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雪世飛行
手垢にまみれたライターで
煙草に火をつける
普通が迫る
今朝の新聞の見出しは
鹿児島県歴史的大雪
五文字以上陳列された漢字は
信憑性を欠くのだと
友が発言していたのを思い出す
カメラとダウンを持ち家を出る
軒に連なる作り物のような氷柱や
某テーマパークさながらの屋根の雪化粧は
繊細な幻ではないかと錯覚する
静寂に咲いた景色が
ファインダー越しに滲む
半押しのシャッターが輪郭を切り抜く
一瞬の快楽である
脳内で犇めき合っていた大小の感情が
日常から乖離していくような感覚、
非日常に身を委ねるのだ
せめてこの雪が溶けきらないうちは
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