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人間観察のクセ

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

過日。ビジネスホテルに投宿。
チェックインを済ませ部屋に入る。そして猫の額ほどのバスタブに浸かった。肩まで浸かれないので温まった感じがしない。

ホテルの部屋着はセンスがないので、自前の部屋着を着用。

「それでははじめますか!」

スーパーマーケットで購入したお惣菜を持つと、僕は1Fの電子レンジ置き場に向かった。少しでも美味しいルービーを飲む為に、5Fから階段で下りた。
少し目が回って、早くも酔ってしまった。

朝食会場のテーブルに10人ほどの男女が酒宴をしていた。熱気が伝わってくる。だけどその割には、テーブルに並んでいるのは安酒とスナック菓子のみ。何とも寂しい酒とアテである。

僕は彼らをスルーし、つくねの大葉巻を電子レンジに入れ、ONした。

「ブーン!」

快調に音を上げる電子レンジ。

「でもさ、今の監督には不満がある。そうだろ?」

僕の耳に不穏な声が届いた。どうやら深刻な問題を抱えているようだ。
そういえばチェックインの手続きをしている時、ジャージを着用した中学生が数人いたのを僕は思い出した。

「サッカーの監督って、誰でもできるんでしょ?」
主婦目線の声が聞こえてきた。
「まあな。誰でもできる。毬蹴りなんだからよ」
既に泥酔しているのか、濁声の男性がサッカーを毬蹴りと呼んだ。

僕はカッと熱くなった。
「毬蹴りだとぅ? そんな差別用語を言っているから、問題が起きるんだョ。それにサッカーの監督をするにはライセンスを取得しないといけないのだョ。全く、この蛸烏賊集団が!」

という言葉を僕は発したかと言うと、発しなかった。

「ぢゃあ監督って誰にするのよ。他にいないじゃん」

蛸烏賊集団の中で、一番若い女性の声が聞こえた。

沈思黙考をはじめた蛸烏賊集団。
腕を組んだり、テーブルをガン見したり、天井を見上げたりしている。

ちょっと面白過ぎて、僕は笑いを堪えた。

きっと最初は楽しく飲んでいたのだと思う。おそらく明日は大会なのだろう。みんなで応援して全力でサポートしようって事で、決起の酒の場だったはず。

時刻は21時。おそらく2時間以上は飲んでいるだろうし、さらに安酒とスナック菓子をボリボリつまんだ結果、予想外の方向に話が飛んでしまったのだと、僕は推測した。

「チーン!」


電子レンジが声を上げた。
蛸烏賊集団が一斉に振り返り、僕を見た。
みんな目が真っ赤で、焦点が合っていない。

僕は次のお惣菜、筑前煮を電子レンジに入れ、ONした。

気まずい時間が流れている。

電子レンジの「ブーン」という音が、朝食会場に響き渡っている。

この状況が面白過ぎて、僕は吹き出しそうになるのを堪えた。

大の大人10人が酒に酔い、目を真っ赤にして沈思黙考している。

「今夜はお通夜なのかな?」

なんて想像して、さらに僕は笑いを堪える………。


「チーン!」

また蛸烏賊集団が僕の方を見た。

先生の合図で、「右向け~右!」と言われ号令に従う中学生のように、大の大人たちがこちらを見ている。

もうダメだ!

僕は熱々になったお惣菜を抱えてエレベーターに乗った。

話しの続きを聞きたかった。あれほど沈思黙考していたのだから、何か良い案が浮かんだはず。
だけど安酒とアテがスナック菓子では、逆にうたた寝をし始めた蛸烏賊さんが発生し、「今日はお開きにしよう」って事になったかも知れない。

いずれにしろ、虚無でしかないレンチン時間が、魔法をかけたかのように楽しいレンチン時間に変わった。

このように、僕は人間観察をするクセがついております。

ビジネスホテルに投宿する際は、レンチンしている男性にお気をつけ頂きたいと存じます。



【了】


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