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今年のバレンタインデー回想目録

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

本日はとらねこさん企画、文豪へのいざない第22弾、《今年のバレンタインデー回想目録》について、書かせて頂きます。


僕は市役所のトイレから出ると、自動ドアを通過した。
すると僕の車の目の前に、一人の女性が立っているではありませんか。

本日は2月14日。そう、バレンタインデーでございます。

「あのさあ~それってバレバレぢゃない?」

吹き出しそうになる自分を押さえながら、僕はわずかにスキップ気味で彼女の横に立ちました。

「お待たせ。どうした?」
彼女がモジモジしているのを僕は確認しました。

「あの…」
彼女が口ごもった。
分かる…分かるよ。

でもサ、そこはサ、勇気を出して言わないとサ。

すると彼女は背負っていた、小さなリュックサックのチャックをOpen!
いよいよこの時がきた。まさに機が熟したのである。

僕は右手で自分の髪をかき上げました。かき上げる程のボリュームが無いのにも関わらず…。

まあここはさあ~カッコつけさせて下さいよォ。


そして彼女が、か細い声で言った。

「あの…不倶戴天の敵って、どういう意味でしょうか?」


「はいっ?」

彼女の口から、不敵な四字熟語が発せられたのと同時に、彼女がリュックサックから取り出したのは、手のひらサイズのメモ帳とボールペンだったのだ。

僕はしばし、言葉を失った。

何だって? 不俱戴天の敵だとぅ?
君はバレンタインデーを知らないとでも言うのか?

それに今は10時30分。仕事の都合で市役所に来たけど、不俱戴天の敵って言葉は、当社では使用しないよ? それどころか、メモ帳にメモろうとしているじゃん。大丈夫かな?

すると彼女がもう一度口を開いた。
「不俱戴天の敵って、こないだの飲み会でTAKAYUKIさんが言ってたじゃないですかあ。なんか気になっちゃって………しゅいません」
彼女がすみませんを、しゅいませんと言った。

僕はこの時、この世の終わりが近づいていることを確認した。


先日の飲み会で話題が三国志となり、確かに僕は不俱戴天の敵と言う言葉を使用した。それは間違いない。

だけどサ、何度も言うけど仕事中に話す言葉じゃないし、何も2月14日のバレンタインデーの日に言う言葉じゃないよね。不俱戴天の敵って。

それに君から『不俱戴天の敵』って言われるような非道な事を、僕がしたとでも言うのであろうか。

答えはノーだ。断じてNOだ!

何より、チョコを渡すには、最高の場面だったじゃないか………。

何より、僕が髪の毛をかき上げたシーンを返してくれ。恥ずかし過ぎるッ。

ってか、スマホで検索したらすぐに分かるでしょうに!


この後、僕は彼女を助手席に乗せたまま、虚無な1日を過ごすことになった。

ってな訳で、今年のチョコはゼロ。虚無のゼロ。糖質OFFのゼロでした!


どうかこの先の人生で、2月14日のバレンタインデーが、不俱戴天の敵という名称に変わらんことを願うばかりです。


うくくッ。


【了】


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