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【レポ】2023.4.14公演『部屋』鑑賞

0.公演概要

・日時・場所:2023年4月14日(金)於 UrBANGUILD
・作:別役実
・演出:広田ゆうみ
・出演:広田ゆうみ、二口大学
・あらすじ:打ち捨てられたアパートの一室。「あなた」とのすれ違いがきっかけで13年間暮らした部屋を出た女が7か月ぶりに帰ってきた。しかし、そこに「あなた」はいなかった。そんなとき、一人の男が部屋に入ってくる。

1.感想

トップの写真には、開演前の舞台を使わせていただきました。
写真なのにまるで絵画のような雰囲気。
実物も、そこだけ時が止まったかのような物静かな雰囲気に満ちていました。
それを破るような主人公の「あなた」という呼び声が、まだ耳に残っています。

本当に久しぶりに観劇しました。
幕が上がる瞬間、空気が変わります。役者も観客も問わずその場の全員が舞台に注目するからでしょうか。とても懐かしかったです。

この作品の作者である別役実氏は不条理劇を確立した第一人者だそうです。
とても不思議なお話でした。
そして、不条理劇だと分かっていても、どうにかして頭の中で理解しようとする自分がいる。
観劇後、少しごろごろする胸の中を感じながら帰りました。でも、このごろつく感じは、嫌なものではない。
どうにもならないものだったんだ、とあっさりした諦めのような、後味でした。

2.感想(ネタばれあり)

※ネタばれがありますので、読みたくない方は記事を閉じてください。


ラストに、結局は主人公自身が亡くなっていたことを観客は知ることになる。
その時、私は、主人公のいう「あなた」は幻想で、本当はもう一人の自分を指していたんじゃないかと考えた。それに、ちゃんとオチがつくなんて全然不条理ではないじゃないかと。

でも、物語の初めに、主人公はベッドで餓死した「あなた」を見て絶叫する。
「あなた」が幻想で、もう一人の「私」なら、死んだ自分をどうやって見ることができるのか?

単に、その部屋での13年間の生活が、主人公の妄想とは言えない気がしてきた。それに、主人公である「私」がどこからその「生活」を見ていたかも、不思議に思えてきた。
「あなた」は、私たちには見えないだけで、彼女の中にはいたのかも。

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