父親の血、母の血

私が一番恐れていること、それは私の中にある私の父親の血です。

日常的に、テレビのニュースなどを見ては、
「惨殺されて死ね!」などの言葉を吐いていた私の父親。
物心つく前から、そのような環境にいたせいか、私は怒りに駆られた時、そのような言葉が頭の中や心の中に湧き出てくるのです。
そして、それが苦しくてたまらないのです。

私の父親は、晩年まで、短気でカッとなると他人にでもけんかを吹っ掛けるような人でした。

ある時、病院の入り口で、おじいさんが何かを取り出そうと立ち止まりました。
その後を歩いていた父親はカッとなり、わざとそのおじいさんにぶつかって病院へ入っていきました。

またある時、父親が外で歩道を歩いている時、普通に横を走り去った車に「走るな!」と毒づいたり。

そういう所が、私の中にもあると、私は感じます。
地下鉄の地下道で、左側通行で皆が歩いているのに、一人だけ右側を歩いて私の前を歩いてきたおばあさんがいました。
私は、ぶつかる手前で横にどきましたが、父親と同じような言葉を心の中でそのおばあさんに向かって毒づいていたのです。
そのような時、自分の中に父親の血を強く感じます。
そして、父親の血を自分の中に感じる時、とても絶望的な気持ちになります。

私が声に出して毒づかず、それを心の中でとどめ、おばあさんに道を譲ったのは母からの血だと思います。
そして、毒づいたことに苦しむことも、母からの血だと思います。

まるで、左右から心を引っ張られているような感じで、とても苦しいのです。

父親の血を1滴残らずこの体から抜き出し、母の血だけになれたら、ずっとそう願っています。


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