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【詩】矛盾

僕の持ってるこの矛は
重くて錆びた素敵なもの

振りかぶろうとする度に
何故だか 力尽きてしまう

相手を負かすこの矛は
故意に他人を傷つけるもの
分かっているけど手に取った
けれども重くて使えない
この矛ならば 
誰かを傷付けずに済む。


僕の持ってるこの盾は
脆くて弱くて素敵なもの

ほんの少しの攻撃で
木屑がぼろぼろ こぼれる程に

自分を守るこの盾は
相手の痛みを教えてくれる
脆いからこそ矢が刺さり
その攻撃の痛みが分かる
この盾ならば 
傷付く痛みがよく分かる。


ある人は 相手を 早く蹴落とすため
軽くて鋭利な矛を手に取った。
確かに最初は強かった
けれども誰かを傷つける度に孤独になって
ついには仲間も失った

ある人は 大事な自分を 守り抜くため
丈夫で割れない盾を手に取った。
たしかに最初は強かった
けれども痛みに 鈍感になり
気の緩みから儚く負けた


使えぬ矛こそ意味があり
脆い盾こそ強さとなる。

強い矛だけが全てでなくて
強い盾だけが全てでない。

これこそ
「強さ」についての矛盾。
世間に生じる大きな矛盾。












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