますね」とリプライして、後で発達障害の心理検査はどのようなものがあるかを列挙しておきました。しかし、反応はごくごく薄いものでした。


【発達障害、自己診断しますか/しませんか、医師に診断をしてもらいますか/してもらいませんか/病院に通うことや発達障害だということ自体を知られたくないので個人輸入で薬を試してみますか】

ほんのすこし考えてみると分かることなのですが、発達障害の場合、今では多くの人は

・「発達障害かどうか」を「自己診断」して病院に診察に来た(今では至るところに自己診断できるツールがあります)
・テレビやネットや雑誌などで目にして、何となく「発達」ぽいと思ったから診察に来てみた
・友達や周りの人から「発達障害だと診断された」ので来た
・「何かあなたはおかしい」と言われて病院に行くように無理に勧められて仕方なく来た
・なんか周りの人と一緒にするのが上手くいかないから病院に行くようにと言われて来た
・親や配偶者に病院に行くようにと言われて来た
・会社に行っても物事が手につかず、仕事中もぼーっとしていて、何をやっても集中できず、上手くいかないから来た
・疲れきってしまい、やる気が出ないから来た
・転属してから営業先で人とコミュニケーションが全く上手くいかなくて仕事ができなくて来た
・突然泣いてしまって死にたくなって受診に来た
・酒の飲み過ぎ、市販薬の過剰摂取、自傷行為が目立つようになって緊急で措置入院させられてから、外来患者として紹介されてきた
・暴走行為によって事故を引き起こし、入院した後に治療に紹介されて来た
・薬物中毒を引き起こし、紹介されて通院に来た
・誰にも知られたくないけど自分は発達障害者なんじゃないかと思うととても怖いので気になって調べてみた
・自分がおかしい人間だということを職場の人や家族には知られたくないので内緒で薬を使ってみようと思って調べてみた


といったような色々な理由があるだろうと思います。中でも「自分が何となく発達っぽいから/周りの人と上手く合わせられないから/すぐに会社や学校に馴染めなくなってしまうので診察に来てみた」というのはものすごく増えているのではないかと思います。
そういうわけで、「発達障害ってなんなのか」をまず振り返って考えてみます。

☆そもそも発達障害とは何を指しているの?
☆発達障害者・児に対する「社会的障害」、つまり「社会的障壁」っていうのは何のこと?

(定義)

第二条  この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
参照→http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm

2  この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。

3  この法律において「社会的障壁」とは、発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

→つまり、たとえ診断されたり、されなかったりしたとしても「ガイジ」「ハッタツ」「発達グレー」などと揶揄されたり、馬鹿にされたり、怒られたり、後ろ指を指されるようなことはあってはならないし、差別されることがあってはならない。
→発達障害者に対して「発達障害者だから雇用しない」「ただの甘えだ」「頑張りが足りないだけ」「言い訳がましい」というようなことはあってはならないし、「職場で発達障害者だと分かったとたんに態度が冷たくなったり、無視されたり、陰口を言われるようになった」とかはあってはならない。(例えば「のろい」「にぶい」「とろい」「ボケ」「坊っちゃん」「グズ」「忘れっぽい」「天然」などと馬鹿にしたり侮蔑したり揶揄して言うなど)
☆発達障害者だからといって雇用や勤怠において不利益があってはならないし、昇給や昇進に不利益があってはならない。
☆嫌な気持ちがあるというよりも「精神障害者」「精神病者」「発達障害者」「障害者」という言葉/存在に対するスティグマが嫌なのではないか?
☆自分で自分のことをガイジとかハッタツとか言ってはいるけども、本当のところは嫌な気持ちがするのではないか?そういう気持ちがあるなら、その悲しい気持ちや、恐怖、不安などについて医師やソーシャルワーカーや障害者福祉課職員などに率直に話してみてはどうだろうか。

4  この法律において「発達支援」とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう。
→障害があることを明確化しなければ支援を受けることは難しいので、障害の有無については診断を受けて明確にしてほしい。
☆精神保健福祉士や社会福祉士や保健師や障害福祉課職員などのソーシャルワーカーに、診断を受けることについての不安や恐怖や周りの理解などについての心配事などをはっきりとさせておくこと。事前に相談しておき、明確化しておくこと。(特に、自分の周りの人に伝えたり明らかにしようと考えている場合は尚更である)

