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英検1級2次試験体験記

3月6日、英検1級2次試験当日。自宅から15kmの都心の会場に自転車で到着。コロナ後チャリ通勤に慣れた私は、都内ならどこへ行くのもチャリ。これを自己紹介ネタにしようと考えていました。

2日前に散髪を済ませ、服装はジャケットとワイシャツ。いつもジャージしか着ないので、身だしなみは最大限配慮したつもりです。

理学療法士として病院に勤務する私にとって、TOEICの高得点や英検1級が待遇に影響する事はありません。英文献が読めたらいいな、と思ったのが英語学習を始めたきっかけです。39歳でゼロからスタート。TOEICスコアが上がるのと、英検2級、準1級と少しずつステップアップするにつれ、いつの間にか英語学習そのものが趣味となっていきました。

英検1級の受験を決めたのは2021年の5月。自身6回目のTOEICが900点を超えた時です。2021年度、第2回試験に初挑戦し一次試験不合格。その後2ヶ月間、単語、ライティングを主軸に対策を重ね、第3回試験で一次合格を果たしました。英語垢のTwitterを始めたのは一次試験が終わってからです。2次試験の情報収集や、練習会スペースに参加させて頂くなどして活用してきました。

30分前には会場入りするはずでしたが、自転車置き場探しとヘルスチェックに時間がかかり定刻10分前に待合室入室。やや平常心を乱しながらも、待ち時間中ひたすらテンプレを暗唱。50分ほどしてから、ついに呼び出しがかかりました。緑のグループです、と言われて指定の部屋の前でさらに15分ほど待機。そこでは緊張で何も考えられませんでした。

ついに係の方から合図を受け、ノックをして入室すると面接官は2人とも女性でした。ネイティブ女性の向かいに着座すると面接官の自己紹介の後、私の自己紹介を促されました。「どうやって来ましたか?」は聞かれませんでした。私は自分の職業を伝え、趣味は筋トレだがコロナでジムを退会したため自宅でトレーニングしているなどの話をしました。極度に緊張しているのでカミまくりの自己紹介。しかしこれとった面接官の反応はありませんでした…

そしていよいよ試験が始まりました。

OK. Here is the topic card. You have one minute to choose …

『お願いします…』

しかしストライクは来ませんでした。

一つも話せそうなテーマがないばかりか、No.4とNo.5は意味も正確に入って来ません。

混乱と焦燥の中、No.1を選ぶことに決めました。

「世界経済は今後も減速するか?」

みたいな設問だったと思います。

恥ずかしながら、私の英検2次対策は汎用可能な自作の約40のテンプレを組み合わせ、組み替え、なんとか当てはめるというものでした。旺文社の過去問集に載っていた6年分30の模範解答をベースにして自分の思考回路にハマりやすい言葉に置き換えて作ったもので、医療、高齢化、環境問題などに偏りがありました。名著「英検1級面接大特訓」も購入したのですが、自分の言葉にならないと思ったので1週間ほどで挫折してしまいました。

私のスピーキングのレベルは低く、節が3つ以上になると「あれ、主語なんだっけ」となります。テンプレの構文、語彙も至極平易なものです。発音も悪く、リスニングも自信はありません。つまり、スピーチが奇跡的にうまくいかない限りは突破はありえませんでした。

本当に恥ずかしいのですが、

□テンプレ暗唱
□DMMでの過去問・予想問シュミレーション
□Twitterスペースの練習会参加
□中田敦彦YouTube大学での情報収集

が私の2次面接対策の骨子でした。

そして今回選んだテーマも練習で論じたことはありませんでした。政治・経済系は頻出テーマだというのに愚かです。今考えるとコロナによる旅行産業等への打撃や、飲食小売業の倒産などから経済について十分論じられたでしょう。しかしパニックに陥った私にはそのような冷静な判断は無理でした。

スピーチ開始

世界の経済は今後も減速すると思います。私には2つ理由があります。
まず日本の例を挙げたいと思います。日本は知っての通り急激に高齢化しています。私の仕事では高齢化を肌で感じており、今や90歳の患者は常で時には100歳の患者も担当します。彼らの回復力はすごいですが、医療制度に思うこともあります。このまま行くと日本経済は医療費高騰で破綻するでしょう。現に40%の国庫が医療介護に費やされています、そして若者も減っているので産業自体も弱体化しています。

なぜ世界を論じるのに日本?しかも高齢化?医療制度?

