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10年後の未来なんて誰もわかりはしない

皆さんこんにちはヤマキンです。おかげさまでぼちぼちコーチングの依頼が増えていまして、ユビキタスな働き方(いつでもどこでも誰とでも働ける)の実現に向けて順調なライフワークが進んでいます。

さて今日のテーマは実はキャリアカウンセリングやコーチングで使われる「目標や夢を持つこと」について書いてみます。

野球が好きな子供に「じゃあ将来の目標はプロ野球選手だね~」みたいな話をすることがいかに無意味で無責任であるかという話を前回のNOTEで書きましたが、今回も「夢や目標を持つことに」ちょっと斜めに書いてみたいと思います。

「夢に日付をつけると目標になる」、ある人から聞いたことがある言葉です。

夢や目標を持つことの大事さ

その昔、プロ野球選手になりたいと頑張っている小学生がいました。彼はそのためには高校野球で活躍して注目される選手になってドラフト1位で地元の愛知県の中日ドラコンズで指名されることを高校卒業時の目標(現在小学校6年生ですので、6年後ですね)に設定します。実は彼が所属している少年野球チームは今年日本一になっていて、その大会で彼は投手としても打者としても優れた成績を収めることができていました。もちろんそのために努力も惜しまず、この数年はほぼ1年中野球をやっていました。その結果、同年代ではTOPレベルの選手になれたのだからこの努力を続け、甲子園常連校(選手をつぶさない)に入学し甲子園で活躍できれば、高校生のtopレベルの選手としてドラフト上位に指名されるはずと考えこれからも努力を続けることを誓います。

これ、実はイチローの話です。HR界隈では結構有名で「イチローの作文」でネットで検索すると下記の作文が出てきます。

イチローの作文

僕の夢
ぼくの夢は、一流のプロ野球選手になることです。そのためには、中学、高校でも全国大会へ出て、活躍しなければなりません。
活躍できるようになるには、練習が必要です。ぼくは、その練習にはじしんがあります。ぼくは3才の時から練習を始めています。
3才~7才までは、半年位やっていましたが、3年生の時から今までは、365日中、360日は、はげしい練習をやっています。
だから一週間中、友達と遊べる時間は、5時間~6時間の間です。そんなに練習をやっているんだから、必ずプロ野球の選手になれると思います。そして、中学、高校で活躍して高校を卒業してからプロに入団するつもりです。そして、その球団は、中日ドラゴンズか、西武ライオンズが夢です。ドラフト入団でけいやく金は、1億円以上が目標です。
ぼくがじしんのあるのは、投手と打げきです。去年の夏ぼくたちは、全国大会へ行きました。そしてほとんどの投手を見てきましたが、自分が大会ナンバ-1投手とかくしんできるほどです。打げきでは県大会、4試合のうちに、ホ-ムランを3本打ちました。そして、全体を通して打りつは5割8分3厘でした。このように、自分でもなっとくのいくせいせきでした
そして、ぼくたちは1年間まけ知らずで野球ができました。
だから、このちょうしで、これからもがんばります。
そして、ぼくが一流の選手になって試合にでれるようになったら、お世話になった人に招待券をくばって、おうえんしてもらうのも1つです。
とにかく一番大きな夢は、プロ野球選手になることです。
鈴木一朗


これは夢や目標を持つことの大切さを伝えるときによく使われています。私もそういう形で大学の授業とかで使っていました。

夢や目標を実現するために必要な事

改めてこの鈴木一朗くんの作文を読むととても小学校6年生が書いた作文とは思えないほどしっかり目標を達成するうえで必要なポイントが網羅されていると思います。

①ゴールイメージが明確である

プロ野球選手になることでなく、「一流の」と具体的に書かれていることがすごいですよね。プロになることを目標にしているとプロ球団に入団することが目的になってしまってその先に対してやる気が起きなかったりというのはよく聞く話です。「一流の」の部分をもう少し具体化(例えば日本のプロ野球でMVPをとるとか、3割以上の打率を5年以上残すとか)したほうが良いのでしょうが、それでも「一流の」とあえて書いている部分に鈴木少年のすごみを感じます。

②何をすれば実現できるかのプロセスが明確である。

端的に言うとこれまでこういう努力をしてきて小6の時点で同世代TOPになっている(そういう風に自分の実力を客観視できるのはめっちゃすごい)のだから、それを高校卒業まで維持できればドラフト上位に指名されるはずだ。という部分がめっちゃ具体的ですよね。これまでの努力とパフォーマンスを冷静に分析して、それをもとに将来を予測しているという・・

③自らの体験に戻づいて目標達成のための戦略が語られている

これまでの自分のやり方を分析し、そのうえで目標を達成するための手段が語られているので実現性が高いですよね。読んでいてもこいつならできそうだなと思わせる内容になっていると思います。

まあ、その後の活躍を知る私たちとしては「イチローすごい、さすが」という話になるわけで、だから私たちを夢や目標をもってそれを実現のために頑張りましょう!!みたいな話で締めていたわけですね(私も授業でそんな感じで使っていました)。

でイチローはどうだったのか?