(基本理念)

第二条の二  発達障害者の支援は、全ての発達障害者が社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないことを旨として、行われなければならない。

→発達障害者当事者自身も、「発達障害は遺伝するから子供を残してはダメだ」などと言って、あたかも優性思想的で他の障害者の自由な人権を制限する
ようなことを言うようでは、ただの差別を産むだけになってしまう。
☆「障害者だから子供を残してはならない」というのでは、日本がずっとやってきた障害者隔離政策と同じことをずっとやり続けることになってしまうし、“共に生きる”インクルージョン社会になることと真逆の考えであり、認めるべきではない。(もちろん、共に生きるからと言って、「必ず友達になるように」ということではないことは言うまでもない)

2  発達障害者の支援は、社会的障壁の除去に資することを旨として、行われなければならない。
→「甘えるな」「頑張りが足りない」「言い訳するな」「のろい」「にぶい」「とろい」「ボケ」と言うなど、「発達障害者だと分かったとたんに態度が冷たくなったり、無視されたり、陰口を言われるようになった」といったような差別はあってはならないし、特性上できないことに対して「お前が悪い」などと罵倒することはあってはならない。

3  発達障害者の支援は、個々の発達障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、その意思決定の支援に配慮しつつ、切れ目なく行われなければならない。
引用http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/1376867.htm

例えばここ
http://icedd.nise.go.jp/index.php?action=menu_view_mobile_init&room_id=15&page_id=15&nc_session=2767it8ufn1sqnfo2imt67hlf0
が有用です。

→神経発達障害児・者の教育は主にどこが担っているの?
以前までの特殊教育は特別支援学校が担っていて、主に知的障害児向けの学習は教科・領域を合わせた具体的な指導(生活学習、作業学習など)が有効で、知的能力に限界のある障害児向けの抽象的な教育は無効であるとされている。ABAやTEACCHといったようなプログラムは浸透していない。→http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm

☆発達障害などの診断基準は、インターネットの至るところに転がっているけども、自己評価尺度はあくまでも参考。それを持参して病院に受診に向かうのは良いかも知れない。
☆判断材料を持っているのは患者本人だけども、あくまでも経験的な知識を持っていて診断を下せるのは医師の役割。
☆発達障害は、都道府県が専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院、または診療所で診断され治療されるものであって、自己診断して自己治療するものではないし、親しい友人や家族が診断し治療するものでもない。

(僕個人としては、実際に生きてきてADHDであることにより「自分がどれだけ無視したくなくても」「不注意で聞き漏らしたくなくても」「同時並行して物事を進めることが難しいのにやらなければならなくて」「やらなければ僕と他の人全員が怒られるから何とかしてやらないとならなくて」やろうとしても「できない」ことの方がはるかに嫌だし、今も嫌だと思うことが遥かに嫌。自分の行動が異常なことが悲しいしつらいし苦しいし寂しいし絶望的に嫌。
→従って、薬で行動修正できる可能性があるならば、修正できる可能性を選ぶ。)

・まず、医師に診断をしてもらいましょう。
診断をしてもらうことは、支援を受けて、治療を始めるための第一歩です。

・無理をすればASDの薬(例えばSDA:リスパダール、アリピプラゾール、オランザピン)はもちろん、ADHDの薬(例えばクロニジン、ノリトレン、オランザピンとフルオキセチン)を個人輸入などで買えるが、何が起きても誰も何の保証もしてくれない。僕はあらゆる薬を試してみたが、基本的に認可されている薬よりも効果がある薬など存在しないので、普通に自立支援制度を用いて診察と投薬治療を受けている方が良いです。

・国際的にはすでに障害程度は知能指数IQだけでなく、適応行動の観点からも評価されており、高機能ASDやADHDなど、知的能力以外の側面に障害を抱える人々への支援が充実してきている。

・DSM-5の診断においては知的能力よりも社会適応の観点が重視されており、日本においてもヴァインランド-Ⅱ適応行動評価尺度
https://www.nichibun.co.jp/kensa/detail/vineland2.html
が漸次導入されてきている。今後、標準化されると思われる。検査項目は適応行動と不適応行動を含んでおり、実際に行うことができる行動を評価対象としている。適応行動総合得点は、ウェクスラー式知能検査と同様の標準化スコアを採用していることから、DSM-5における知的能力発達障害とASDとの鑑別において、重要な役割を果たすと考えられる。

