久しぶりに電車に乗ったら…
みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡
過日。久しぶりに電車に乗りました。普段、僕は自家用車オンリーの人間。100m先にあるコンビニエンスストアに行く時だって、自家用車を使用してしまうくらい、僕は根っからの面倒くさがり屋なのです。
そんな僕がサ、急遽ですよ、レンタカーを返却し、3キロ以上あるリュックサックを背負いながら、ノートパソコンを持ちながら、駅構内に設置してある見慣れない掲示板をガン見し、切符を購入しました。
上り線、下り線を間違えないように、またリュックサックとノートパソコンが人々に当たらないよう、最新の注意を払いながら、ようやっと目的の電車に乗りました。
すると、4人掛けのボックス席、それも窓側の席が空いているではありませんか。内心、嫌々で乗った電車。しかも時刻は18時過ぎ。きっと座れないだろうと思っていたのに、まさかの展開に僕の心はウキウキしました。
僕はリュックサックを網棚に乗せました。
その際、腰に違和感が走りました。
ノートパソコンを手に持つと、「すみません。スミマセン」と2回言ってから、僕は席に着きました。
これで一安心。
僕の隣にはウトウトしている高齢の男性。
僕の左斜め前にはカバンと買い物袋を持っている、おそらく40代の主婦。
そして、僕の目の前にはどなたが座っているのかと、僕はズボンのポケットからスマホを取り出しながら、何気なく、さりげなく、チラッと見た。
僕の目の前に座っていたのは、『メガネをかけている』女性。
メガネ女性は20代で、黒髪のロングで、両耳にピアス2個。
おそらくですが、アジア人でありながらも、日本人ではないと推測。
眼光鋭く、首を傾げながら、スマホを見ています。
そして僕は、彼女のかけているメガネの右側のレンズが汚れているのを発見。それは汚れなのか、指紋なのか判別がつかないけど、兎に角、レンズが汚れているのです。
何も汚れる要素は皆無なのにと思ったその刹那、車窓の下側に設置してあるテーブル、ちょうど2個のペットボトルが置けるサイズのテーブルの片方に置いてある物を見て、僕は愕然としたのです………。
なんとそこには、封を切った『じゃがりこ』が置いてあったのです。
まさかと思いきや、僕はスマホをチラ見しながら様子を伺います。
コロナは一旦落ち着いているけど、インフルエンザはまだ収束していない最中に、車内で飲食をしているとは、見上げたものですネ!
するとメガネ女性が、スマホを見たまま、じゃがりこに手を伸ばしました。
人差し指と中指で1本のじゃがりこを持つと、そのまま口に運びました。
「ボリボリボリボリ…」
車内にこまだする、じゃがりこを咀嚼する音。
しかもメガネ女性は、無表情で食べています。きっとスマホに夢中なのでしょう。
「ボリボリボリボリ………ごくんッ」
思いっきり、メガネ女性の喉が鳴りました。
僕は吹き出しそうになり、大急ぎで口元を右手で塞ぎました。
メガネ女性はイヤホンをしているので、自然と咀嚼音も大きくなっているのでしょう。
嗚呼…面白過ぎる。これは最高の席、VIP席に座れたも同然です。
帰宅ラッシュ時の電車内で、一人じゃがりこを爆食いするメガネ女性。
「ボリボリボリボリ………ごくんッ」
「ボリボリボリボリ………ごくんッ」
「ボリボリボリボリ………ごくんッ」
じゃがりこを食べるペースが上がってきました。
よほどの空腹なのでしょう。
それでも時刻は19時前です。
「我慢しなさい。もうすぐお母さんが拵えた夕飯が待っていますョ」
という言葉を飲み込んだ僕は、それでも彼女から目が離せません。
ってか、これだけの面白い光景が広がっているというのに、周囲の人たちが全く気付いていないのです。絶望します。
「ボリボリボリボリ………ごくんッ」
その時メガネ女性が、メガネのレンズに触れました。
そうです、やはりメガネレンズに付着した汚れの原因は、じゃがりこだったのです。
さらにスマホの世界に没頭しているメガネ女性。今度は指に付着したじゃがりこのカスを落とし始めました。
「ここはお前の部屋か?」
なんて言葉を飲み込んだ僕。偉いでしょ?
