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たばこに関する覚え書き 2

たばこに関する書籍は、役に立つ本が極めて少ない。

愛煙家の本は、「オレは好きだ」「こんな風に楽しんでいる」とは訴えるが、「たばこにはこうした益がある」という科学的な考察には至らない。また無意味に非喫煙者の反感を買うようなことを言いつのる傾向が感じられる。編集者の意向も入っているのだろうか。

嫌煙家の本は、前提としてたばこは有害、という結論を持っているため、「どのように有害なのか?」に関しては、欠陥の指摘されている疫学研究を下敷きにしたものが大半である。よく「百害あって一利無し」と書いている。味が分かっている喫煙者にとっては「美味しい」だけで一利だから、すぐに誤りだと分かる。

たばこが有害? 含まれている成分のせいなのだろうか?
だとすれば、含有成分は、ニコチンやタールだけに限っても銘柄によって20~30倍の差があるのだから、銘柄ごとに有害度は異なるはずである。しかし銘柄ごとの有害度について言及した文献を見たことがない。なぜだろう?

たばこの歴史に関する本は、博物学的な知識を得られる点は貴重だ。

葉巻に関する本は、比較的実用度が高いものが多いように見える。
どのような銘柄が存在するのか、どのような味わいなのか、どのような吸い方で楽しむものなのか、などが書かれているものもある。ただ数が少ない上に、ほとんどが絶版だ。

パイプの入門書は、いつの間にかたばこを味わうことより、道具としてのパイプにのめり込むものが目立つ。どの入門書を読んでも、自分はどのたばこを買えば楽しめるのか?、がまったく分からない。

手巻きタバコに関する本は、書かれた時代が最近であることもあり、実用度はやや向上している。しかし銘柄ごとの味や特徴についてはメーカー提供の文章そのままで、それほど参考にならない。

そして何より、もっとも愛好者、利用者、中毒者が多いはずの紙巻きシガレットについては、「吸い方」も「銘柄ごとの特徴」も、解説書が全く見当たらない。誤った吸い方に関する注意もない。

きちんとした嗜み方を情報として広げず、無知なまま手探りでシガレットを吸い始め、そのまま乱暴な吸い方を続ける喫煙者を放置してきたからこそ、ここまで喫煙率が下がったのだろう。正しい味わい方で、正しい風味を知り、たばこの種類や銘柄について詳しくなっていれば、そもそもマナーのなっていない喫煙者の群れは生まれなかった。よって嫌煙運動も様相が異なったはずである。金儲けに走った紙巻きタバコの会社が悪い。

パッケージ・シガレット、手巻きタバコ、パイプタバコ、刻みたばこ(煙管用)、葉巻、スヌース、嗅ぎたばこ、電子タバコ、加熱式タバコ、水パイプ(シーシャ)など、日本国内で入手出来るたばこだけでもこれだけ種類がある。これらを網羅的に解説し、正しい嗜み方を、知識として伝える文献が必要なのではなかろうか?

酒についても、消費を促すカタログ的な本はあれど、やはり正しい嗜み方についての解説書は存在していないように思う。アルコールは中毒者のための専用治療施設が存在するくらいには危険で有害なのだが・・・。たばこでは同等の中毒症状を与えることは不可能である。

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