・『国民年金・厚生年金保険精神の障害に係る等級判定ガイドライン』の策定に見られるように、日本においては地域によって不当な扱いを受け、差別されていたというのが実際のところだったと言える。https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000130041.html

・だが日本ではいまだ障害の程度はIQが基準であり、対人関係や社会性など、日々の生活や行動上の適応の困難さが明確でも、IQが高いと評価されにくい現状がある(自立できているということに重点を置くと、確かにそう思われがちであるだろう)。知的機能以外の面で様々な生活上の困難を示す発達障害児者が、必要な支援を受けられないという不都合が生じているのが実際の所だろう。(そのため「医師の診断を受けてください」と重ねて言っています。)

・“発達障害”というものの特性上、知的障害や学習障害、または著明な社会的不適応(視線が合わない、友達と遊べないなど)を伴う場合が幼少期から多く見られるケースがまず障害者福祉の制度に助けられる。理由は「異常が明らかなため」で、医療も診断を出しやすく、福祉も支援を出しやすくなるため。

・大人になってから「発達障害ではないか」と思って病院に行けば、治療は受けられるだろう。しかし病名がなかなか決まらないかも知れない。例えば最初は適応障害とか、うつ病とか、社会不安障害と言われて治療を開始することがありうる。抗うつ薬や抗不安薬を出してもらいながら、その中で生活面を色々と遡って調べてもらうと『あれ?何だか似たようなパターンをずっと繰り返しているような…』と医師も患者も思い当たるかも知れない。そこからがようやく何度目か繰り返してきたスタートになる。

・自立支援医療制度を申請して治療をしていくには、精神障害者となる必要がある。もうちょっと踏み込んで、生活状態を改善するために福祉サービスを利用してホームヘルパーに来てもらったり、訪問看護に来てもらったり、定期的にモニタリングしてもらう等の支援を受けるには「支援が必要な理由」が必要となる。

・さてここで心理検査がようやく役立ちます。「明らかに支援が必要な水準である」ことが客観的に証明できればいいわけですし、更には病気のアセスメント(今後の分析)もできます。そうして診断書を作ってもらって、必要ならば傷病手当金や障害年金の申請と同時に障害者手帳の交付申請を行うとよいです。

・もし今現在の月収が都市圏では13~14万円以下で、地方では月収12~10万円以下で精神保健福祉手帳を申請し、精神障害者となる予定ならば、同時に障害年金の申請を行う方がより良い選択肢だと思う。

・精神保健福祉手帳(障害者手帳)を取得するメリットとデメリットってどういうものがあるの?


発達障害者が身体障害者手帳・精神保健福祉手帳・療育手帳などを取得するメリットとデメリットを考えてみようと思います。まず、なぜ取得するのかですが、それは生きる上でメリットがあるからですね。メリットは本当にたくさんあります。いずれも生きるために本当に役立つものです。

【手帳取得のメリット】

・住民税、所得税、贈与税などの税金の控除
(障害等級や手帳の種別によって額が異なる)
・各種交通機関の利用料金の割引(場合による)
・公共施設などの利用料金の割引
・NHK受信料減額または免除
・自動車税と自動車取得税の軽減(1級のみ)
・福祉手当
・公営住宅の優先入居
・障害者雇用の就職活動(障害者雇用)が可能になる、障害者職場適応訓練(いわゆる「実習」が可能になる)
・貯金などの利子と利息が非課税になる
利子や預貯金(350万円まで)
・障害者雇用で就労していた場合、失業した際に就労困難者に該当することがあり、失業保険の給付期間が最大360日まで延長される
このようなものが挙げられます。
他にも自治体によっては行われているものもあります。(上下水道料金の減額、医療費の減額など)。詳細は自治体にお問い合わせください。

☆手帳取得のメリットは【減税】【控除】【利用料金割引】【福祉手当】【NHK受信料免除】【貯金や国債の利息や利子が非課税】【失業保険の延長給付】です。

何でこんなにメリットばかりあるのか、ズルくないか?という方に対しては1つ言うべきことがあるのですが、まず前提として以下のことが精神保健福祉手帳の交付の際において考えられています。


