10000000ねん

2021年5月24日

100年前この場所には誰がいたんだろう?どんな家があったんだろう?どんな人生模様があったんだろう?そして100年後には誰がいるんだろう?

そんな想像をすることはあるけど、昨夜観た映画、A Ghost Story。

愛する妻と暮らしていて突然事故で死んでしまった男。ゴーストになり自分の家で何年も妻を見守るのね。そのうち妻は引越してしまうけど、次の住人、その次の住人が来ても彼はその家にいるの。
時空を超えその家の歴史、土地の輪廻を見る。ある時は家が建て壊されたり、荒地から家が建ったりビルが建ったりそこで人が殺されたり。

大きな白い布に目の形で穴を開けたゴーストが、ある思いを果たすためにずっとその場所にいる…。ついに遂げて彼は消えるんだけどね。


昔々のこの町の写真、そこにいた人々の写真、思わず見入ってしまう。そんなことあるよね?
この場所にこれが。あの場所にあれが。その時笑っている人が。なくなるからこそ、すごいロマンだ。

この喜びも悲しみも、もしかしたら昔まさにここにいた人も同じような体験をしたのかも。
100年前の人も私も100年後の人もみんな消えていく。
しばらくゴーストになって、1000000年くらいここにいてみる?


強烈な、ある人間の願いの話。

私が実家にいた高校卒業2003年までのいつか、テレビでノルウェーの哲学者ヨースタインゴルデル氏と、女優広末涼子氏の対談があった。
世界的ベストセラー「ソフィーの世界」始め、私の好きだった「アドヴェントカレンダー」、妹の好きだった「カードミステリー」他、たくさんの哲学とキリスト教にまつわる作品を書いているヨースタインゴルデル氏。大好きでずっと読んでいた。

今ネットで探してみたらどこにもそのテレビの内容が載っていなくて完全に私の記憶の中にしかないんだけど、いろいろな対談の最後ゴルデル氏が広末氏に、一本の蝋燭、自分の命の蝋燭を、消すまたは消さない選択ができる場合どうするか聞いたシーンがあった。

広末氏は確か、自分の人生を全うした時に消す、一人で永遠に生きる気はない、それは昔から続いてきた人間の営みだから、という回答だった(万一ニュアンスが違っていたらごめんなさい)。

ゴルデル氏は、「私は蝋燭を消さない」。これが全てに対する私の答えだ。と締めくくり降壇した。


…ずっと存在し続けたいと!?

キーンと胸にきて、事あるごとに思い出す。
哲学者やばいだろ。


でも自分もみんなと同じ、歴史の中に孤独。それって少し素敵だね。

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