1月11日曇り 感情があったので詩を書きました

 その日、俺は泣いた。おもちゃを取り上げられた子供みたいに泣きじゃくっていた。泣くのは久しぶりだった。本当に久しぶりだった。
 そんなふうに泣いている俺を見下ろす奴がいた。俺だった。俺は俺がなんで泣いているのか分からないので、何もせず、ただ無表情にそこで立って俺を見下ろすだけだった。俺はそいつを殺してやりたかったが、きっとそいつも俺を殺してやりたかったに違いない。それでも、もうそんな事はどうでもいいので、俺はやはり声を上げて涙を流していたのだ。
 やがて、鳥が飛ぶように、あるいは月日が流れるように、俺は泣くのをやめた。その時には、なんでさっきまで俺が泣いていたのか、俺は忘れていた。

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