(以下引用)
「障害等級の基本的なとらえ方
障害等級を判定基準に照らして判定する際の各障害等級の基本的なとらえ方を参考として示すと、おおむね以下のとおりである。
(1) 1級
精神障害が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは、他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
例えば、入院患者においては、院内での生活に常時援助を必要とする。在宅患者においては、医療機関等への外出を自発的にできず、付き添いが必要である。家庭生括においても、適切な食事を用意したり、後片付け等の家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時援助を必要とする。
親しい人との交流も乏しく引きこもりがちである。自発性が著しく乏しい。自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。些細な出来事で、病状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理は困難である。日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。
(2) 2級
精神障害の状態が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものである。この日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は困難な程度のものである。
例えば、付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。医療機関等に行く等の習慣化された外出はできる。また、デイケア、障害者自立支援法に基づく自立訓練(生活訓練)、就労移行支援事業や就労継続支援事業等を利用することができる。食事をバランス良く用意する等の家事をこなすために、助言や援助を必要とする。清潔保持が自発的かつ適切にはできない。社会的な対人交流は乏しいが引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと病状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。
(3) 3級
精神障害の状態が、日常生活又は社会生活に制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度のものである。
例えば、一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難である。デイケア、障害者自立支援法に基づく自立訓練(生活訓練)、就労移行支援事業や就労継続支援事業等を利用する者、あるいは保護的配慮のある事業所で、雇用契約による一般就労をしている者も含まれる。日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じてくることもある。清潔保持は困難が少ない。対人交流は乏しくない。引きこもりがちではない。自主的な行動や、社会生活の中で発言が適切にできないことがある。行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。金銭管理はおおむねできる。社会生活の中で不適当な行動をとってしまうことは少ない」
引用元:
厚生労働省,精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4615&dataType=1&pageNo=1

手帳を取れる人は、ざっくりと言うと
・1級の人は
食事、清潔の維持、清掃、お金の管理、入院生活、後片付けなど、自分のことをする上で援助なしには何もできないので、常に全部のことに誰かに付いてもらって援助が必要で、周りにペースを合わせるのはできない人。

・2級の人は
生活習慣が確立したら出来るようになることが増えるが、ストレスに対処する能力は低く、自発的になにかを行うことが難しいために、日常生活において援助が必要で、周りにペースを合わせるのは援助があれば少しできる人。

・3級の人は
ストレスが大きいと対処が困難になるが、だいたいのことを自発的に行うことができることから、支援がある障害者雇用などにおいては就労も行うことができ、お金の管理もでき、周りにペースを合わせることも少しできる人。

ざっくり言うと
「手帳を取得する人は、自分の身の回りのことをするのも難しいし、ストレスに対処できないし、働くのが難しい人」です

【手帳取得のデメリット】

・保険においては多くの場合において告知義務が発生するため、手帳取得後の民間医療・生命保険の加入が困難になる(特に生命保険)
・ローンや団信(住宅ローン)加入が難しくなる
・障害者であることを開示した場合、友人関係、知人との付き合い、恋愛、結婚、見合いなどが難しい場合があるかもしれない
・障害者であることを開示した場合、周囲の理解が得られにくい場合があれば、昇進や地位や給与が見込めない可能性があるかもしれない(障害者の場合、通常の昇進からは外れてしまうケースが残念ながらほとんどである)

☆デメリットの主なものは
【保険】【ローン】【社会的地位】【うわさ】【スティグマ】です。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

それでもやっぱり
『どうしても誰にも言えない、でも治療はしたい、薬は飲みたい、だから自己責任で薬を個人輸入して自己治療する」
という人向けにいくつか書こうと思います。

まず、残念ながら個人輸入ができる薬では、ADHDの症状をコントロールすることはとても難しいと思われます。
その理由ですが、
【ADHD治療薬として用いることが可能であるのは、インチュニブの元となっている血圧降下剤のクロニジン(カタプレス)以外にない】ためです。
一方で、
【自閉症スペクトラム障害(ASD)に用いることが可能である薬は、リスペリドン、アリピプラゾール、オランザピンなどであり、これらは個人輸入可能】
このことから、ASDをコントロールしながら生活することは一定程度可能であると思われます。

