見出し画像

ハマかぶれ日記222〜サヨナラで膨らむ夢

 野球の試合のサヨナラ勝ちのことを、英語では「walk-off-win」と言うらしい。土壇場で相手打者の放った打球が遥か遠くまで飛んで本塁打となり、打たれた投手ただ黙ってwalk-off、立ち去るしかなかったというのが語源とか。
 昨夜、横浜スタジアムで行われたわがベイスターズとドラゴンズの一戦は、10回裏一死三塁の好機に京田が打ったセンター前ヒットでベイスターズがサヨナラ勝ちした。これでドラゴンズとの3連戦を3タテ、首位の巨人とゲーム差なしの2位に浮上したから、価値ある勝利ではあった。
 前々日にもオースティンの本塁打でサヨナラ勝ちしている。こちらは打った瞬間にそれとわかる打球で、walk-offの語源に相応しいものだった。昨夜の場合、もう1点もやれないと、ゴロが飛んできた場合のホームでの封殺を狙って前進守備を敷いたドラゴンズの内野手の頭の上を、詰まった打球が嘲るようにヒョロヒョロと越えてポテンと落ちた。普通の守備位置なら楽に捕れた打球。打たれたドラゴンズのリリーフ、斎藤がwalk-offどころか、思わずしゃがみ込んだ悔しさはよく分かる。
 派手な本塁打だろうが、ポテンヒットだろうが、勝ちは勝ち。ただ、大味な野球に終始しがちなベイスターズにとって、昨夜の勝ち方は今後を展望する上で大きな意味を持つと思う。点の取り方がいい。先頭の佐野が2塁打で出塁すると、すぐに足の速い森をピンチランナーで送り出し、それを、どちかというと不器用なタイプの戸柱が打たずに上手いバントを決めて3塁に進めていた。3塁まで走者を進めていたことが相手に前進守備を強い、勝利に繋がった。
 「こんな野球ができるんなら、いつもやってくれよ」。ヒット、ヒットで作った好機をバントなどで進塁もできず、挙句に併殺打で潰す。ホゾを噛む試合がシーズン前半は特に目立っていただけに、躍り上がる思いだった。
 その前、9回裏の同点のシーンも、すでに2死の徳俵まで追い詰められた状態でオースティンが四球を選び、ここでもすかさず知野を代走に出したことが、次打者の牧の2塁打での一気の生還を呼び込んだ。相手はほとんど打たれていないドラゴンズの守護神、マルチネス。試合後、牧は「バットに球が当たっただけで嬉しかった」とまるで少年野球の選手のように顔を紅潮させていた。テレビで観ている方も現実のものかと目を擦ったぐらいだ。
 組織的、機動的な攻撃と粘りと。昨夜の試合で、「今年はもしや」の期待感が否が応でも高まる。どうしよう・・。勝ち慣れていないチームのファンの常として、同時に漠然とした不安のような思いが高まるのが、悲しいところではある。
 この暑い時期にベイスターズは何と9連戦。それを幸先のいい3連勝でスタートさせた。きょうから首位の巨人との大事な3連戦。14日には東京ドームへ応援に駆けつけるつもりだが、きょう、あすは函館で遊ぶスケジュールが入っており、旅の空での応援となる。せめて1勝1敗でドーム応援させてほしい。自分勝手な願いは募るばかりだ。
 勝手でも何でもいい。シェークスピアの戯曲「夏の夜の夢」のように、ハッピーエンドが待ち受けていると信じたい。
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?