機械の墓場
わたしの住む町には、図書館に続くのどかな道のわきに、ちょっと変わった場所があります。
ちょっとした原っぱに、自動車やオートバイが、ずっと捨ててあるのです。
それも、一台や二台ではなく、何台もころがっているのです。通りを走っているのをあまり見かけないオープンカーが2台も捨ててあったりなんかして。
まるで象の墓場です。
まさか、自分の老い先が短いことを察した自動車やバイクが、自分からここにやってきて息を引き取った、なんてことはないと思います。
けど。
草が生えて、しげって、からんで、呑みつくそう、自然に帰そうと、もがいているように見えたりもして。
もしもいつか人間がある日とつぜん滅ぶとしたら、きっと街ぜんたいが、文明が、こんなふうに植物に、自然に、呑みこまれていくのかもしれません。
ごくっ、と息をのむような気持ちで眺めるのです。
自分の墓標を見るように。
スキひとつじゃ足りないっていう気持ちになることがもしあったら、考えてみていただけると、とてもわかりやすくてうれしいです。