スパーク

2021年6月10日

頭の病も何もかもあの遠いビルと空の向こうに飛んでいって、ここには空の私とこの黄色いスパークだけになればいい。

普段はバッグにあまり興味がなくて、持ってるものも少ないけどこれはさ！
先週駅ビルで時間をつぶしていて、BEAMSに入ってふわふわしてたら、一番奥の壁で何かが弾けた。無心でそれに向かって歩いて行ったけど、もうその時には、あれを手に入れると決めていた。

黄色いビーズバッグよ！
iPhoneもケースを外さないと入らない。今日入れてるものは、iPhone、マネークリップにsuicaカードと札を一枚。口紅も入らない。

これが私に欠けていたもの！
でもこれ、あの可愛い女の子の真似なのだ。一年前の夏の夜、渋谷ストリーム、大きい黄色のエスカレーター前、蛍光の黄色いバッグを斜めがけしたボブカットの女の子の後ろ姿を見たのだ。

水たまりを歩く蛍光色！
綺麗。あれを見た瞬間から一年ずっと忘れられなかった。ときめき。無意識にいつも黄色いカバンを探していた。どこにあるのだろう？

あの女の子のはビーズバッグではなかった。
長方形の布の、きっと近くで見たら、こんなものか…とあまり気に入らないかもしれない。
でもあのスパークは、脳天にびびっと痛くてその場で泣きそうになるくらいだったんだ。


原宿の空。
るんちゃんがDJしてるからここに来てよって、頭と体が蒸された私は読み間違えて、明日だったらしいのに今日来ちゃって会えなくて、初めておろしたビーズバッグ持ってビルを眺めている。

もう暗くなった。
手に入れたスパーク。
それだけが今の私の拠りどころ。
いろんな色に光る街の中を、歩いて帰ろう。