投稿4日目【兄との対話】

兄と私は全く違うタイプだ。
人との摩擦を避け、調和を良しとし、人とのバランスをとることが得意、というか自然とそういうふうに振る舞ってしまう私に対し兄は自分の意見をはっきりと伝え相手のことでわからないことがあればとことん追求してくる。
決して喧嘩腰になるわけでもなくこちらを批判や否定をするわけでもないのだが、キラキラした目で「何が好き?」「なんで好きなの?」「それじゃないといけない理由は?」という質問を重ねてくるのだ。
普段なら「なんとなく好き」で済むようなことが兄となるとそうはいかない。
面接みたいで非常に疲れるのだが自分の意見をしっかり言語化したり自問自答することで見つめ直せたりするというメリットもある。

兄と話す時は非常にカロリーを消耗するのでお茶請けには糖分が必須だ。

今日のテーマは「なぜ自己啓発本を買うのか」。
私はついつい自己啓発本を手に取りがちだ。読んでは売ったりしてかなりの冊数を読んできたと思うが本棚にもいくつかお気に入りが並んでいる。
それを目にした兄からの「お前はこんなにも手に入れていて恵まれているのにこのほかに何を手に入れたいんだ。足るを知るという言葉があり・・」ということを真面目に聞いてくる。
自己啓発本を読むことに疑問を持つ人間に初めて会ったし、今の自分をなんとなく高めたいと思う自分自信に疑問を持ったこともなかった。
今こそこの「なんとなく」と向き合うときが来たのだ。

やりとりはこんな感じである。

私「やりたいと思っていることをなかなか言い訳作ってやらないから、何か本の中に答えがないかなと思って・・」
兄「やらないなら結局やりたいことじゃないじゃないか?やるときじゃなくてもついついやってしまうことがやりたいことや向いてることなんじゃないの?」
私「・・・」

私「ついついだらけてSNSで時間を潰してしまうのが嫌で、そういうのから離れるきっかけが欲しくて」
兄「でも興味関心があるから見て情報を集めたりそれに関する人の意見を見ているんだろ?そこに学ぶものはあるんじゃないか?」

私「買い物するにもずーっと悩んで無駄な時間を過ごす自分も嫌で」
兄「そりゃあ買い物する時は悩むだろう。その分手に入れた時に嬉しいし大切にするんじゃないか?」

私「会社でも相棒に引け目を感じてしまう。自分は不満ばかり言うのに相棒は不満の後に改善策を上司に進言していて会社が求めているのは彼女みたいな人で・・・」
兄「でもお前との共感や意見交換があったからその相棒にアイデアが生まれたり、課長に進言する後押しになったかもしれないだろ?」

私「ベンチャーだから積極的な意見を求められているのに自分の意見に自信が持てなくて何も言えない」
兄「ふーん。でもさ組織からしたらいちいち意見言ってくる連中ばかりじゃ参る時もあるんじゃない?お前みたいにまずは黙々と仕事を進めてくれる人物だって必要だと思うぜ」

・・・

私、なんで自己啓発本買い続けてるんだっけ???
自分の考え方次第だったのかもしれないなあ。
ネガティブに思おうとすればいくらでも「自分はダメだ」「時間を無題にした」「自分は向いていない」と考えられるし、ポジティブに考えようとすればいくらでも自分はどんなことからも学びを得られるし意義のある時間を過ごせるし自分に価値も見出せる。
自分を変えなきゃ自分を好きになれない気がしていたし「なぜか」自分はこのままじゃいけない気がしていて自己啓発本を読んでは変わった気がしてでもまたすぐ元通りになって、そんな繰り返しだった。
でも今の自分の何がそんなに「ダメ」なのか、そんなにも毎日漠然と「何に」なりたがっていたのか。
兄と話していたらわからなくなった。
向上心を無くすということではない、だけど磨くべき石の良さを理解していなければどう磨いたら良いかわからないというのと同じかなと思った。

兄が帰った後、なんとなくいつも自然と開いてしまう「X」を開いた。開きながら「閉じた時に学んだと思えるように・・」と意識したら自然と閉じていた。知りたい時は知りたいものを知りたいだけ。そう思えばSNSともうまく付き合えるような気がした。

兄が羨ましくも思った。
あの人は「自分を生きている」。
そんな兄だがアナ雪の「レリゴー」が嫌いだそうだ。
天然で「ありのまま」を生きている兄にとってあの歌に湧く世間がさぞ奇妙に映ったことだろう。

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