とりとめのない話
あらすじ
今まであまり積極的に話した事がなかったので知らない人もいるかもしれないが、実はわたしには母がいる。
しかしその母、近年では足が悪い上に認知症となっており、日常の動作においても他人の手を必要としたり、会話が即席の迷宮へと踏み込んでしまったりする。
ある夜、あまりに延々と会話の迷宮内を引きずり回されたわたしは、迷宮攻略を放棄して夜間徘徊をしたのであった。
装備確認
まずスタイルは自転車を押しつつの徒歩。これはイヤホンで音楽を聴きながらなので、法律上であり安全上の都合。かといって、どうせ歩くのが面倒になるのはわかっているので自転車も必須。
称号
スタート後「まるまる一晩自転車を押しながら結局一度も乗らなかったヤツ」というまったく無意味な称号に思いを馳せる。とても馬鹿っぽいので狙いたいところだ。
水分補給
夜通しとなれば、それなりに長時間のイベントとなるために水分補給を考えなければならない。しかし時間も方向も半端だったので営業中のスーパーを見かけない。こんなくだらない事にコスパの悪い自販機を使いたくなかった。
ラブホ
基本プランは「テキトーに移動して時間を潰し、3時くらいに牛丼屋で食事」。しばらく歩いてから、ネカフェやラブホで一泊という方法もある事に気付く。普段縁のない場所は候補に挙がらないものだ。無論、プランは変更せず。
姿勢
普段あまり歩かないので、しばらく歩くとどこかが痛くなる。こういった痛みの原因は姿勢にあると信じて疑わないので、これを利用すれば姿勢を矯正できるのではないだろうかなどと考えたが、姿勢を意識したまま歩き続けられるほど賢くなかった。
炭酸
あまり長時間歩くことを想定していないであろうサンダルで歩き続ければ、それなりに足の裏も痛くなるというもの。足の裏の痛みを「足の裏で炭酸飲料を飲んだような」と喩える。炭酸足。
獲得失敗
さすがに炭酸足で歩くのは嫌なので自転車に自転車としての役割を果たしてもらう。「まるまる一晩自転車を押しながら結局一度も乗らなかったヤツ」の獲得に失敗。要らんけど。
霊園
なかなかに大きな霊園の隣を通る。中を覗くが街灯は見当たらない。中心部まで行けば結構星が見えるのではないかと思うが、そんな理由で夜中に他人様の寝室に入るわけにもいくまい。
水温
公園のトイレで用を足し、手を洗ったら水が温かく感じられた。さすがにもう冬…と思ったが、立冬はまだ先だった。
ドン・キホーテ
24時間営業ではないものの、深夜まで営業してくれててありがたいドンキ。ブラックサンダー・ミニバーのお値段もなかなかありがたい。飲み物も買えばよかったと気付くのは店を出てから。物事には順序があるのだ。
偏見
駅周辺の路上を、何をするでもなくうろついている女性を発見。きっとこれは店主兼商品なのだろうと、偏見のみで構成された感想を抱く。もちろん、抱くのは感想のみ。
24時間営業
24時間営業を謳いつつも営業時間外となっている牛丼屋の前を通過。今日だけだと思いたい。
無意味
当然のことながら、深夜の牛丼屋で食事をとる意味はない。無意味さを自覚しつつ無意味な行動に出る意味があると思い込む。どこまでも無意味だ。
牛丼屋素人
結局、松屋で牛めしを食べたのは4時半であった。牛丼屋素人なので、ひと目で食券販売機と判別できる物体を確認できる店舗と遭遇するまで入店をためらっていたのである。なんだそれ。
居眠り運転
食後であり早朝でもあったためか、居眠り運転の解禁に向けて動き出した。そのような運動を許してはならないので、公園で休憩。朝日を浴びつつ立っていたら寝落ちしかけた。本当に立ったまま居眠りできるのだと感心する。
おしまい
このようにして様々な無駄を生み出し、帰宅して寝た。
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