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市場動向の確認と経済ニュースの注目点(7/14~7/20)

割引あり

トランプ銃撃後のトランプトレードとその反動とかなり値動きの激しい一週間となりました。日本株も大きく下落する日があるなど不安に思った人もいらっしゃるのではないでしょうか?
今週も市場動向と気になった経済ニュースを解説します。

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<マーケットチェック>


トランプ銃撃後のトランプトレードとその反動とかなり値動きの激しい一週間となりました。6月後半からやや意表を突く形で上昇してきた日本株は、この一週間で上昇の約半分を失う形となっています。

前回のトランプ政権の時もそうでしたが、トランプ氏は発言がセンセーショナルで市場もそれを極端に織り込み、またその反動が出るという形になりやすい傾向にあります。感情的な意見も出やすいのですが、投資にあたっては冷静に1つひとつの政策効果を見極めながら判断してきたいものです。

相場の物色傾向は極端な動きがでてまたその揺り戻しが起きるという事を繰り返しそうです。そのような動きに過剰反応しない様に気を付けることが大切です。今週はトランプ陣営からの発言だけでなく、バイデン側も撤退に向けた様々なニュースが出るかもしれません。それらは横目で見ながらも、時差があり情報にも優位性がない事柄をトレードのメインにおかないようにしたいものです。
 

株価

日本株の物色に関しては米国に準ずる動きで良いと考えられます。日本株の弱さが目立ちましたが、極端に大きく下落する様な要因は見当たりません。

下落局面でもどちらかというと低クオリティ株は買われており、本気で相場が下落するとはマーケット関係者は見ていないと考えられます。相場上昇局面でも市場参加者は日本株の強さに半信半疑で上昇への期待も小さかったので、割高と見て積極的に売ろうとする主体もあまりないと考えられ、通常のペースに戻っただけという認識です。

おそらく、上昇局面で乗り遅れていた多くの投資家は、ポートフォリオを調整する機会が来てホッとしているのではないでしょうか。

トランプトレードは日本株には総じてみればポジティブに働くと見ています。中小型株は世界的なインフレ鎮静化による恩恵を受けやすいので、物色的には比較的大きなローテーションが起こる可能性は意識していきたいと思います。
 

金利

個人的には、日本の金融機関が思った以上に買い余力があるのだなと感じており、米国も秋口以降の政策金利引き下げの確度は高まっていることから、金利が上昇すると言ってもその幅は限られてきている様に感じます。
 

為替

河野大臣の発言やトランプ発言など、要人の発言に振られやすい状況となってきています。米国の政策金利は引き下げ方向であれば、日銀が金融引き締め方向に動いていることは変わりないので、円安トレンドの反転。少なくとも円安の勢いが鈍りそうな状況に変化はなさそうです。
 
 

<注目したニュース記事>


7/14日経 上げ底のゼロエネ住宅

<要約>
ゼロエネ住宅」で厳格な基準を満たさないケースが増加し、全体の3割を超える。

政府が補助金の例外を認め、普及を急ぐため、基準が緩和されている。

日本の省エネ基準は海外に比べて緩く、更新が必要。

国土交通省は「厳しくしすぎると住宅が建てられなくなる」と説明している。25年度には省エネ基準への適合を義務づけ、30年度までにはさらに厳しいゼロエネの水準に引き上げる方針だが、それでも米国やイタリアの省エネ基準を下回る。

国交省や環境省によると、国内の住宅約5400万戸のうち断熱性能が省エネ基準を満たしているのは22年度時点で18%に過ぎない。太陽光発電を使っている戸建ても12%にとどまる。

環境省は新築戸建てに補助金を支給しているが、「名ばかりゼロエネ住宅」が増加。

地方自治体は独自基準や支援制度を導入し、ゼロエネ住宅の質を担保しようとしている。

<河北コメント>
日本の住宅は耐用年数が短く、品質も海外に比べ劣っています。一生の中で最大の投資となる人が多い訳ですが、それを後世に残すことが難しい様になっているわけです。これは国富や資産形成を考える上でも欧州などを大きく異なるところです。
基準を厳しくすると短期的にはコストが上がり厳しい局面も予想されますが、国際的に基準を満たすことは住宅設備などの企業にとってもメリットがある事なのではないでしょうか。

7/15日経 現職不人気、世界経済のリスク

<要約>
2024年後半の選挙シーズンでは、各国で現職政権への逆風が強まっています。6月の欧州議会選で極右政党が躍進し、7月の英総選挙では労働党が大勝しました。フランスでもマクロン大統領の与党連合が議席を大幅に減らしました。これは単純に右傾化や左傾化とは言えず、共通するのは現職、既存勢力への反発です。

世界的に現職首脳の人気が低迷する大きな理由のひとつは経済問題、特にインフレです。物価上昇率は鈍化しても、日常品の値上がりが人々の印象に残り続けています。賃金は上がっても、人々はインフレを政府の責任と考えがちです。

リーダーたちは内向きな政策や保護主義に傾き、関税引き上げや反移民の議論が増加しています。米中対立やウクライナ危機に伴い、経済安全保障の名の下でサプライチェーンの分断と再編が進んでいます。グローバル経済の前提である自由なヒト、モノ、カネの流れが制限されつつあります。

EUは資本市場の統合を進めるために新たな政策を導入しています。日本では対内直接投資が低く、改革が求められています。各国が保護主義に走ることで、効率的な資源配分が歪み、最終的には世界経済の成長停滞を招くリスクがあります。国際協調が今こそ求められています。

<河北コメント>
各国はコロナ後の財政拡大と物価上昇の影響が残る世界で選挙戦を戦っており、現職が不利な状況におかれています。景気自体は悪くない訳ですが、社会的弱者にとっては賃金の上昇よりも物価上昇率が高く、また資産価格上昇による恩恵もない訳です。これらの恩恵は富裕層に偏っており、社会の不満が高まるという構造です。
もちろん景気が悪化すると、貧困層から職を失っていくため、その場合も現職には不利になります。結局のところ社会の分断が進んでいる中では、ちょうどよい状態に経済をコントロールするのは非常い難しいという事です。
この様な社会では投資を行っている人と行っていない人で格差がますます広がると考えられます。


7/15日経 戸建て大手「米国の陣」始動

<要約>
日本の戸建て住宅メーカーは、国内市場の縮小を受けて米国市場に注力しています。積水ハウスは約7500億円で米M.D.C.ホールディングスを買収し、2023年度の米国での販売戸数は約1万5000戸に達しました。大和ハウスと住友林業も現地企業を買収し、それぞれ年間6568戸と1万221戸を販売しています。特にテキサス州とフロリダ州は主要な市場となっており、各社はM&Aを通じて市場シェアを拡大中です。

積水ハウスは、日本流の住宅技術を米国に輸出する戦略をとり、木質の壁材で建物を支える「ツーバイフォー工法」や「シャーウッド工法」を展開しています。大和ハウスは現地化を重視し、米住宅メーカー、スタンレー・マーチンを買収して土地開発にも注力。住友林業も現地企業を買収し、製造工場を運営しながら高い経常利益率を維持しています。

これらの取り組みは、日本国内の人口減少による市場縮小を見越したものであり、各社は米国市場での存在感を強めるために競争を繰り広げています。今後も各社は現地の大手メーカーとの競争に勝つため、独自の戦略を深化させる必要があります。

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