金沢都心軸のバス優先レーン実験
みなさんこんにちは。
今回は、令和6年10月1日から11月29日まで実施の、バス優先レーン社会実験をご紹介します。
金沢市は、日本海側の中では新潟市に次いで2番目の人口を誇る都市ですが、自動車が中心の、いわゆる「車社会」のため、時間帯を問わずマイカーの通行量がかなり多くなっています。
一方で路線バスの通行量もきわめて多く、金沢駅~武蔵ヶ辻󠄀~香林坊~広小路を走るバスは、1日で両方向あわせると最大で900便近くにのぼります。
その中で、公共交通優先のまちづくりをするための社会実験として、バス優先レーン社会実験が行われています。
今回は、2つの社会実験が同時並行でおこなわれています。
<1.バス優先レーンの設定>
南行:国道157号の武蔵→犀川大橋北詰
(全長:約1.6キロメートル)
北行:国道157号の野町広小路→武蔵
(全長:約1.9キロメートル)
<2.バス専用レーンの解除>
・国道359号・城北大通り 東山~鳴和
(全長:約1.3キロメートル)
・県道10号・小立野通り 崎浦~小立野四丁目
(全長:約0.76キロメートル)
社会実験中、バス優先レーンの設定区間(武蔵~犀川大橋北詰/野町広小路)では、路線バスなどが接近したら、右側の車線にすみやかに移ってバスに道路をゆずる必要があります。
これまでも、毎日朝夕にバス専用レーンが設定されてきましたが、平日日中にも「優先」という枠組みでやってみよう、というわけですね。
午前7時30分→午前9時00分:バス専用レーン
午前9時00分→午後5時00分:バス優先レーン(実験)
午後5時00分→午後7時00分:バス専用レーン
金沢市では、都市の再開発・交通事業を考えるときに必ず登場するのが「都心軸」という言葉です。今回の社会実験でもやはり登場しました。
そして、市街地に立ち寄る路面電車(昭和42年廃止)および路線バス・高速バスなどは、都心軸の根幹をなす、けやき大通り・百万石通りなどを経路の一部として走るバスが大半を占めています。
しかし金沢市中心部は、戦災を逃れた(大規模なまちづくりができない)という歴史的経緯や、文化財が点在している立地もあいまって、道路の拡幅がほとんどできず、さらに主要道路の車線幅も非常に狭いつくりになっています。さらに、交通の結節点となる交差点が近い距離に連続しているため、直進車のほかに右左折の車両も大変多く、道路の進みが非常に悪い点も、金沢の特徴といえるでしょう。
幅広の道路をゆったり走るというよりは、狭い道路をギチギチに詰めて走っている印象を受ける金沢の中心部ですが、バス優先レーンの社会実験が吉と出るか凶と出るか…。
個人的には、北陸鉄道石川線の上下分離など、ようやく金沢市の交通政策が充実してきたかな…?という気がしていますが、中心部を通らない幹線道路(山側環状・海側幹線)の完成後も飽和状態にある市内の交通事情がどうなるか、期待したいと思います。