①薬物治療はなぜ必要なの?というか薬物治療しないとならない症状(障害)は具体的に何か分かるの?
→そもそも薬物治療するかどうかすら、あなたが決めていいのです。
★発達障害は多くの症状が正常からの逸脱ですから、かなりひどい逸脱→そこそこに逸脱している程度に落とし込めればよい訳です。
・すべてをコントロールするのは“無理”です。
★標的にするべき症状(障害)はなんですか?
→例えばASDなら易刺激性や易怒性、ADHDなら多動と不注意、そしてそれらに伴う/または独立してチック、知的障害、コミュニケーション障害があり、うつ病やPTSDや双極性障害などが併存しています。

何も考えていない方はこういうように思っていませんか…?


・薬は親や先生が飲めと言うので飲みます。
・みんなが飲んでるから飲むだけです。
・え?薬は飲まないとダメなんじゃないの?
・薬は飲まないと治らないから。
・良く分からないけど、とりあえず薬がほしいです。

もちろんこのように最初から無条件に考えろと言うのも変な話ですが、服薬を守るという意味ではこのように考えている方が良いかも知れません。

・治療に有効だという根拠があるから飲みます。
・薬を飲めば気が散ってイライラしなくなるらしいから、試してみたい。
・多動が改善されるらしいから試してみたい。
・パニックにならなくなるらしいから飲みたい。
・気持ちが落ち着くらしいから飲みたい。
・不注意が改善されるらしいから飲みたい。

②でも“どこまで”“どれくらい”よくなればいいの?

☆個人輸入で薬物治療を行う上でまず考えてほしいことがあります。それは

・「発達障害は境界があいまいで相対的な概念である」ことに注意しなければならない(例えば、身長の高い/低い人、そそっかしい人、こだわりのある/ない人、など)
・平均からのズレを薬で補整するということ自体について、どこまでどれくらいすればいいのかを考えて行う必要がある→個性で済むならそれでもいいのだし、それでは済まないのなら(例えば、実際に生活に支障を来しているならば)投薬するべきだろう
・投薬のコストとメリット/デメリットを考えること:環境を変えずに問題だけを取り上げて投薬しても、ほとんど効果はないと言っていい。環境調節と薬物療法は両方とも必要がある
・発達障害の症状そのものが問題なのか、社会不適応行動が問題なのかを考える必要がある:不適応なレベルだと自分が思っているレベルと、他者が思っているレベルに差がないか?


☆自分だけで個人輸入をして薬物治療を進めると、必ず“どこまで”“どれくらい”よくなればいいのかが分からなくなってきます。客観的なモニタリングを怠っているために起こることが多いです。薬の投薬治療前(ここが無ければ何もかも分かりません)、開始後、増量中、そして固定後、また減量中には必ずモニタリングを行いましょう。

ADHDのモニタリング→https://images.app.goo.gl/DvpqnSZVN82r5Urc6
https://ameblo.jp/wako-clinic/image-12390327708-14227804884.html

ASDのモニタリング→https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00892/contents/0001.htm
http://jihei.health-ask.net/inspection/selfcheck/

うつ病のモニタリング→http://www.sannoclinic.jp/bdi.html





・どれくらいの量を飲めばいいか?
・量や薬物の変更は必要か?
・これは副作用なのか、主作用か?
・これは望んだ効果か、そうではないか?
・この状態を継続することに問題はないか?
→そのためにはカルテを作る必要があります。

③最低限レベルのカルテを作りましょう。
【1】日付、天気、温度
【2】主な調子について:気分はいいか、調子はどうか、イライラしないか
【3】睡眠はどうか(眠れたか、眠れなかったか、途中で起きたか、その他)
【4】食欲はどうか(ある・ない、ご飯はおいしい・ご飯はおいしくない・その他)
【5】その他、変わったことはあったか、特記事項
【6】ボールペンで書いて、長期保管できるように、いつでも取り出せるようにファイリングしましょう。

