見出し画像

TONO:「カルバニア物語」20巻発売+10巻までKindle読み放題に

2023年1月10日、TONOのマンガ「カルバニア物語」20巻が出た。
ちなみに1巻の発売は1995年7月25日。連載28年目である。

この物語はカルバニアという王国で、若くして女王になったタニアと、タニアの乳兄弟で王国初の女性公爵就任を目指すエキューを中心に語られる物語だ。架空の王国の物語だが、ファンタジーではない。たまにちらっとそうした要素が混ざることはあっても、大半は政治がらみの騒動や恋愛周辺問題の出来事が多い。ファンシーな画柄でギャグとシリアスが緩やかに融合している作品だと思う。そしてしれっと残酷なシーンが混ざる。これがTONO味。

ちなみに、現在104巻まで出ている「ONE PIECE」のスタートは1997年の中頃だった。週刊誌連載と量を較べても全く意味はないのだが、「カルバニア物語」連載雑誌のCharaは、少なくとも現在は隔月刊のようだ。掲載回数が段違いだし、年6回刊行のネムキでの連載「アデライトの花」も、実際は年4回くらいしか書かない。著者は後書きで、体力無いから、と書かれているが・・・。

まあとにかく、作品発表のペースはかなりゆっくりした作家さんだと思って間違いないと思う。

しかし、寡作か?、と問われると、そんなことはないように思う。実は作品数はそれなりにある。ただ連載ペースがゆっくりなので、完結作品が少ない点がひとに勧める時の悩みだった。

カルバニア物語」は著者の代表作であることは間違いないのだが,何しろ長期連載中である。なので私が人にTONOを紹介する時は、短編集なら「カレンのファスナー」、長編なら「チキタ★GUGU」を勧めてきた。

どちらも、決して他の作家には描けないだろう、独特の個性に満ちた傑作だ。画柄が独特。お話が奇妙奇天烈。コワくて、悲しくて、可笑しい。途轍もなく馬鹿馬鹿しいのとリリカルで可愛いのと不気味だったり怖ろしかったりが交差する。

カルバニア物語」の最新刊が出たので久しぶりにチェックしてみたら、なんと10巻までがKindle Unlimitedの読み放題対象になっていた。以前は5巻までだったはず。全体の巻数が増えたためかも知れない。他に読み放題には、「ダスク ストーリィ -黄昏物語- (全2巻)」が含まれていた。

2015年に連載を開始した「アデライトの花」は昨年刊行分で現在4巻。これが実はパンデミックをテーマにしたお話なのだ。偶然だとは思うが、現在も連載中の作品である。

なぜかシリーズの方はまだ全3巻のまま。

また完結している上にそれほど巻数が多くない「コーラル 手のひらの海 (全5巻)」も恐るべき作品だった。

表紙を見て想像されるように、人魚の物語が始まる。彼女の名前はコーラル。ところがしばらくすると、これは珊瑚という女の子が看護士相手に、自分が作ったお話だといって語っていた、と場面が変わる。人魚の世界のお話と珊瑚の現実が呼応しながら進んでいく、奇妙で残酷で切ないお話。

これに較べると、秋田書店のプリンセス・ゴールドで連載していた「砂の下の夢」は比較的おとなしい、オリエンタルファンタジー・・・、の皮を被ったTONOワールドだった。

日本のマンガを読み慣れていない読者にとっては結構ハードルの高い作家さんだと思っているのだが、一度読み方が分かれば、その独創的な作品世界は病みつきになること請け合いだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?