いつも優先的に論じていたテーマだからでしょうか、自分でも分かりません。とても焦りました。そしてカミカミです。もともと発音は日本人アクセント丸出しなのに、焦っているのでさらにひどいカタカナ英語です。

面接官二人の表情が曇りました。何かを書いています。スピーチ2、発音2‥などど記しているのでしょうか。さらに焦ります。しかしオチをつけねばいけません。

日本は世界のロールモデルだと思います。繁栄ののち、衰退が来ます。
世界人口は増えていますが、いつか減少に転じます、実際そういう説があります。世界経済も日本と同じようにAgingが問題となり、減速を続けるでしょう。

このように強引に1つ目のボディを閉じました。メチャクチャです。世界人口の減少説は中田敦彦YouTube大学がネタもとです。苦し紛れでした。さらにカミカミで言い間違えも多く、この時点で1分30秒くらいは経過していたかもしれません。

次に、
世界人口は増えすぎています、近く地球の資源を使い果たしてしまうでしょう。人類は生き延びるに精一杯で、経済成長にフォーカスする余裕はなくなると思います。温暖化で自然災害も増えており、成長を阻む要因がたくさんあります。

ピピピピ…
ここでタイムアップ…

人口減少を論じたすぐ後に、over populationを論じるという凄まじい矛盾。そしてなぜか自然災害が口をついて出てきました。話しやすかったからでしょうか。

しかしここネイティブ女性がいいました。

Please continue.

‥え?

終了したと思って油断した私は、自分のスピーチの論点がぶっ飛んでしまいました。

Thank you.

と一間置いて、パニック状態でこう続けました。

私はこの打開策は宇宙開発だと思います。地球には可能性が残っていません。人類が繁栄するには他の惑星に住処を探すべきだと思います。
私の意見は以上です。

面接官二人もシーンとしていました。また何かを書き込んでいます。減点でしょう。宇宙開発も比較的練習していたネタだったから出まかせに口をついたのだと思います。文法などもグダグダだったでしょう。

『終わった』

心の中で失笑しました。実際少し笑っていたかもしれません。
しかし、その分少しリラックスしているのを感じました。

『ここからは次回への練習だ』

なんとなく吹っ切れた感じがしたのを覚えています。
そしてO &Aに入りました。

(ネイティブ面接官)
「日本の高齢化が問題だと述べてましたが、改善策はあると思いますか」

はい。やはり少子化対策がカギだと思います。
日本政府は高齢者にリソースを使い過ぎていています。ここ最近、超高齢者への過剰な医療も問題視されています。育児施策にもっと予算を割き、教育費無償化など進めるべきです。高い教育費への懸念が少子化の一因だと思うからです。育児費用への不安が緩和されれば出生率は上がり高齢化の改善策になると思います。

この下りは、テンプレに近い内容でした。まずまず滑らかに話せたのを覚えています。今から考えると、面接官が絶好のトスをあげてくれたのかも知れません。

(ネイティブ面接官)
「Over population について言及していましたが、それに対して対策している国はありますか?」

はい。中国が出生を制限する政策を行なっていました。
また歴史的には色々な地域で人口統制が行われたことがあるという話は聞いたことがあります。しかし現代において、中国以外で何らかの対策をしている国というのは聞いた事がありません。人口増加は環境負荷につながり、実際、食糧不足問題などが生じています。人口過密の環境は新たな感染症、パンデミックを引き起こす可能性もあります。なんらかの対策を打たないと人類は今世紀中に滅亡するかもしれません。

