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日本の夏を快適に過ごす。江戸時代の知恵。

今年もキテテコの季節がやってきました。

春の新作リリースで数日で完売してしまった「キテテコ 」半袖と好評いただいていた長袖の再リリースをします。今回はネイビーです。(長袖と半袖でネイビーの色目が違います。)

僕たちはいったい、日本のどれだけの事を知っているだろうか?

こんな見出しから始まった、2月のキテテコのリリース。

この探究は2月から深まり、最近はほとんどが「東洋哲学」に関わる書籍を読んでいます。(興味がある方はTwitterで #オールユアーズの読書 をチェックしてみてください!)

特にこのコロナ禍で、かなりの時間を読書に使っていて、あることに気がつきました。

古今東西、文化や考え方、思考方法は違えど、感動すること、心が動かされるものはいつの時代もそんなに変わらない。

万葉集に載っている読み人知らずの和歌にも、僕は心を動かされる。
聖書の一説にも考えさせられるものがある。
老子の教えに事業のヒントがある。

「新しい」や「最新」という事に囚われてしまうと見落としてしまうことがある。

この事を二月以降、嫌というほど痛感しています。

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僕らが多用するポリエステルなどの糸は科学の恩恵で多用途に様々な機能や色が落ちにくかったり、素晴らしいストレッチ性を生地に与えてくれはするが、必ずしも万能ではない。特にTシャツなど、上半身の肌に直接触れるものは、天然素材がやっぱり気持ちがいい。

ポリエステルはどうしても、肌馴染みが良いわけではないし、糸の性質上匂いを吸収しやすい(運動部に所属していたらわかると思うが、Tシャツや靴下の汗の匂いが取れないのはポリエステルの糸の特性)ため、日常着として考えると、コットンという選択肢は非常に有効だ。

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そして、Tシャツという服は主にアメリカで発達したもので、雨が少なく湿度が低い地域で作られたもの。そもそも日本の気候風土に適していない素材感のものも多い。

このTシャツというアメリカの文化から生み落とされた服を、日本の風土に合わせて考えられた素材とハイブリッドさせて、アジアの気候にチューニングしたプロダクトがキテテコなんです。

Standing on shoulders of Giants.

これはオールユアーズ的「温故知新」。
新しいものが全て良いわけではなく、歴史に敬意を払うことによって知ることができる側面がある。

先人という巨人たちの肩の上に立っている。
ぼくらは連綿と続く人類のチェーンの上に生きていて、先人たちの血と汗と努力が生み出した知恵を継承しながら生きているんですよね。
従来は和服や下着に使用されていた生地なのですが、年々従来の用途では需要が落ち込んでいく中で、その技術を応用してTシャツにしたもの。
それが「キテテコ」というプロダクトなのです。

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もちろん高島の産地も時代に合わせて設備は進化はしていますが、このような工夫が昔から受け継がれていることに深い敬意を感じます。

どうしても国内生産が減少していく中で操業している工場もピークから相当少なくなっている。ちょっとでもこの文脈に興味がある人たちに着ていただけたら本当にうれしいです。

キテテコのつくりかた。

それで、今回リリースするキテテコの詳しい説明を。

滋賀県高島市で発達した技術によって、キテテコは5つの特長が生まれます。

①肌への密着が少ない 
凸凹している生地表面により、肌への接地面積が少なくなります。汗をかいたときに肌にTシャツがへばりつくことが少なくなります。

②汗を良く吸う、素早く乾く 
生地の凸凹が汗を良く吸い、隙間を作って織った生地が、通気性を確保し、素早く乾くため、カラッとした快適な着心地を生みだします。

③ストレッチ性 
特殊な加工がされた糸と生みだされた凸凹が、あなたの動きを制限しない、天然のストレッチ性を生みだします。

④型崩れしにくい 
自らを元の状態に戻そうとする力を作り出すため、家庭洗濯後にねじれたり、よじれたりすることが少ないです。

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その技術はざっくりいうと3つの要素から構成されます。

その① 生地に使う糸を極限までねじる=撚る

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カラっとした着心地・触り心地とストレッチ性を作り出すために、糸を通常の約2倍強くねじります。従来の高島ちぢみは通常生地の1.5倍。キテテコの生地はそれを上回る2倍ねじられています。

そうすることによって、糸自体にタオルを固く絞ったときのような締まりが生まれます。それで独特の「シャリッ」としたタッチ感が生まれ、Tシャツにしたときの独特のカラッとした肌ざわりに影響します。

しかも、タオルをねじったときのように、ねじった逆方向に糸は戻ろうとします。
それがこのTシャツの気持ちの良いストレッチ性を生み出すのです。

でも、糸は固く作るのですが生地は柔らかく作るため、製品それ自体が固くなることはありません。

なんとも不思議な製法です。

誰が通常の2倍も糸をねじろうとしたのでしょうか?
技術が未熟だった江戸時代に頭がねじ切れるまで考えた工夫だったのでしょう。

そのような素材が、化学繊維やエアコン、ましてや扇風機すらない時代、先人の知恵と工夫だけで作られていたのです。

その② 生地にすき間を与えて織る。

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風通しをよくするために、糸と糸の間隔を広げて織ります。

この製法で先ほどの糸を生地にしていくのですが、固く絞るように作った糸を、あえて間隔を広げて生地に仕立てることによって、生地が柔らく、かつしなやかに仕上がるのです。

この製法のおかげで風通しの良い、着ていて気持ちの良いTシャツが出来上がるのです。

その③ 生地の表面に凸凹をつくる。

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水を通し、熱を加えることで、生地を一気に縮めて、凸凹を作ります。まるでその仕上がりは湯葉のようですね。

この工程で生まれる生地表面の凸凹が肌への密着を少なくし、カラッとした肌ごこちを生み出すのです。

「強く撚る」「隙間をあけて織る」「熱を加えて凸凹を作る」この工程が、夏の特性を機能を生み出します。これがキテテコの製法です。

#キテテコ

もしこの文脈に興味があれば、ぜひ手に取っていただきたい製品です。昔の技術で作られたキテテコの物語をみんなで共有して、新しい物語を一緒に作っていきませんか?

#キテテコ のハッシュタグを使って、ぜひ各SNSで共有していただけると、これほど嬉しいことはありません。

さあ、みなさまご一緒に。

この文章は2020年2月にリリースした「キテテコ 」の文章を加筆、修正してお届けしております!




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