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時折最高:021 Os Mutantes - Panis et Circenses (1968)

60年代半ばから活動を始めたブラジルのロックバンド。
曲はファーストアルバムのオープニングを飾る、彼らの初期を代表する1曲。

ブラジルは1964年から1985年まで軍事独裁政権だったとか、当時Tropicaliaと呼ばれる新しい音楽のムーブメントが起こったとか、そういう周辺知識については興味のある方は調べてみて下さい。残念ながら私はブラジルの歴史についても、ブラジル音楽全般についても、人様に語れる程の知識がありません。

ではなぜオス・ムタンチスというグループを知ったかと言えば、後年プログレに接近したアルバムをちょっと残していて、その筋からプログレのディスクガイドにも名前が載っているんです。それでたまたま中古盤を手に入れて聴いてみたら、この曲でノックアウトされた、という経緯です。

当時トロピカリアムーブメントに加わっていたバンドのオムニバスアルバムがリリースされ、ムタンチスも参加しています。

初期のサウンドは英米のサイケポップに非常に近いですよね。
歌の合間に鳴り響く管楽器なんかはビートルズっぽい感じがします。
しかしこのメロディだけでも「いい曲だなあ」と思うのですが、TV出演時の映像などを見ると、やはりサウンドコラージュも含めたごった煮状態だからこそ衝撃的だったのだ、と再認識しました。とても魅惑的なメロディで、サイケなアレンジと相まって、一度聴いたら忘れられない印象を残します。しかしTVでのライブをちょっと見た限りでは、スタジオ盤のもたらす衝撃は無いように思いました。

プログレと呼ばれるような音楽をやっていたのは74年以降でしょうか。

70年代の未発表音源が2000年代になってようやく発売されたり、再結成してニューアルバムを出したりと、現在までグループとしての活動は続いています。けれど初期数枚のアルバムの衝撃は、まさにその時、あのメンバーでしか作れなかった、そんな瞬間を切り取った中にしか存在しないように思います。

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