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ハマかぶれ日記201〜大器・森、覚醒か

 有罪判決を受けても堂々と大統領の有力候補でいられるアメリカって、なんて国だろう。と、そんなことはともあれ、昨夜のわが横浜ベイスターズの試合ぶりには久しぶりにスカッとした。敗色濃厚な土壇場の9回、オースティンの同点弾で追いつき、続く延長10回には森敬斗の安打で勝ち越して、4対3でしぶとく勝利をものにする。逆の試合展開をこのところずっと見せつけられていただけに、溜飲が下がった。
 何より決勝点の取り方がいい。当たっている先頭の山本がレフトフライに倒れても、後続が淡白にならない。前の試合から久しぶりに1軍復帰した梶原がライト前ヒットを放つと、柴田がきっちりバントを決めて走者は2塁へ。売り出し中の1番蝦名の一発にかけた。蝦名は右足にデッドボールを受け、いったんベンチ裏に引き上げて治療を受けたが、すぐに姿を現して1塁へ走る。球場内は大きな拍手。ここで打席に立った森敬斗が蛯名が見せた闘志にこたえるかのように、実にうまく低めの変化球をすくってセンター前に落とし、貴重な1点をもぎ取った。
 ベイスターズ打線はよく、セ・リーグ屈指の強力打線と言われる。確かにオースティン、筒香、牧、宮崎、佐野とタイトルホルダーがずらりと並ぶ中軸は、額面通りに機能すれば凄みがある。怪我で10試合ほどチームを離れていた主砲の牧がこの日、復帰して、代打に立った。きょうからはおそらくスターティングメンバーに入ってくるだろう。
 ようやくメンツが揃ってフル回転しそうな鳴物入りの打線にあって、昨夜は脇役、しかも将来が嘱望される若手の活躍で勝った。その意味は大きい。梶原、蝦名、森敬斗それぞれが「自分も主役」と自信を深めて、ぐいぐいとチームを引っ張っていって欲しい。
 とりわけ遊撃手の森敬斗。60年以上に及ぶベイスターズのファン歴で、伝統的に遊撃のポジションには、名人芸と称される守備で球団史に名を刻む選手が多い印象がある。特に記憶に残るのは、米田慶三郎(1968〜1979年在籍)、山下大輔(1974〜1987年在籍)、そして現打撃兼走塁コーチの石井琢朗(1989〜2008年在籍)らだ。
 このうち石井は、投手で入団しながら遊撃手に転向し、努力を重ねて走攻守3拍子揃ったプレースタイルを確立した名選手。26年前に日本一になった時のレギュラーでもある。今の愛弟子の森敬斗には格好の先生がいるわけで、どの評論家も「素材は一流」と口を揃える才能を開花させる条件は揃っている。日刊スポーツ紙によると、試合後、決勝打について訊かれ、「打ったら人生2度目のヒーローだな」と思って打席に入ったとか。入団5年目のドラフト1位。大器覚醒の狼煙がいよいよ昨夜、上がったと信じたい。
 ところで、人生最初のヒーローは何だったのかな、森君。日刊の記者さんも、そこのところ詰めて記事を書いてよ。そんな質問、不良消化感を抱きつつ、これから金沢に向かう。加賀の銘酒が苦くならないよう、きょうも頼んまっせ。

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