不思議な感じですが、スピーチの時に比べ大分スムーズに話せるようになってきたのを感じました。面接官が頷く場面もありました。調子づいた私はいつの間にか手を動かしながら話していました。

(日本人面接官)
「貧困に苦しむ途上国の経済を改善させるにはどうしたら良いと思いますか?」

はい。とても難しい質問です。
しかし私の考えでは、発展途上国には多くの資源や産業発展の可能性があります。しかし、うまくリソースを利用する術が十分ではありません。しかも先進国の産業化の影響による環境汚染にあえいでいます。海洋ゴミなどが例で、漁業も大きな打撃を受けています。世界のリーダーや富裕な企業などは、貧困地域の人々とともに環境浄化プロジェクトのような事業を展開し、それを産業化するべきです。著名なビリオネア、ビル・ゲイツがそのような事業をすでに行っていると思います。先進国の富裕層はそのような形で富を分配するべきです。これは長期的に先進国にも発展途上国にもWinWinだと思います。

ここで日本人面接官が

Quite interesting.

といったのを覚えています。

(日本人面接官)
「将来的は世界の経済格差をなくすことは可能でしょうか?」

Well....非常に、非常に難しい問題です。
現在スーパーリッチと貧困層の格差はますます広がっています。スーパーリッチ層が道徳理念に基づいて富を分配できるかがカギだと思いますが、実のところ私の考えは…

ピピピピ...
終了時間です

面接官が私が話し終わるのを待っていました。
焦った私は最後

It won’t be solved.

と言おうとして言葉が出ず

Ah……, It’s not be solved.

と言ってしまいました。
面接官の2人の、ん?、という表情が最後に焼き付いています。減点だなと思いました。

そしてここで面接終了となりました。
私は笑顔で面接官に

Thank you for your time.

と礼をして、係の方にも

Thank you for your support.

と退室しました。係の方にもしっかりお礼をいうように、というのはフォロワーのかたから頂いたアドバイスでした。

最後にネイティブ面接官が

Enjoy the rest of today!

と笑顔で返してくれました。
私は深々と礼をして退室し、会場を出てました。ヘナヘナと座り込んだのを覚えています。

こうして面接は終わりました…

不合格を確信した私は、翌日から7月に向けて対策を再開することにしました。本気度の高い受験者さんのツイートを参考にさせていただき、発音の改善も含めて対策しなければと思いました。

□DMM
□政治・経済系のテンプレ作成
□ELSA
□英語のハノン(初級)
□英検1級面接大特訓
□記事読み

などなどのルーティンを開始して新たな日々が始まりました。
そして1週間が過ぎ、3月15日結果発表の日です。
職場の昼休み、オンライン結果発表を閲覧しました……

(~_~;)(~_~;)(~_~;)


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なんと合格…

信じられませんでした。スピーチに比べQ&Aはリラックスして話せたというのは確かです。しかし、面接官に救われたと思います。スピーチのグダグダに対してうまくトスを上げてくれたのです。またゆっくり分かりやすく質問してくれたので、聞き返すことなくやりとりできたのも幸いでした。本当に感謝です。

以上が私の英検2次試験体験記です。
はっきり言って受験予定者の参考になるようなものではなく、単なる合格の一例の紹介に過ぎません。読んでいただいた皆様ありがとうございました。

今回なんとか英検1級に合格することができましたが、流暢に話せる状態では全くありません。7月への対策に挙げたルーティンはしばらく続けていこうと思います。

最後に、沢山の情報を教えて下さったり、スペースで練習会を開催して下さったツイッタランドの皆様方、本当にありがとうございました。皆様のご協力なしにはこの合格はあり得ませんでした。重ねて感謝申し上げます。

KUTA


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