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発見記:「Harlequin Comics (English Edition)」~ 日本マンガの凄さの一角

洋書をブラウズしていて、ふとコミックの表紙に目が留まりました。どうみても日本の女性マンガの絵柄。よく見ると、日本で書かれたハーレクインコミックスの英語版のようです。

実は日本で出ているハーレクインコミックスって、原作ありきではあるものの、結構作家さんがアレンジ出来る範囲が広いらしいのです。

その事実を知ったのは、さちみりほさんのハーレクインものを読んだとき。
いろいろ設定やら描写やらを好みに書き換えていて、相当別物のお話になりつつ、さちみファンにとっては普段と同様の感覚で楽しめる、という、いわば翻案ともいうべき自由奔放な内容だったからです。

以来ハーレクインコミックスは、原作者に関係なく、マンガ家単位で読むようになりました。

そんな日本の女性向けマンガが、結構英語版になっていた、と今更のように知りました。

ざっといくつかを拾ってみます。

The Sheik and the Christmas Bride: Harlequin comics (English Edition) Susan Mallery (著), Kana Takagi (イラスト)

A Sicilian Seduction: Harlequin comics (English Edition) Michelle Reid (著), Junko Okada (イラスト)

Risky Business: Harlequin comics (English Edition) Jane Sullivan (著), Yoshiko Hanatsu (イラスト)

The Viking's Heart: Harlequin comics (English Edition) Jacqueline Navin (著), Keiko Yamada (イラスト)

Heir To A Desert Legacy: Harlequin comics (English Edition) Maisey Yates (著), Yoko Iwasaki (イラスト)

The Contaxis Baby: Harlequin Comics (English Edition) Lynne Graham (著), Kanako Uesugi (イラスト)

The English Aristocrat's Bride: Harlequin comics (English Edition) Sandra Field (著), Masako Sone (イラスト)

The Impossible Woman: Harlequin comics (English Edition) Emma Darcy (著), Yumiko Igarashi (イラスト)

日本版のコミックスも、常にではなくとも時々読み放題になったりするのですが、贔屓の作家さんだとなかなか待ちきれません。たださちみりほさんほど脱線・変更上等な作家さんはあまりいないようですが(笑)。

また最初は英語版を見つけたのでしたが、じゃあこの作家さんで何冊出てるのかな?、と調べてみると、英語版以外にもフランス語版、ポルトガル語版、インドネシア語版などが出ていることが分かりました。

試しに山田圭子さんを見てみると、こんな例がありました。

The Sabbides Secret Baby: Harlequin comics (English Edition) Jacqueline Baird (著), Keiko Yamada (イラスト)

Putra Rahasia Sabbides(Versi Berwarna): Komik Harlequin (Edisi Bahasa Indonesia) (English Edition) Jacqueline Baird (著), Keiko Yamada (イラスト)

UN SECRET À CACHER(version colorisée): Harlequin Manga (French Edition) フランス語版 Jacqueline Baird (著), Keiko Yamada (イラスト)

コミカライズという作業を他の国ではやらないのか、そもそもマンガ作家がいないのか・・・。

日本のマンガは物凄い速度で、かつ多様な進化を続けてきており、読者もそれに合わせて成長しているので、現代日本マンガって恐ろしく複雑で、読者にも高度な前提知識が要求されるんですよね・・・。

数百年前の洒落本や黄表紙を産み出した精神と、マンガは結構近い気がします。

数百年後に、20世紀以降産み出されたマンガ・アニメ作品は、その頃の日本人にとって意味が分かるでしょうか?

ギリシャ古典でも、悲劇は今でも理解できるが、喜劇は当時の事情が分からないと何が面白いのか理解しがたい、と言われます。筒井康隆さんが小林信彦の「紳士同盟」解説を書いていましたが、後世の人に元ネタをちゃんと分かるように説明する、それが解説の役割だ、と述べていました。

例えば畑健二郎の「ハヤテのごとく!」みたいなマンガだと、当時の読者になら通じる他のマンガ・特撮・アニメもろもろのネタ満載なわけですが、これを後世の人が理解できるようにしようと思うと、本居宣長の「古事記伝」みたいなことになるんじゃないかな~、なんて思ったことがあります。でも同時代の人は解説書書かないですよね(笑)。

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