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サンタを疑った子ども心

おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡
本日はとらねこさん企画、文豪へのいざない第12弾、《サンタを疑った子ども心》について書く所存でございます。

確かにサンタはいると僕は信じていました。
クリスマスの時期が近づくと、母親が僕に欲しい物を聞いてきた記憶が残っています。
25日の朝、僕の枕元にプレゼントが置いてあったのです。
僕は嬉しくて飛び起きると、ガッツポーズをして階段を駆け下りました。
すると妹もプレゼントを持って喜んでいたのを覚えています。ちなみに妹とは双子です。二卵性双生児なので全く似ていませんけどネ!

だけど小学校2年生の時、僕は初めてサンタを疑う事になります。
それは近所に住む安達君と下校していた時です。
「サンタなんているわけないじゃん」
3年生の足立君に言われた。
「なんで? なんで? だって朝起きるとプレゼントが置いてあるもん」
僕は抵抗します。
すると安達君がため息をつきました。
「ぢゃあ、サンタは一晩で日本中の子供たちにプレゼントを配っている事になるだろ。そんなことできると思う?」
安達君に言われた僕は、黙ってしまいました。確かに安達君の言う通りだ。
「サンタが飛べれば可能性はあるけどね。ブフッ」
安達君に鼻で笑われた。
僕は全身が熱くなるのを感じた。
「サンタは絶対にいる!」
僕は安達君の右足を踏みつけた。
「や、やめろよ」
僕は安達君を置いて一人で家に帰って行きました。

夕ご飯を食べながら、僕は妹とサンタについて協議した。小2の協議。
「サンタはいるだろ?」
僕の問いかけに妹が言った。
「どうかな。そろそろかな?」
妹が曖昧な答えを述べた。
「だって、いつもプレゼントをくれるじゃないか。それも欲しがっている物を」
「そこが怪しいじゃん。世界中の子供たちのプレゼントをサンタさんは覚えているのかな?」
妹がお味噌汁をずずずッと音を立てて飲んだ。確かに妹の言う事も分かる。安達君は日本中と言っていたけど、妹は世界中と言っている。
家の電話が鳴った。お母さんが電話でしゃべり始めた。
「サンタさんに何をお願いしたの?」
妹が聞いてきた。
「おれはミニ四駆セット」
「わたしはお人形セット3500円」
妹がニヤッと笑った。僕はちょっと怖いと思った。
「今日は寝ないで起きているか」
僕の提案に、骨付きチキンにかぶりついた妹が言った。
「いいよ」
その夜、僕は布団に入った。夜の9時過ぎだ。僕はずっと天井を見ている。
僕は壁をトントンと叩いた。
まもなく隣の部屋からもドンドンという音が返ってきた。妹もまだ起きている。
いつもはオレンジ色の明かりで寝るているけど、今日はこのまま、明るいままでずっと起きていよう。

階段を登ってくる足音で目が覚めた。
僕は枕元を見た。
何もなかった。
時計を見ると、11時過ぎになっていた。いつの間にか寝てしまった。
どうやらお父さんが帰ってきたみたいだ。
僕は壁をトントンと叩いた。何の反応もない。もう一度叩いてみる。
どうやら妹は寝てしまったようだ。
仕方がない。後は僕が、お兄ちゃんが起きているしかない。
僕は寝返りをうつと、おならをした。
その音が面白くて、僕は笑った。そのまま笑いが止まらなくなった。

気づくとカーテン側から光が漏れていた。
僕は時計を見た。
時刻は6時を過ぎていた。部屋の明かりが消えている。
僕の左手が何かにぶつかった音がした。
見ると枕元にプレゼントが置いてあった。
僕は急いで紙の包装紙を開けた。
ミニ四駆の箱だった。僕の欲しかった種類じゃないけど、それでも僕の心は大きく弾んだ。
僕は妹の部屋に入った。
妹はすでに起きていて、お人形セットで遊んでいた。
「サンタは見れたか?」
僕は妹に声をかけた。
「もういいじゃん。サンタさんはいるんだよ。信じた子供にだけやってくるんだよ」
妹はそのままお人形セットの世界に没入していった。


ってな感じで、1度はサンタを疑うも、結果、信じる子は救われるという概念から、サンタは存在すると僕は結論づけたのであった。
ちなみにサンタがいないと判明したのは、3年後の小5になってからだ。25日の朝に起きるも枕元にプレゼントが置いてなかったからだ。だけど僕はその頃、サンタの存在すら忘れかけていたし、プレゼントをもらえる子供から卒業してしまったのだと、悲しんだ記憶が残っています。

何かを信じて祈る事は、人生に於いて僕は必要な事だと思います。まずは自分を信じる。その結果、たとえ裏切られたとしても、それは自分が成長する為に必要な体験をしたのだと思えばいい。別に命まで取られることはないのだから。

過日、母親に僕は聞いたことがる。
クリスマスプレゼントはいつ置いていたのかと。
すると母親がこう答えた。
「朝の5時くらいかな。2人ともすやすや寝ていて気付かないんだもの…」
母親のクスッと笑ったあの顔が、今でも僕の脳裏に焼き付いている。

安心して下さい。今でも両親と妹も健在ですョ!


【了】


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