『ミュータンス・ミュータント』百景episode4…「鷲と鷹」

「捜査本部が示した資料によると、巣鴨の被害者は24歳の男性、独居でした。昨夜23時過ぎに帰宅したのを、アパートの隣人が確認しています」

「確認？てことは、実際に彼が帰宅してきた姿を目で見たわけじゃないんだな」

「はい。隣に一人で住む32歳女性によると、その時間に玄関のドアを開ける音が聞こえた、と話していました。いつもだいたい22時を過ぎる時間帯が多かった、とも話していました」

「俺はマンション住まいだが、隣に住む人の動きなんてそんなに把握してはいない、いや全くと言っていいほど分からんがな。そもそも興味がないと言えるかもしれん」

「私は一軒家に住んでるので何とも言えないですが、アパートの構造とか壁の厚みとかで案外、物音が聞こえたりするのではないのでしょうか？」

「それぐらい、言われんでも分かっとる。と言うか、その隣人の女は被害者にもともと興味があったと思わないか？隣に若い男子が一人暮らししてるのは日々の生活で何となく分かるものだし、もし彼氏とかいない寂しい女だったら、多少は意識するもんじゃないか」

「まぁ、そんな女心も理解できないではないですが、今回の殺人というか、起きた事件には直接関係はしないように思いますけど。一応、彼女にはアリバイがありますから」