15分が経過しました。
メガネ女性が再度、じゃがりこに手を伸ばしました。
しかし、じゃがりこが取れません。
彼女の手がじゃがりこの容器内をまさぐっています。
「もうやめて…面白過ぎるじゃん」
ここでようやく、メガネ女性の視線がスマホからじゃがりこに移りました。
空になったじゃがりこを見たメガネ女性、なんと目元がウルウルし始めたではありませんか。
その勢いのまま、僕と目が合いました。
「アナタ、食べたでしょ?」的な目で…。
「いやいやいや…それは無理があるでしょう。誰があなたのじゃがりこ爆食いの隙をついて食べる事ができようか。全く、勘弁してくれョ」
って言葉を僕は飲み込むと同時に、僕は車内で一人、こう思います。
「嗚呼…僕はいま、最高のヒューマンドラマを見ているのだ!」
すると彼女は空になったじゃがりこを紙バックにしまいました。
そこでようやっと、僕はじゃがりこの匂いを感じました。マスクをしていたので匂いに気づきませんでした。
嗚呼、面白かった。
最高のヒューマンドラマをありがとう。
僕はそう念じると、ようやくスマホに視線を落としました。
だけどメガネ女性が、まだ紙バック内をまさぐっています。
まさか2個目のじゃがりこが出てくるのではという淡い期待を覚えながら、僕はスマホを見ています。
ようやくメガネ女性が目的の品を取り出しました。
僕の視線はまだ、スマホを見ています。
メガネ女性が何かを開ける音がしました。
おそらく食べ物です。じゃがりこではなかったです。
僕は一呼吸置いてから、スマホから視線を上げました。
メガネ女性を見た僕は、愕然としました。
なんとメガネ女性が大口をあけて、鼻の穴のブラックホールを全開にして、まるで恵方巻を食べるかのように、『スニッカーズ』を口に運んだのです。
「なんで…なんでスニッカーズなの? しかもそんな大口を開ける必要があるのかな…それにしても面白過ぎるでしょう」
僕は俯いて笑いを堪えます。
いや…マジでメガネ女性の表情と言ったら、大蛇が規格外のネズミを飲み込む時のように見えたのです。
「腹筋が攣りそうだ…」
「だからさっきも思ったけど、ここはお前の部屋ではないのだョ…」
僕は何とか笑いを堪えると、視線を上げました。
表情ひとつ変えずにスマホを見ているメガネ女性。
もはや彼女は、いまや悟りの境地なのかも知れません。
大いに楽しませて頂いた僕は満足。
次の駅で僕は降ります。
車内で立っている人はもういません。
僕の横でウトウトしていた男性が席を立ちました。
斜め前の40代女性も席を立ちました。
メガネ女性と僕だけ、BOX席に座っています。
僕は網棚からリュックサックを下しました。
そのままウトウトしていた男性の席に座りました。
車掌がアナウンスしました。
ここで、メガネ女性とはお別れです。
「ありがとう、メガネ女性。お陰さまでストレスが霧消しました!」
僕は席を立つと、リュックサックを背負いました。
あまりにも名残惜しいので、僕はスマホを見るフリをしながら、もう一度メガネ女性を見ました。
すると、ここでミラクルが起こりました!
じゃがりこの時と同様に、スマホから視線を一切動かさないメガネ女性。
つまり感覚でスニッカーズを口に運んでいたです。
なんとそのスニッカーズが、右目のレンズに直撃したのです!
「噓でしょ?」
なので一瞬、メガネ女性の後頭部が後ろに流れました。
それはそうですよね、口に運んだスニッカーズが、右目のレンズに当たったのですから。
だけどメガネ女性は、何事もなかったかのように、スニッカーズを軌道修正し、口に運びました。
美味しそうに咀嚼しています。
ってか、右目のレンズの半分が茶色に染まっているのに、動じないメガネ女性。スマホだって見づらいでしょ?
「もう勘弁して…」
僕はノートパソコンを手に持つと、ボックス席を離れました。
降車後、僕はホームに設置してある椅子に座り、笑いが収まるのを待ちました。
大笑いと大涙を流した僕は、フル充電となりました。
みなさん、たまには電車に乗るのも良いですネ!
【了】
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