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ハマかぶれ日記219〜蛇にお願い

 見事なピッチングだった。昨夜、横浜スタジアムで行われた横浜ベイスターズ対ヤクルトスワローズの一戦で、横浜の先発右腕・平良がヤクルトの強力打線を7安打に抑えて9回を投げ切り、3対0で完封勝ちした。
 プロ入り11年目の初完封。身上の制球力を生かし、この日もストライクを先行させて打者を早めに追い込み、難しい球を打たせてアウトを積み重ねた。結局、無四死球で切り上げた。前日、先発した左腕の浜口が例によってコントロールが定まらず、3点差をひっくり返されて逆転負けするきっかけとなる不甲斐ないピッチングで4回、早々と降板した直後の試合だけに、余計に光った。
 平良は元々は巨人の選手。2014年にドラフト1位で沖縄の北山高から入団し、2017年、フリーエージェントで横浜から巨人へ移った山口俊投手の制度上の人的補償で入ってきた。その年にプロ入り初勝利を挙げ、翌18年には先発ローテンション入りして5勝3敗の成績を残し、飛躍が期待されたが、その後は怪我に悩まされて肘の手術をするなどし、思ったように勝ち星を伸ばせなかった。
 ようやく本格的に復調したと身られた今シーズンも、開幕2戦目の3月30日、広島カープ戦で8回3分の2を4安打1失点という好内容で勝利投手となったものの、またすぐ右肩に違和感を生じてずっと調整してきた。6月27日、3か月ぶりに1軍マウンドに戻り、巨人戦に先発して5回を1失点に抑えた。きのうは復帰2戦目の登板だった。
 「野球人生で、できるかなと思っていました。良かった」と、初完封の喜びを試合後のインタビューで語った。7回あたりから、それまでの大きく振りかぶるワインドアップの投球フォームをコンパクトなセットポジションに変えたので、ずいぶん色々と工夫しているなあと感心していたら、「足が吊ったので」と笑っていた。
 猛暑で湿度もごく高い。テレビ画面越しにも額や首筋から汗が滴り落ちているのが見えた。汗にまみれたアンダーシャツを試合中、なんと9度も着替えたとか。水分不足が足にもきたアクシデントをものともしない快投は、ちょうど折り返し点を越えたばかりの今シーズンの投手陣にあって、文句なしに最高点をつけたい。もし優勝できるとしたら、シーズン後半戦のキーパーソンとなることは間違いない。
 今朝、いつもの善福寺川沿いの遊歩道を散歩していたら、同行のパートナーが突然、「ぎょえっ」と、化鳥のような叫び声を発した。足元を見ると、体長60センチほどの小柄な蛇がうねうねしている。何が嫌いと言って蛇ほど嫌いなものはない。屁っ放り腰になりながら目を凝らすと、縞模様がくっきりしているから、よく見かけるアオダイショウの子供ではなくシマヘビのようだ。
 辰年生まれとあって勇猛果敢なパートナーが、捕まえる勢いで一歩、足を踏み出すと、蛇は慌てて道から3メートルぐらい下のコンクリートの川岸に飛び降りた。怪我でもしなかったかと見下ろしているうちに、岸辺の草むらの方にのんびり這っていった。
 アジア文化圏では、蛇が穀物を食い荒らすネズミを獲ったりするから、一般的に縁起のいい動物と受け止められているようだ。アオダイショウは家の守り神などと言って珍重がる所もあるらしい。
 目にしただけでおぞ気がたつ存在だが、縁起がいいというのなら、そこはいただこう。まずは今夜のナイターで朝一番の出会いの真価を問う。相手は天敵の阪神タイガース。わが横浜ベイスターズに2日続きの気持ちいい勝ちをね。頼むよ、シマヘビ君、虎に噛み付いてちょうだい。

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