イチローは愛工大名電に進学し、何度か甲子園にも出場しましたが希望していた地元の中日ドラゴンズには指名されず、また上位指名はではなくドラフト4位でオリックスが単独指名するのみにとどまりました。成績が悪かったわけではないのですが、投手としても活躍しており、投手として指名するか野手として指名するかについても評価が分かれた(当時は二刀流なんて考えはなかった)ことと、中日は当時左打ちで好打者が多かったので同じタイプの野手は不要ということで指名見送りになったとのことです。

こんなすごいイチローですら実は6年後の目標を達成できていないという事実がここにあります(一流のプロ野球選手になるという夢は間違いなく果たされていますけど)。これについてはイチローがどうこうというより、自分の力ではどうにもならない周囲の状況に私たちの夢や目標はその実現の可否を左右されてしまうという事でしょうか?

10年後の未来がどうなるかなんて誰もわからない

コーチングの手法でGROWモデルという手法があります。

GROWモデルとは、ゴール(G)、リアリティ(R)、オプションズ(O)、ウィル(W)のイニシャルを取ったコーチングの基本スキルのことを言います。漠然とした目標から、具体的な行動へ促すコーチングの基本スキルです。

コーチングを学ぶ中でこのGROWモデルのロールプレィングがあり、10年先の自分を考えるというテーマでお互いにコーチングしあうというセッションがありました。10年後どうなっていたいのか?=GOALイメージを最初に具体化するところから始まるのですが、実は私はこれが具体化できませんでした。OH MY GOD コーチングを学んでいてプロコーチとしてやっていこうとするものがそんなこともできないのか!!

と自分を責めることはしてないの(厚顔w)ですがちょっとこの時違和感を感じました。

10年後の自分の姿なんて考えたことがない!!

「10年後どうなっていたいですか?」その後コーチングを行っていく中でこの問いをクライアントに何度か投げかけたのですが、具体化した内容を答えられる人はほとんどいなくて、何となくこうなっていたら良いなあとかの曖昧な内容しか答えられない方がほとんどでした。そして最近あることに自分も気づいてしまったのです。

そういわれてみると「10年後どうなっていたいかなんて考えたことがない」

生まれて58年経過中のおやじですら実はそんなことを一度も考えたことがないという衝撃な事実、そして自分がやったことがないことをクライアントにしいてしまっていたという真実にそこで初めて気づいてしまったという・・

さて、「10年後どうなっていたいのかを考えないといけない!」の呪いから解放された今、自分は何を考えていたのかを振り返ってみることにします。

大学生の時は普通の勤め人は嫌だなあと思っていたので銀行には絶対行かないと決めていた。たまたま地元でビデオゲームの開発をやっている会社をみつけて応募して入社(入ったら人事に配属されたw)

30歳代は気が付いたら人事の仕事にどっぷりはまっていたけどやはり独立志向が頭をもたげ、でも転職先は東京の大手電機メーカー

40歳前半は東京で大手企業のサラリーマン、どうせいずれ金沢に戻るのでというので結構お気楽に楽しかったかも・・

45歳で起業、そして現在に至るけど会社を10年後にこうしたいと思ったこともあまりないという・・

ありたい姿を模索しそれに近づき続ける姿勢が大事かも・・

改めてこうやって振り返ってみるとこうなりたい、こういうライフワークを送りたいという願望はあったけど、具体的な目標をたてて取り組んだことは一度もないという衝撃の事実。

でも冷静になって考えてみるとむしろこれが自然なのではと思うのです。

だってあのイチローですら自分の目標を達成できていないのに平凡なおっさんができるはずがない。地方創生の文脈でよく語られる例外中の例外、奇跡の事例がロールモデルとして語られているのと同じなのでは??と思ってしまうのです。

さらにこれだけ外的環境の変化が激しく起きる今の時代ではその変化を予測すること自体もちょっと無理だと思ったりするわけです。なので「10年後の未来なんて誰もわかるはずがない」ということを前提に置いたほうが良いのではと思っています。

今よりもちょっとでも素敵な自分の未来の実現を目指す

そういう意味では「今よりもちょっとでも素敵な自分の未来の実現を目指す」ことが大事なのかなあと思っています。「自分史上最高を常に更新する」といういい方のほうがしっくりするかもしれません。

人はだれでもより幸せに生きたいという想いはあると思うのですが、自分にとっての幸せとは何かを考え、それに向き合い、よりその部分での満足度を高める取り組みを続けていくという事でしょうか?このように書いてみると「自分の未来」という言い方はあまり良くないのかもしれません。というのはそれに目盛りをつけて目標設定しないといけないという捉え方をしてしまうかもしれないからです。そういう意味では人生に目標はいらないと思います。なぜなら目標を作ってしまうとその先の人生の意味が薄れてしまうのではと思います。死ぬまでは自分の人生であり、自分に死が訪れる最後の瞬間まで自分の人生を味わい尽くすという生き方のほうが楽しいんじゃないかと・・

こうやって振り返ってみると自分に夢や目標を設定するべきというのは呪いの言葉(人をねばねばに縛り、自主性や自分らしさを奪う)じゃないかと思っている今日この頃です。

ちなみに夢を持つことや目標を設定することはダメだとは思わないですし、特に目標を設定してそれを実現するための計画を立てるスキルは人生を楽しく過ごすうえでとっても有効な武器になると思っています。このあたりについてはいずれ改めてまとめてみたいと思います。








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