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長崎・佐世保方面 新線構想と新たな特急ネットワークの構築 ーもし西九州新幹線が無かったらー


史実では2022年9月に開業した西九州新幹線

もし西九州新幹線が存在しなかったら、佐賀・長崎エリアの在来線特急はどうあるべきだったのか。
長崎県に至る新たな鉄道路線と、それを活用した西九州エリアの高速特急ネットワークを構想してみよう。


長崎方面 新線構想と特急高速化

長崎方面への新たな鉄道ルートを建設し、最高速度160km/hの新たな特急を走らせる。

従来の885系も、振り子式装置を備えた最高速度130km/hの高性能車両。

特急”新”かもめ


新ルートを経由する新たな特急列車は、カーブの多い長崎本線の海沿い区間(肥前鹿島-諫早間)をショートカットし、最高速度160km/hで走行可能な新線を経由する。
これにより、西九州市エリア最大の都市である長崎市(人口39万人)や、諫早市(人口13万人)までの所要時間を短縮する。

また鉄道空白地帯である嬉野市(人口2.4万人)や、博多までのメインルートから外れてしまった大村市(人口9.6万人)を経由することにより、従来の特急ルートより沿線人口が増える。
嬉野市には日本三大美肌の湯として知られる嬉野温泉があり、同温泉地へのアクセス需要も見込めるだろう。

史実ではメインルートから外れた、鹿島市(人口2.6万人)も経由することを付け加えておこう。

史実の西九州新幹線も、嬉野温泉にやってきた。

スピードアップによる所要時間短縮と、経由地変更による沿線人口の増大により、長崎方面の新たな特急列車は、大幅に需要を増やすことができるだろう。

肥前鹿島ー大村 鉄道新設

従来の長崎本線と新路線は、肥前鹿島駅において分岐する。従来の特急かもめも止まる、主要駅の1つだ。なお、長崎本線の江北-肥前鹿島間は新線建設に併せて複線化する。

県内人口1位の長崎市、3位の諫早市、4位の大村市を経由する、長崎-博多の新メインルート。

新線は内陸の山間地帯を直線的に貫き、最高速度160km/h運転を行えるように建設する。もちろん全線複線である。新線の中間には、嬉野温泉駅を設ける。後述の佐世保方面への分岐線は、この先で分かれる。

その後新線は大村湾の沿岸部に至り、竹松駅で大村線と合流する。非電化単線である大村線は、竹松-諫早間において複線化および電化を行う。
駅での行き違いがなくなることで、同区間を走る普通列車の利便性向上も期待できるだろう。
その先は大村駅諫早駅を経由して終点の長崎駅に至る。
大村市は長崎空港が立地しており、また長崎市のベットタウンとして人口を伸ばしているが、特急停車駅となることでさらなる発展が期待される。

史実の西九州新幹線も経由する大村市。空港アクセスも改善されるだろう。

佐世保方面 分岐線構想と特急高速化

長崎方面への新たな鉄道ルートの途中から、佐世保方面へ分岐する路線を建設する。最高速度160km/hの新たな特急を走らせる。

特急”新”みどり


新ルートを経由する新たな特急列車は、カーブの多い佐世保線の山越え区間(江北-早岐間)をショートカットし、最高速度160km/hで走行可能な新線を経由する。
これにより、長崎県第二の都市である佐世保市(人口23万人)や、テーマパークハウステンボスまでの所要時間を短縮する。

また従来の特急みどりは、途中の早岐駅で進行方向を変える必要があったが、新ルート経由により解消される。

みどり・ハウステンボスの主力である783系。既にJR九州特急では古参の存在。

ハウステンボスへのアクセスについては、早岐駅で特急みどりと分割併合を行う形で、特急ハウステンボス号を走らせていた。しかし、新ルートでは全ての列車がハウステンボス駅を経由するようになるため、佐世保駅・ハウステンボス駅へのアクセスを1本の列車に集約化できる。

スピードアップによる所要時間短縮と、より効率的な運行形態の構築により、佐世保方面の新たな特急列車は、大幅に利便性が向上するだろう。

年間250〜300万人を集客するハウステンボス。佐世保方面特急の需要に大きく貢献している。

嬉野温泉ー佐世保 鉄道新設

長崎高速新線は、嬉野温泉駅を過ぎると長崎市方面を目指して南下する。その手前で、佐世保方面への分岐線が分かれる。
分岐線は単線で建設するが、もちろん最高速度160km/h運転が可能な高規格路線となる。

