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2023年度北里大学医学部数学 #過去問分析

動画でも解説してます。↓
https://youtube.com/watch?v=vueb1ZRt81w&feature=shared

【学校情報】

数学は試験時間80分、配点150点(英語70分150点、理科100分200点)
北里大学の医学部は、「データの分析を除く」と明言されている大学です。
ちなみに、2025年度からも、数学1はデータの分析を除く、数学Bは数列のみ(統計的な推測は出題されない)と明言されています。有難いですね。

【全体概評】

以前は典型問題が中心で、数学は解きやすい大学の1つという感じでしたが、近年難化傾向にあり、特に2023年度はかなり難しかったと思われます。(ちなみに、指定校推薦の問題も昔はかなり簡単でしたが、今は難易度が上がっています・・・)

大問1は小問集合で、答えのみ書けば良い形式ではあるものの、1つ1つの問題が他の大学の大問に近いレベルです。特に各問の後半の問題については、手が出なかった受験生も多かったのではないかと思われます。大問2と3は記述形式なので敬遠されがちですが、昨今の大問1の難しさを考えると、大問2・3で後半まで辿りつけないと全体の点数は伸ばしにくかったのではないかと思います。

2023年度の合格最低点が500点中273点で得点率54.6%です。(2次試験の正規合格者の最低点なので繰り上げ合格者は含んでいません)例年最低点が5割~6割台なので、数学については(数学に自信がある人を除いて)「半分ちょっと取れれば良い」と割り切ってしまった方が良さそうです。簡単な年度であれば60~65%、難しい年度であれば50~55%程度を目標にすると良いかなと思います。本番で全然手が出なくても焦らないことが大事です。できる問題を正解に繋げて1点でも多く点数を取れば、合格が近づきます。

主観にはなりますが、2023年度はかなり難しい年度だったのではないかと思います。こうした難しい年度については、時間がかかりそうな問題を後回しにする判断力が特に大切ですね。

【大問毎の分析】

大問1:小問集合

(1)複素数平面の問題です。(ア)~(ウ)までは正解できて欲しいですが、(エ)の格子点については捨て問と判断して良いと思います。時間がかかる問題なので後回しにして他の問題で得点すべきでしょう。

(2)領域の最大・最小の問題です。文字で置いて処理をするという解き方自体は典型問題ですが、数学的に正しく解くのは難しいですね。細かい条件を無視しても(オ)は求められそうです。ただ、点と直線の距離を使う発想にならないと計算は面倒だったと思われます。(カ)(キ)の方が意外と取れそうです。

(3)数列・整数・基本対称式・合同式などの融合問題です。(ク)と(ケ)は必答です。(コ)についても基本的には式変形をして求められて欲しい問題ですね。ただ、(サ)については捨てて良い問題だと思われます。2003年度東京大学(理系)の大問4に丁寧に誘導が付いた問題が出されていますが、こうした問題を解いた経験がないと厳しい問題だと思います。後回しにして他の問題で点数を稼ぎましょう。

(4)整数と確率の融合問題です。(シ)~(セ)までは解けて欲しい問題です。(セ)はやや難しいかもしれませんが、サイコロを2つ投げる時は表を書いて整理すればOKです。(ソ)については正確に解くのはなかなか難しいです。(1)や(3)の一番最後の問題に比べると、まだ対応できる方の問題だとは思いますが、見通しが立たなければ飛ばしても良い問題だと思われます。

大問2:微積分

(1)は基本問題です。(2)(3)については中間値の定理がうまく使えたかどうかが勝負の分かれ目ですが、他の問題の難易度を考えると得点に繋げておきたいところですね。(4)は時間があれば取れて欲しい問題です。

大問3:ベクトル

(1)は必答の問題です。(2)については、比の関係に気がつけるかどうか、ベクトルを回転させる処理に気がつけるかどうかがポイントになります。(3)については手を動かすだけなので(2)ができた人のご褒美問題です。(4)も(3)の計算を活用しながら比較的短時間に処理ができるので、結局は(2)ができるかどうかが合否の分かれ目になると思います。正確に論証できなくても、答えだけは出せて欲しい問題です。

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