最初の反応 | デイビッド・ベイカー、2024年ノーベル化学賞 | 電話インタビュー
2,390 文字
もしもし。あ、もしもし。デイビッド・ベイカーはんですか?
そうや。まだ記者会見聞いとるんやけど。
あ、すんまへん。記者会見聞き終わりたいんやったら、終わるまで待たせてもらいますわ。
ほな、残りの記者会見聞いてから話しましょか。それでええですか?
ほんなら、終わったらすぐにかけ直させてもらいます。
もしもし。アダム・スミスです。ノーベル賞のウェブサイトからまた電話させてもらいました。おめでとうございます。
ありがとうございます。
どないして知らせが届いたんか教えてもらえますか?
そうやなぁ、実はちょっと面白い話なんやけど。後から気づいたんやけど、息子の電話番号を持っててはって、息子から私の電話番号を教えてもらったみたいやねん。
ほんで電話かかってきて、嫁はんがすぐに叫び出したから、ちょっと聞き取りにくかったんやけど、なんとか知らせは伝わったわ。
奥さんの方が先に気づいたんですね。
そやなぁ。みんな、タンパク質折りたたみ問題を解決した人にノーベル賞が贈られるって言うてたけど、ほんまにそうなってもうたわ。
どんな気分ですか?
まぁ、もちろん大変な名誉やし、めっちゃ興奮してるわ。デニスとジョン・ジャンパーと共同受賞できてうれしいわ。特にジョンは、古典的な構造予測問題を本当に解決してくれはったからな。
タンパク質設計の方では、もしノーベル賞もらえるとしたら、スティーブ・メイヨーとビル・デ・グロートと共同受賞するんちゃうかって思っとったから、ちょっと残念やけどな。
でも、タンパク質折りたたみ問題には常に2つの側面があったんや。配列から構造を予測する方向と、構造から配列を予測する逆方向やな。この2つが一緒にノーベル賞をもらえるのはええことやと思うわ。
そうですね、一緒になったわけですね。タンパク質設計の最も有益な効果は、近い将来どんなもんになると思いますか?
幅広い応用について、めっちゃ楽観的に考えとるんや。今取り組んでる分野のことを考えてみると、健康と医療の分野では、より賢くて正確な治療法が開発されて、体内の適切な時間と場所でだけ作用するようになると思うねん。
これで全身に影響を与える薬の問題点を解決できるかもしれへんわ。実際に、私の同僚のニール・キングが設計したワクチンが、人間に使用できる最初のデノボ設計医薬品として承認されたんやで。
医療以外の分野では、新しい触媒の開発でも大きな進歩があるわ。環境中の汚染物質やプラスチックの分解から、よりグリーンな化学反応、新しい分子への効率的な合成経路まで、さまざまな可能性があるんや。
持続可能性に関するアプリケーションもたくさんあると思うわ。自然界でタンパク質がしてることを考えてみてな。それらは何百万年もの自然選択の中で、ランダムな偶然で進化してきたんや。
でも今や、特定の問題を解決するために新しいタンパク質を設計できるようになった。可能性は無限やし、めっちゃワクワクするわ。
まさに新しい世界ですね。
ほんまにそうや。新しい世界やわ。
最後に、タンパク質折りたたみの問題についてなんやけど、ライバルやった人たちと一緒に受賞することについてどう思います?しばらくの間、RosettaFoldとAlphaFoldは競争してたわけですやんか。この賞でひとつになったような感じですが、どんな気持ちですか?
実はDeepMindのジョンやデミスのことを競争相手やと思ったことは一度もないんや。むしろ刺激になったわ。
私たちは長年、物理ベースの手法でタンパク質構造予測とタンパク質設計に取り組んできた。タンパク質設計では進歩があって、より複雑なタンパク質機能を設計できるようになってきたんやけど、着実な進歩やった。
でも、ジョンがAlphaFold 2を開発したとき、ディープラーニングの力に目覚めさせられたんや。競争相手というより、ディープラーニングの可能性について大きな刺激を与えてくれた人たちやと思うわ。
最近の私たちの研究で最もエキサイティングな成果の多くは、ジョンとデミスの仕事に触発されて開発したディープラーニング手法から生まれたものなんや。この分野でこんなにも機械学習が力を発揮することに、本当に刺激を受けたわ。
今の時点では大きすぎる質問かもしれませんが、タンパク質折りたたみの問題は理解することで解決されると言われてきましたが、結局のところ、規則を理解せずに解決されました。規則が理解されていなくても機能するということは問題ないのでしょうか?
うーん、それは大きな問題やな。タンパク質構造予測が多くの用途で使われてるけど、どうやってそこにたどり着いたかはそれほど重要やないと思うわ。
人間は毎日、めっちゃ複雑な神経ネットワークを使って問題を解決してるけど、その仕組みはほとんど理解してへんやろ?それが私たちの脳やねんけど、私たちはそれで出した解決策に全然不安を感じへんし、脳がどう働いてるか正確に理解してへんことにもそんなに悩まへんやろ?
めっちゃ興味深いですね。ありがとうございます。今はめちゃくちゃ早朝ですよね。これからどうされるんですか?
そうやなぁ、電話しながら100件くらいの着信とメッセージを断らなあかんかったわ。ちょっと寝られへんかなぁ。でも無理そうやな。今日はえらいことになりそうや。
それができたら、数少ない受賞者の仲間入りですね。頑張ってください。
あんまり期待してへんけど、めっちゃワクワクするわ。
もう一度、おめでとうございます。
ありがとうございます。さいなら。
以上、ノーベル賞対話の特別エピソードをお聞きいただきました。この瞬間を楽しんでいただけたなら、私たちのポッドキャストを聞き逃さないでくださいね。ぜひ購読してください。Amazon Music、Apple Podcast、Spotify、その他多くの人気プラットフォームで配信しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?