ハマかぶれ日記34〜焼酎ナイト
昨夜は六本木の裏路地にある居酒屋でしっかり飲んだ。「薩摩おごじょ」。店名通り、薩摩料理を看板にする店だ。恰幅のいい女将が底抜けに明るい笑顔と弾む声で迎えてくれる。半年ほど前に一度入って、心地よい時間を過ごせたから、ぜひ裏を返そうと思っていた。いまアドバイザーとして不定期に働いている仕事先の法人が近くの高層ビルにあり、そこでの久しぶりの打ち合わせの後に、幹部の一人と「暑気払い」と称して入った。
「適当に」。女将に肴をおまかせすると、老年と熟年の組み合わせに気を利かせてか、瓜や胡瓜といった季節野菜を使った料理が多めに出てきた。それに、カツオの腹皮炙り、焼きキビナゴと次々に繰り出される薩摩料理が彩りを添える。どれもうまい。福岡のガメ煮風の一鉢も、多分女将が作ったのだろう。これでもかと舌に媚びてきた。
夕方でも猛威をふるう酷暑の中を10分ほど歩いたから、さっと出されたつまみにがっつく一方で、「とりあえず」の生ビールがあっという間に3杯、ノドを通り過ぎた。相方はビール1杯の段階で、焼酎に切り替えた。芋焼酎が好きというから、もってこいの店。お湯割りが好きな相方に女将が推薦してきたのが、「白金」だった。最初、「いいお酒があるよ」と女将が目をくれた先に「白」の字が見えたから、でっきり有名な「白波」と思った。ところが、下の字が金。東京のシロガネーゼが暇つぶしに作っているのかと一瞬、錯覚したものの、そんなはずはない。鹿児島は姶良に酒蔵のある逸品だという。
目の前で相方があまりにうまそうに啜るから、4杯目の「とりあえず」はやめて、こちらも白金に切り替えた。お湯割り向けというが、水割りでも抑えの効いた品のいい甘味が広がり、何の抵抗もなく胃の腑に入ってじわりと温かみを効かせる。元来、醸造酒好きで、ビールの後は焼酎より日本酒に行くことがほとんどなのに、珍しく日本酒への浮気心は起きなかった。気づくと、ほぼ一本が空に。「ポンギ」の喧騒を離れ、静かな隠れ家で美味、佳酒をたしなむような良い夜となった。
勘定を済ませて外に出、いつものようにプロ野球速報をネット検索すると、もうかなり遅い時間なのに、わが横浜ベイスターズの試合はまだ続いていた。広島カープ相手に0対0で延長11回。地下鉄、JRと乗り継いで辿った家路の途中も、恐る恐る何回かチェックしたが、結局、12回で引き分けた。首位の阪神は勝ち、ゲーム差が6に拡大。一方で4位巨人も勝ってゲーム差なしで並ばれた。優勝どころか、ここ数試合の戦い次第では、クライマックス出場も危うくなる。今年のキャッチフレーズの「頂戦」に、ヒビが入り始めた。おいおい・・。
本来ならカリカリして布団に入っても寝付けないところ、昨夜は案外すんなりと眠れた。トイレにも起きず、5時間も継続して眠れた。睡眠薬など要らぬ。良い酒はやはり「百薬の長」なのだ。
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