④医薬品添付文書を読むようにして、薬の知識を持っておきましょう。

投薬治療が可能とされる発達障害は以下のものがあります。
・自閉症スペクトラム障害
・注意欠陥多動性障害(AD/HD)
・トゥレット症候群(心理教育、認知療法、認知行動療法を薬物療法と併用することが望ましい)
・コミュニケーション障害(薬物療法単独での治療は基本的に行わない。認知療法、行動療法、認知行動療法との組合せが最善である。コミュニケーション障害そのものを問題とするよりもまず、コミュニケーション不全が生じにくい環境調整から先に行わなければならないのは言うまでもない。コミュ障が突然現れる訳ではなく、コミュ障を定義する環境側の方からまず垣根を下げないことには問題の根本的な解決には繋がりにくい。「コミュニケーションが“できない奴”がいるから」ではなく、ある程度できなかろうが、別にそれでも受け入れられる環境があればそれでいいわけであるから)
・チック症(心理教育を優先して行う事を旨とすること。コミュニケーション障害と同様に、ある程度緊張やストレスなどによるチックが生じることは当然のことなので仕方がない。周りの人も本人もそれを理解することがとても大切だし、その点では「この場」における信頼関係がとても大きく関わってくると言える)

併存疾患
・攻撃性/易刺激性/自傷行為
・知的能力障害
・うつ病
・ADHD
・チック症
・トゥレット症候群
・コミュニケーション障害
・抑うつ障害
・常動行動
・激怒
・統合失調症
・気分障害(双極性障害、気分変調性障害)
・パニック障害
・不安障害

☆例えば、自閉症スペクトラム障害の治療薬としては主に非定型抗精神病薬であるリスペリドンとアリピプラゾールを用いることが多いです。これらは主に「イライラする感じ」「物や人に八つ当たりしたくなる感じ」「自分をつねったり叩いたりしたい感じ」「誰かを叩いたり蹴ったりしたい感じ」「走り回ったり、飛び跳ねたり、叫んだりしたい感じ」「急がされて焦っていてつらい感じ」「誰かに見られている感じ」「腹が立つ感じ」「ムシャクシャする感じ」を和らげてくれます。

☆リスペリドンについては、例えば、商品名リスパダール 個人輸入、リスパダールジェネリック 個人輸入などで検索すると出てきます。
添付文書→https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/800155_1179038C1027_1_36
鎮静効果がそこそこにあるため、行動化がやや強く、パニックがやや強くなることがある人に向いている薬剤です。

☆アリピプラゾールは、例えば、商品名エビリファイ 個人輸入、エビリファイジェネリック 個人輸入で検索すると出てきます。
添付文書は→https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/180078_1179045B1021_1_33
双極性障害における抗躁作用、統合失調症、治療反応の乏しいうつ病への適応も認められている薬剤です。鎮静や体重増加を来しくく、他のSDAと比較すると、ふらつき・めまい・転倒が起こりにくい点も優れています。

☆他の自閉症スペクトラムの治療薬としては、
オランザピン(ジプレキサ)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/530471_1179044F1029_1_37
があります。これは鎮静効果が強いため、攻撃性や行動化の激しい人に向いている薬剤ですが、最も体重増加と血糖値上昇を来しやすいSDAなので、注意が必要です。また、この薬物は吐き気を止める作用があります。


☆注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療薬としてカプベイの代わりに使えるのがクロニジンです。
https://www.info.pmda.go.jp/go/pdf/650168_2149001F1034_1_07
(例えば、商品名カタプレス、アルカミン、クロディクト)。
残念ながら用法および用量はカプベイとは異なり、一日三回服用が必要な即時放出型製剤ですので、一日三回服用の高血圧のそれに準じるものになるでしょうが、元々血圧を下げる薬であることから、血圧のモニタリングがなければ危険ですので、朝夕必ず血圧の変化を測定しながら服用する必要があるでしょう。
作用自体はインチュニブよりも副作用が強く、血圧低下作用と鎮静作用が強いです。従って、どちらかというとより易怒性、攻撃性、衝動性が強いADHDの人(ADHDと双極性障害を合併しているなど)向きなのだと思います。

⑤最後になりますが、自己責任です。
それでも大丈夫でしたら、どうぞ。

続けている間に気が変わってきて、なんかめんどうになってきたら友達に会って話してみたり、病院に行って、洗いざらい話して見てください。
きっとそういう面倒な患者のことも見てくれて、治療してくれるところもあると思います。その時はもう決して自己治療はしないようにしてくださいね。

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