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7月7日。幸福を約束されたあの七夕の日。

あれは5号機全世紀。当時はモンハン月下、バジリスク絆、初代マドマギ、サラ番、凱旋などで盛り上がっていた時代。
ちなみに俺はメジャーな人気台が苦手で…というより隣に人が居るのが苦手で、極上の居心地を求めいつも人気機種コーナーは避け、

誰も寄り付かない様なバラエティーコーナーの端っこ

で意味分かんない台を打つのが好きだった。

スタードライバーやみどりのマキバオー

なんかはよく打ったね。そしてよく負けた。

だがそんな少数派な立ち回りをしていた俺もこの日は違った。

20●●年7月7日

世間は七夕だがウォーリアにとっては短冊の「た」の字も思い浮かばない。そう。7/7はパチンカスにとって激熱のゾロ目日でしかないのだ。そしてその日に勝負をする事は義務である。

とある年の7/7。俺は渋谷の某大型店に並んでいた。今は遠隔で抽選ができるシステムが存在するが、当時はそんな洒落たものはない。
暑い中しっかりと並び、抽選を受ける必要がある。
並びはなんと1000人越え…!!店内に設置されているスロットマシーンの数を遥かに越える人が並んでいるのだ。抽選の結果次第では

即座に帰宅コース

という最も愚かで悲しい未来もあり得る。
出勤中のリーマン達に哀れな目で見られながら並ぶこと数時間、やっと俺の抽選ターンがきた。結果はなんと…

「抽選結果 7番」

自然と緩む頬の筋肉を抑え、平常心を装ったふりをするのも困難な程に、結局は思いきりニヤけていただろう当時の俺の表情。
1000人以上のならびで7番は奇跡!しかもなんて縁起の良い数字なんだ!…いや、もはや縁起などそんなオカルトチックな話はどうでもいい。最大の難所を通過して最高のスタートを切れる今、あとは良い台を掴んでブン回し勝つだけだ!!

そして再整列となり今か今かとオープンを待っている中、俺の前に並んでいる茶髪の小僧が話しかけてきた。

「1桁番号とか僕ら勝ち組っすね!この店は知り尽くしてるんでもう勝ち確っすよ!」

ほう…どうやらこの茶髪の小僧はこの店をヤサにしてるスロット生活者なのだろう。かたや俺はこの店は初見であり台の配置すら島図を見ないと分からないレベル、完全にアウェイ。
ここはひとつ、この小僧…いやこの【ヌシ様】のお力を借りようじゃないか。

「なら俺より前の番号なんだしさ、情報ちょうだいよ!今月もう10万以上負けててさあ…頼むよ兄ちゃん!」
「もちろんいいっすよ!この店のゾロ目の日は角が鉄板です!特に7/7の今日なんかは角が全6までありますよ!まじで鉄板です!」

鉄板

それはギャンブラーの中では『約束された幸福』を意味する言葉。濃厚…どころではなく確実な明るい未来を確約する魔法の言葉。

そしてヌシ様から角が鉄板だという情報を手に入れ、ついに入場が始まった。

メイン島の角なんかは鉄板中の鉄板すよ

俺は一番目立つ場所にある島の角、凱旋を抑えた。ヌシ様を探すと、ヌシ様もバジリスク絆の角をしっかりとキープ。目が合い、ヌシ様は俺に向かって

渾身の👍️のハンドサイン&ウインク😉

をして下さった。俺はヌシ様に口パクで「ありがとう」と伝えた。

そして実践開始。投資3000円で高設定挙動である謎当たりが発生し、早くもゴッドゲームが始まった!液晶上では555の数字が揃いズババババーン!!!一気に期待は高まる。
するとヌシ様が小走りで俺の元へ近寄ってきて、俺の耳元で一言

お分かりいただけましたか?

反射的に裏拳をしそうになった拳をグッとこらえ、俺は財布から200円の小銭を出し
「ありがとな、これでジュースでものんでや」
「あざっす~♪お互い頑張りましょ♪」

そんな感じで最高のスタートを切ったはずの俺が

なぜATMに2度も行くハメになったのだろうか

序盤こそ調子が良かった俺の台、凱旋。だが2回目の初当たりからはハマりのオンパレード。天井目前で当たって単発という負の連鎖が発生。挙動はお世辞とも良い台とは言えぬ状況。

もう頼れるのはヌシ様しかいない…
この店を知り尽くしてる男、ヌシ様…!
俺に助言を…!!救いの手を…!!!

あれ?どこ?ヌシ様??
俺は店内をぐるっと回りヌシ様を探した。

ヌシ様は死にそうな顔で5スロコーナーで大漁2を打っていた

収支
マイナス13万+200円

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