耳できく物語

先日の100分de名著で取り上げられたのは、アイヌ神謡集。
アイヌの工芸品はとても好きだけれど、神謡集は読んだことがなかったので、今回の番組はとても興味深く、早速テキストも買った。

カムイとは何かとか、初めて知ったことがたくさんあったけれど、特に、「サケへ」という「折返し」(リフレインの句)という存在が新鮮だった。

神謡は、サケへの間に物語が少しずつ挟み込まれて、語られていく。
私の好きなサケへは、「小狼の神が自ら歌った謡『ホテナオ』」。

ホテナオ シオアントタ
ホテナオ ニシムアシ クス
ホテナオ ピシタ サパシ

中川裕「100分de名著アイヌ神謡集」

サケへが入ると、物語にリズムが生まれて、思わず口ずさみたくなる。
きっと子どもたちは、おばあさんの話を聞きながら、「ホテナオ」のところを合唱したんじゃないかな。

そして、番組で朗読を担当した木原仁美さんの声が、とても素敵だった。
子どものころ観ていた「まんが日本昔ばなし」の、市原悦子さんを彷彿とさせる。
声が似ているというよりは、淡々とした柔らかな語り口、耳に心地よい感じが共通している気がする。

やっぱり、人の語りっていいな。
耳できく物語は、いつまでも心に残る。

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