見出し画像

終章 到達

この本の最終章です。

紫式部は一条天皇の崩御、弟 惟規が亡くなった後も、
中宮様の元で宮仕えをしています。
中宮様も新しい帝にお后が迎えられたことで
皇太后さまとなります。

一条天皇の崩御後、泣き暮らしていたことが多かった皇太后さま(彰子様)
ですが、次第に、凛としたお姿、自立した方になっていきます。
その時の最高権力者であった実の父親の道長殿に対して、異を唱えるように
なっていったとのこと。それも筋を通したものだったので
他の公卿方も彰子様のお言葉にうなずく者たちも増えてきたようでした。

現在の大河ドラマ、「光る君へ」で、
お笑い芸人の「ロバート秋山」さんが 公卿役の
「藤原実資(さねすけ)」を演じています。
この藤原実資ですが、なかなか気骨のある筋を通した政治家だったようです。
この実資も彰子様のもとにしばしば足を運ぶようになり、その取次役をしたのが紫式部でした。彰子様のお言葉をしっかりと実資に伝えたとのこと。

実資は、「小右記(しょうゆうき)」という、内裏での出来事を
書き記しました。


すっかり頼もしくなった彰子様を見届けてから、紫式部も宮仕えを引退していっていたようです。
その時は紫式部自身の健康にも不安が生じてきたためだったようでした。

自分の里に帰り、昔の同僚だった小少将の君からの手紙や夫、宣孝から結婚前にもらった恋文、弟の文などの亡くなった人たちからもらった文を見ます。
形見の文を読むと、亡くなった人が生きていたころそれぞれの生き様を思いだすと語っています。

紫式部は宮仕え引退の前後かもしれませんが、自分の娘に女房として宮仕えの心得や、亡くなった人たちが詠んだ歌を集めた家集なども執筆されたようでした。

「この身が消えるまで、それでも私は生き続ける」と
いう文章でこの本は終わっています。

平均寿命が短い時代だったとはいえ、紫式部は周りの大切な人たちが次々と亡くなるという試練の多い人生だったと思います。

実は私の実母は50歳代以降、「源氏物語」を愛読していました。
もう3年前に亡くなりましたが。
市内のカルチャーセンターで古典文学の講座があってそれに
通っていたようです。
そこで知り合った友人たちと、京都に旅行に行き、源氏物語に出てくる場所を訪問したりして有意義で楽しい旅行だったと話していました。

私の母は普通の主婦でした。一緒に行った友人たちの中には主婦の方もいれば、学校の先生だった人や民間企業にずっと勤めていた人もいたようでした。源氏物語を通じての友人たちとの語らいも楽しかったようです。

母が生前、源氏物語のことを「ただの恋愛小説ではなく、人間を見つめている小説だ」などと話していたことがあります。

今年の大河ドラマ「光る君へ」がきっかけになって、私はまた再び、源氏物語を再考するべくこの本と出合えました。

これも仏様(母の?)お導きなのかもしれませんね・・・・・






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?