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計画的な出退店が鍵を握る『衣料品・服飾品小売』*日本経済68業界

日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。

小売の『衣料品・服飾品小売』

▼業界動向
2014年→2019年 横ばい
2020年                 下落
2021年→2023年 8割回復(2019年水準)

▼業界平均
・売上高   :2900億円
・営業利益率 :5.58%
・自己資本比率:43.74%
・ROE            :11.54%
・ROA          :5.97%

※用語の詳しい説明は文章下段の
 【経営の基礎知識】から確認できます。

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1位 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
減収増益:売上11兆4717億5300万円/24年2月期

2023年8月に、傘下のそごう・西武を
ソフトバンクグループ傘下のフォートレスに売却。
特別損失を計上しましたが、最終的に増益。

また、
不振が続く傘下のイトーヨーカ堂は、
22年2月期まで2期連続で赤字。
不採算店舗閉鎖などの構造改革を進めています。

スーパー事業の株式については
新規株式公開(IPO)を検討しており、
利益改善後に一部株式を売却し、
再成長のため外部企業との連携を模索中。

2024年3月9日に発表した
2026年2月期を最終年度とする
中期経営計画の更新では、

イトーヨーカドー堂は、
23年2月期時点で126店だった店舗数から、
今回新たに14店閉鎖を決定した。
既に閉鎖を決めている19店と合わせて計33店閉鎖。
26年2月期では93店までに縮小させる計画です。

「アパレル」事業から撤退し、
「食」に集中した再生を図っています。



主なグループ企業)
・株式会社セブン&アイ・フードシステムズ
 デニーズなどのレストラン事業、給食事業
・株式会社セブン-イレブン・ジャパン
・株式会社イトーヨーカドー堂
・株式会社ヨークベニマル(スーパー)
・株式会社天満屋ストア(スーパー)
・株式会社セブン銀行
・ぴあ株式会社(チケットぴあ)
・株式会社赤ちゃん本舗
・株式会社タワーレコード
・株式会社ロフト


2位 株式会社ファーストリテイリング
増収増益:売上2兆7665億5700円/23年8月期

24年5月末時点での
ユニクロ事業は2495店舗
・日本798店(直営788店)
 毎月閉店した分出店し、店舗数は横ばい
・海外1697店
 毎年の新規出店は約50-80店舗
 中国924店、香港33店、台湾73店、韓国128店、
 東南アジア、インド、オーストラリア、欧米に展開

海外事業は円安が収益の追い風になり、
国内事業は暖冬で冬物の販売が低調なものの、
在庫管理の厳格化で粗利率を改善。
3期連続で最高益を更新。

当期純利益の一部を余剰金として還元する
年間配当金は1株330円から350円に増加。


3位 HOYA株式会社
増収増益:売上7626億1000万円/24年3月期

眼鏡店向けの眼鏡レンズ・コンタクトレンズ製造、
フォトマスク(半導体などの電子部品で形成される
電子回路の基板に、写真技術で転写する目的で
回路パターンが描かれている原版=ガラス板)製造、
光学レンズ、医療用機器、医薬用ガスの製造。

コンタクトレンズ専門店「アイシティ」を運営し
24年7月現在は国内365店舗。
17年274店舗からは毎年微増を繰り返してます。

グループで世界約40か国に展開し、
レンズやガラスに特化したサービスを提供しています。

半導体やハードディスクの市況好調により最高益。
また、半導体顧客の在庫整理が落ち着き、
24年期の下半期はさらなる受注が見込まれています。

一方で、24年3月に発生したシステム障害の影響で
眼鏡レンズの売上は横ばい。

ハードディスク向けは新工場稼働で費用がかさむ中
停止していたラオス工場の再稼働も検討している。
5期連続で最高益を更新。

自社株式総数の内、300万株(0.86%)を上限に、
24年5-8月で市場から買い付けて費用化(償却)予定。


4位 株式会社しまむら
増収増益:売上6364億9900万円/24年2月

高価格帯プライベートブランド(PB)
「クロッシープレミアム」など単価が上昇。

SNS活用で広告宣伝費を抑制しつつ
客数の回復を図っています。

人件費が前期比6%増えたものの、
4期連続で最高益を更新。

24年2月時点の店舗数は1415店舗。
出店戦略は、ドミナント出店を基本とし、
日本全国に標準化された店舗を出店しています。

1953年の設立から郊外の住宅地の近くへ出店。
1990年台から全国展開を目指して
郊外のロードサイドを中心に出店を拡大。
2000年台前半から商業施設への出店を進めました。

新規出店は、
22年2月期-24年2月期の3年間で
国内100出店計画に対して実績89出店。

25年2月期-27年2月期の3年間は
国内150出店を計画(中期経営計画2027)。

既存店は、
改装と店舗面積拡張で1店舗あたりの売上を伸ばす。

グループ店舗(全国47都道府県+台湾に展開)
・しまむら :1415店舗
・アベイル :312店舗
・バースデイ:324店舗
・シャンブル:118店舗
・ディバロ :16店舗
・思夢樂  :42店舗(海外店舗:台湾)


5位 エービーシー・マート
増収増益:売上3441億9700万円/24年2月期

外出機会の増加とインバウンド拡大を追い風に、
好調を持続。カジュアルやスポーツ靴が伸びて、
当期純利益も微増ながら過去最高を更新しました。

国内の既存店では、
好立地への移転や増床を進め、高価格帯の靴や
アパレルを取り扱う複合店を増やしました。

海外では韓国を中心に新規出店を進め、
25年2月期は26店の増加を見込んでいます。

24年5月現在、
・ABCマート :全国1090店舗
・OSHMAN'S:16
・海外店舗     :韓国319/台湾62/米国8/ベトナム5
グループ店舗合計1487店舗

*米国OSHMAN’S SPORTING GOODS INC.と
 株式会社イトーヨーカ堂が業務提携し
 1984年に創業したオッシュマンズ・ジャパンは
 2022年3月にセブン&アイ・ホールディングスが
 エービーシー・マートへ売却(株式譲渡)しました。

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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!

[ 損益計算書(PL) ]

売上高(客数 × 客単価)
−原価   :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益

−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益

−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金   :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益

営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。

年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。

ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。

自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。

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[ 貸借対照表(BS) ]

ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。

ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。

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