自分の都合優先 VS 他者貢献 その2

 次の新紙幣の顔となる渋沢栄一さん。幕末から明治期にかけて活躍され、日本の「資本主義の父」とも言われています。大河ドラマ「青天を衝け」でも数々のエピソードが描かれていました。
 偉大な実業家というイメージが強いのですが、福祉や教育など、慈善・社会事業にも尽力され、浮浪少年や路上生活者、貧しい人のための「養育院」も建てました。収容された人々をずっと観ていて気がついたそうです。それは・・・。

          常に自分の都合だけを考えている

ということでした。苦しい生活をしている人ばかりなので、生きていく
ためには仕方がなかったのかもしれません。
 ただ、普通に考えると、自分のことだけ考えていれば、すぐにでも自分が幸せになっていきそうです。でも、自分だけ幸せになろうとしたら、むしろ、周りの人も良くならず、自分すら養っていけないで、どんどんと不幸になっていきました。
 そこから渋沢さんは、自分という人間の存在する意義が「自分のため」だけにあるのではなく、「社会のため」「人のため」にあるのではないかと考え、その実現のために多くの企業の設立や社会事業に携わったそうです。

 身の回りにある電化製品や車なども、もとは、考えた人の家族が家事などで大変な思いをしている、何とか楽をさせてやりたいという願いがもとで、開発につながったとよく聞きます。働くとは「傍(はた)を楽(らく)にすること」と言われることに通じるなと思います。

 「嫌われる勇気」という本がベストセラーになり、注目が集まったアドラー心理学では「他者貢献」が重視されます。「幸せとは、貢献感である」とまで言い切ります。他人からの評価ではなく、自分の主観で「自分は他の人に貢献している(役立っている)」と感じられる時、自分の価値を実感し、幸せになれる」と考えるそうです。 

 先日、「半沢直樹」の作者、池井戸潤さんが書いた「七つの会議」の映画を見ました。エンターテイメントとしても見ごたえがあっておもしろかったのですが、話の内容は、自分(自社)の都合を優先するかどうかが問われていたものでした。お客様のための販売ではなく、自分達のノルマ達成ばかりを目指し、自分の都合ばかりを優先した結果、不正が行われ、会社全体が窮地に陥る姿が描かれていました。
 逆に、同じ会社で夜遅くまで働く社員のためにと「社内のドーナツ販売」を考えた女子社員の仕事が、最終的には「成功」していたことが象徴的だったと思いました。どれだけ稼ぐかというお金の量にとらわれず、楽しそうに販売している姿が魅力的に見えました。

 私は、どんな仕事をしているか?
 少しでも他者貢献につながっていると感じる仕事ができると、より仕事に誇りがもてるのかなと考えさせられました。

       皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?