見出し画像

ありあまるあまり

なぜだかわからないが、昔から人にプレゼントをするのが好きだ。

プレゼントをあげて「ありがとう」と言われる。すると、ミントアイスを食べた時の様なすうっとした爽やかさと共に、大好きだよという気持ちが込み上げる。

プレゼントをあげて喜ぶ様子を見てもなお「私の気持ちはこんなもんじゃないぞ」とムキになり、好きな気持ちが込み上げて来るのかもしれない。
「71÷8=8···あまり7」の「あまり7」の部分だ。この「あまり7」を伝えるのが、プレゼントを人にあげる本当の目的なのかもしれない。
割り切れない気持ちってこういうこと?

あなたを好きなことは大前提で、それでも「あまり7」があります。私はそれを伝えたい一心で、プレゼントをするし、手紙を書くし、言葉を送る。

あまりを伝える言葉なのだから、対した言葉でなくてもいいのかもしれないと最近思う。年賀状や交換ノート、寄せ書きには、実は大したことが書かれていないが、それだけで嬉しいものだ。

「あまり7」を形にすること。これが、椎名林檎の歌にある「ありあまる富」の正体であり、手紙を書く時に感じる充足感や安心感なのかもしれない。

100%オーダーメイドの言葉は存在しない。既存の言葉の海の中、私はオーダーメイドの気持ちを形取るべく、誰かに手紙を書きたい気持ちになる。

色んな人から貰ったありあまる「あまり7」を、私も人へ渡す。私には収まりきらなかったものなので。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?