中秋の無職
人々のどんな幸せもどんな不幸も どんなに美しい風景もどんなに映えるスイーツも全てが片手サイズに収まっている。
2024年9月17日のSNS。 無職のスマホの中に満月の写真が並んでいた。
中秋の名月が綺麗だとか大きいだとか 本当は裏側に宇宙人が居るUFOだとか、はたまた長⚪︎剛は人肉を食べているだとか全部どうでもよかった。
何故なら21日までに2,618円払わないと水道が止まるから。
月よ。 今すぐ俺の頭上に流れ星ッて来い。
滞納している家賃も光熱費も弁護士事務所や裁判所からのお手紙も全部チャラにしてくれ 滞納している家賃も光熱費も弁護士事務所や裁判所からのお手紙も全部チャラにしてくれ 滞納している家賃も光熱費も弁護士事務所や裁判所からのお手紙も全部チャラにしてく…
遡ること2024年9月16日。 298円のお弁当が更に10%値引になるスーパーの前で財布を拾った。
最寄りの交番に届けた。
お巡りさんが中を確認すると無職の目が潰れるくらいの大金が入っていた。
しかし知らない人(財布の持主)からお礼の電話がかかってきたりは億劫なので報労金等の権利は放棄した。
その翌日に水道局から最終通告書と振込用紙が届く。 バカバカ 俺のバカ、バカバカバカ。
しかし給水停止日とかもっともっとタケモッて前もって教えてくれ。 俺が小3の時とかに。
月の落下待ち無職も居れば 上司のパワハラに対して「死を以て抗議する」という公務員も居る。
いやいや、死ぬな死ぬな。
死ぬくらいなら飛ぶ(逃げる)か もしくはパワハラ野郎を一発ブン殴れ。 もしくは身体に爆弾を巻き付け そいつに抱きついて復讐のドッカン花火を打ち上げろ。 俺が「たまや〜!」って言ってやる。
でもな、人間は生きてる方が面白い。 線路に飛び込むより ビルから飛び降りるより 首を吊るよりも「どうせいつか死ぬ」という太陽みたいなパワーワードの下、灼熱にもがき苦しみながら生きてる方が圧倒的に面白いじゃん。
2024年9月18日。
月は落ちてこなかったが奇跡は起きた。
月が地球に落ちる確率と無職が水道代を支払える確率は共にほぼ0%と言われている。
今日 月が降ってきたら俺の所為です。
笑えないお笑い芸人が24時間マラソンをするという変チクリンな愛が地球を救うかどうかは知らんが 2,600円という愛は確実に無職を救う。
やがて時は流れて2024年9月20日。
あかん、全財産が41円になってもうた。
給水停止通知の次は298円弁当(10%値引)購入停止通知である。
そう、もうお分かりでしょう。 俺が記事を書くのは所持金が尽きそうな時
というところまで書いていると…
月は落ちてこなかったが奇跡は起きた。
大谷翔平がアメリカでホームランを打つ快音と無職の魂の叫び(298円弁当(10%値引)買いたい)が共鳴しちゃったね、これは。
P.S.
1番好きな野球選手は水原一平です。 2番目は東出昌大です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?