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あなたはYamahaDX7を知っていますか?

こんにちは南仙台の父です。
人生二度目のコロナにかかり、関係あるのかわかりませんが背中が痛くて
ギターが担げません。
本当はそろそろギターネタで行こうと思っていましたが、ギターを弾けな
い状況でギターの話も悔しいので、ちょっと別の話にしました。
写真は見たことがある方にとっては懐かしい機材かもしれません。
YamahaDX7です。
フルデジタルシンセとして80年代を席捲したシンセです。
今回はこれをネタにしてみたいと思います。

時々中古楽器店や〇ードオフとかで売っていたりするので、全盛期を知ら
ない方でも見たことがあるかもしれません。
80年代に登場して世界の音楽シーンを席捲したDXピアノをはじめとして
、様々なジャンルで活躍したシンセです。
今でもヤマハのシンセにはDX系列の音源が入っていたりするので、音を
再現したりできます。
DXに搭載されているのはFM音源といって、シンセの主流である音源とな
る波形をフィルターでカットする減算方式のシンセと異なり、正弦波を発
振するジェネレーターを直列または並列で繋ぐことで波形の干渉を起こし
て変調させる加算方式と呼ばれるシンセです。
FM音源は米・スタンフォード大学の発明ですが、これをヤマハが権利を買
い取り製品化したのがDXです。
DXが登場した80年代前半はまだアナログシンセが全盛でした。
そのため音質はウォームであっても安定しない、ざらついた感じがあった
り、フィルターで周波数成分をカットすることによる音とは一線を画した
DXの音は瞬く間に拡がっていきました。
80年代で最も売れたシンセだといってもいいかもしれません。
国内外の多くのプロミュージシャンによって使用され、ビデオクリップや
雑誌のライブ写真などでもDXを使っているのがわかります。
今でもYouTubeで当時の音源・動画を確認できますが、多くのミュージシ
ャンがDXを使っていたのがわかります。
ベルやチャイム系だったり、クリアなピアノなどが特に好まれ、これを前
提とした曲作りやアレンジだったりした時代でした。
今回はこうしたサウンド的な話ではなく、もっとマニアックな話です。

DXのソースとなるFM音源は元々はシンセのためではなく、電子オルガン
(エレクトーン)に搭載されたのが最初でした。
ヤマハでも電子オルガン(エレクトーン)の表現力向上や商品競争力の強
化を目的に大金をかけて買い取った技術でした。
ただ、これを電子オルガン(エレクトーン)だけに使うのはもったいない
ということでシンセに搭載して、フルデジタルコントール+MIDI搭載でプ
ログラマブルなシンセということでDX開発がスタートしています。
DXの前にGSシリーズというのが80年代初頭に誕生しています。
これは音色を変えることはできず、デカい本体にメモリーカードを読み込
んで音を入れるというキーボードでした。
名古屋・納屋橋のヤマハに出入りしていた関係でGS2を何度か弾かせてい
ただいたことがあります。
ヤマハもFM音源の普及のため積極的にGSを使ってもらう戦略だったので
、格安でライブに使わせてもらっていました。
当時私はまだキーボードを弾いていたので、こういう機会を得ることがで
きましたが、その頃エレピとして使われていたヤマハのCPなどと比べると
音は格段にクリアでリッチな感じがしました。
ヤマハの人からは「これがFM音源なんだよ。」って言われましたが、違い
がはっきりわかるし、当時のどの機材とも違うキャラクターはその後登場
するDXシリーズの成功を容易に想像できました。
今は単体でFM音源を使うこともありませんが、単体でも十分にプロが使え
るクオリティでした。
そりゃみんな飛びつくわなって感じでした。

実は私はDX7を買うことはありませんでしたが、練習スタジオにDX7が置
いてあることも多く、ライブで共用のエレピとして置かれていることも多
かったので、使う機会はかなりあって当時はかなり使っていました。
もちろん音を変えたりすることもできますが、自分の機材じゃないので変
えるなんてことはしませんが、プリセットでも十分使える上にプロミュー
ジシャンの多くがプリセットのまま使っている実態もありました。
これは完成度の問題だけでなく、DXのシステムがこれまでのアナログシン
セと根本的に違うために、すんなり移行できず音創りが難しかったという
環境もありました。
その頃はデジタル音源を搭載したシンセもありましたが、コントロール系
は相変わらず従来のシンセと同じだったので、音創りをするミュージシャ
ンはそちらを選んだこともありました。
まあ、音の完成度が高かったからこそ面倒な音創りであってもDXが売れた
背景があるのかもしれません。
価格も25万円くらいだったので、アナログのポリシンセと比べてもコスパ
も高く、MIDIだったりシートキーの採用、ベロシティの採用など音源とは
別の魅力もありました。
また、当時は音源だけのTXや〇Xシリーズと称するシステム化もヤマハが
推していたこともあって、DXを使って積極的に楽曲制作を行うミュージシ
ャンも増えていました。
また、外付けのRAM・ROMが付けられるという仕様もありました。
ミュージシャンの拘りROMなるものも販売されていましたし、実際にこれ
を使ってライブやってた人も多かったようです。

今も多くのシンセが発売されていますが、ヤマハに限らず多くのメーカー
がDXに影響を受けたことは間違いなく、FM音源だったりDXで一気に広が
った仕様の標準化などもあってその恩恵を受けています。
さすがに写真の初期品は完動品というのはないかもしれませんが、後期の
FDが付いたバージョンもあるのでそのあたりだと完動品もあるかもしれま
せん。
DXには化け物みたいなDX1やDX7が2台分となるDX5、打ち込み系のミュー
ジシャンに重宝されたDX100などもありました。
日本が一番元気だったバブル崩壊前の時代に登場し、世界を席巻したのは
SG-2000と同様に時代の象徴だったのかもしれません。
今はPCとソフトで大方の楽曲制作・編集・アレンジまでできるし、ボーカ
ロイドまで使えばバンドなんてなくても十分できる時代になりました。
DX登場から半世紀弱経ちましたがテクノロジーの進化は恐ろしいものがあ
ります。
今でもDXで弾き語りとか新鮮かもしれません。
そんなこと言ってると中古品のレートが大きく上がりそうですが・・・。

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