内陸部から大村湾の沿岸部に至り、川棚駅で大村線と合流する。非電化単線である大村線は、川棚-ハウステンボス間において電化および交換設備の拡充を行う。
その先はハウステンボス駅早岐駅を経由して終点の佐世保駅に至る。

県内人口2位の佐世保市と、九州最大の大型集客施設ハウステンボス

西九州の新たな高速特急ネットワークの構築

この特急専用となる新たな鉄道路線の誕生は、西九州エリア全体の特急列車網を塗り替える。
まずは特急かもめと特急みどりの速達性、利便性を向上。そして従来の特急ルートから外れることとなる武雄温泉駅、有田駅を経由する新たな特急と、より観光輸送に特化したD&S列車となる新生特急ハウステンボスの新設である

かもめノンストップ便の新設 一部のかもめ・みどり併結


従来の特急かもめは1時間あたり2本、特急みどりは1時間あたり1本の運行本数である。朝夕の時間帯にさらに本数を増やしたいのだが、ラッシュ時間帯の博多駅付近の鹿児島本線は、既に線路容量が逼迫している。
そこで朝夕においては、一部の特急かもめと特急みどりの併結運行を行い、嬉野温泉駅で分割併合を行う。これも、特急ハウステンボスとの併結が解消されたからこそできることだ。

また速達効果を最大限に発揮させるべく、博多から長崎県内までノンストップの特急かもめや、停車駅が少ないタイプの特急みどりを走らせる。

史実と同じように、長崎駅周辺では大規模な再開発が行われるのだろうか。

特急かもめ
日中・夜間(1時間あたり2本)
・停車駅の多い便
・停車駅の少ない便※江北、二日市を通過
朝夕(1時間あたり3本)
・博多-大村or諫早間ノンストップの便
・停車駅の少ない便(みどりと併結)※江北、二日市を通過
・停車駅の多い便(みどりと併結)

特急みどり
日中・夜間(1時間あたり1本)
・停車駅の多い便
朝夕(1時間あたり2本)
・停車駅の少ない便(かもめと併結)※江北、二日市を通過
・停車駅の多い便(かもめと併結)

特急かささぎの新設 武雄温泉、有田、伊万里方面

史実では、メインルートから外れた肥前鹿島駅へと走る特急かささぎ。本構想でメインルートから外れることとなる、武雄市(人口4.6万人)と有田町(人口1.8万人)を経由し、さらにその先の伊万里市(人口5万人)までを結ぶ列車として、特急かささぎ号を新設する。
運行ルートが福岡・佐賀県内で完結するのは史実通りである。

松浦鉄道は非電化の為、既存の特急車両を活用できない課題があるが…


また西九州方面の特急列車は、佐賀駅の需要もかなり大きいが、それを補完する使命も担っている。

有田から先は、松浦鉄道に乗り入れて伊万里駅を目指す。
伊万里市内に乗り入れるは特急列車は存在しておらず、同エリア対福岡市の輸送は高速バスが幅を利かせている。バスと比べて不利な線形であるものの、どこまで鉄道需要を創出できるか注目したい。

D&S列車 新生特急ハウステンボス号

特急みどりがハウステンボス経由になることで、ハウステンボス駅に停車する特急列車が大幅に増え、利便性は大幅に高まる。しかしその一方で、ハウステンボス駅行きの特急ハウステンボスはその存在自体が大きな宣伝効果を有しており、その消失は、九州最大の集客施設にとって大きな痛手となろう。

従来の特急ハウステンボスよりも突き抜けたデザインを期待したい。

そこで、JR九州の強みである観光列車のノウハウを活かし、ハウステンボスへの観光客輸送に特化した新たなD&S列車を誕生させる。
「乗ったらそこはオランダ」を合言葉に、ハウステンボスまでの約1時間半が楽しくなるような列車を期待したい。車内に風車があったら面白いのではないだろうか。

もちろん、西九州新幹線は既に長崎ー武雄温泉間で開業しているわけで、現実としては、佐賀県が納得する形での、一刻も早い新鳥栖までの着工と全線開業を願っている。

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